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第1章 モノクロの世界

初投稿です。

読んでいただければ幸いです。


感想、批判、意見大歓迎

序章


俺の目には世界がモノクロに見える


と言っても俺の目が悪いわけでも、漫画の中に取り込まれているわけでもない。ただ平凡すぎる日常に飽きているだけなのだ…


これはそんな俺の世界が色付き始める物語


第1章


「おーい、かおり起きろ」

「嫌だー、私はこのままお布団と融合して一生を終えるんだー」

このバカなことを言ってるのは俺の妹のかおりである。いくつになっても朝1人で起きることができずにいるのである。

この駄妹を起こすのも慣れたものでこいつが物心ついた頃からずっとこいつのことを朝起こすのは俺の役目である。

そんな駄妹の腹部にかかと落としをする

「ごふっ!」

女子とは思えぬ声で駄妹が目を覚ます

「ちょっとお兄ちゃん!かわいい妹にむかってかかと落としするなんてひどくない!?」

駄妹のそんなバカな発言に

「自分でかわいいとか言うな、そして自分で起きないのが悪い!」

「さっさと起きて飯食っちまえ、遅刻するぞ」

俺は早く朝ごはんを食べるように促す

「あれ?今日って私が食事当番じゃなかったっけ?」

「お前が起きるの待ってたら日が暮れる」

覚えててくれたの嬉しく思いつつも俺は妹にツッコミを入れる

「流石にそれはないよー」

こんなことを言っているが、休日になると昼の3時くらいまで寝ているのだから説得力が皆無である。

「とにかく早く飯にしろ、本当に日が暮れるぞー」

「はーい」

なんだかんだ言っても一度目が覚めるとすぐに頭が覚醒するらしくその辺は便利だなーと羨ましく思う

「えーっと、シャツはーっと」

妹は俺がまだ部屋の中ににいるにもかかわらず着替えを始めようとする。

「おい!俺がまだいるだろうが!」

つい動揺してしまった。

「え?別にいいじゃん、兄妹なんだし」

いや、別にいいよ、兄弟だし、家族だし、こいつの裸なんて何回も見てきたし、でもね、でもだよ、こいつも俺も一応は年頃なわけでね、もう少しは恥じらいというものをだね?覚えてくれるとありがたいのだがね?

アホな葛藤を脳内でしつつも、一応は妹にして注意をしておく

「なんでもいいから男の前で着替えなんてするんじゃない!」

これは兄として言っておかなければ…

「あ!もしかして!妹の裸を見て発情しちゃったの?やーん!タスケテー」

何をバカなことを言ってるのだろうか?

「実の妹に発情なんてしねーよ!お前が外でもそんなことしないか心配になっただけだ!習慣は外で出るからな!」

俺はなんかそれっぽいことを言い残し妹の部屋を後にする。

「あれ?おねーは?」

ようやく着替えて食卓についたかおりは不思議そうに尋ねてきた

「とっくに学校行ったよ、今日は日直なんだとさ」

「ふーん」

かおりは自分が聞いたにも関わらず無関心にそう返事をする。


「いってきまーす」

誰もいない家に向かって妹と2人で声を合わせて挨拶をし家を出た

「うわー、あっちーなー」

5月のGWも開けいよいよ夏の暑さがこれからやってこようという5月の下旬、今年の梅雨はちゃんと雨は降ってくれるのかと不安になりつついつも通り通学路を歩く

「あーっす、おはよう郁也」

おっと自己紹介が遅れたな俺は水野郁也、私立桐ヶ丘中学に通う中学3年生

中肉中背やや小柄のどこにでもいるような中学生である。特徴を述べるのであれば目つきが悪いことと、剣道部に所属していることくらいだろう。

ちなみにこいつは俺の親友で同じ剣道部に所属している佐山昴

昴は顔もかっこいいし勉強もそこそこできて、運動神経抜群、高身長、さらに剣道部の部長も務めるというモテ要素満載のやつでこういうところを見ると神は人に対して平等ではないと思ってしまう。

「おはよ、昴」

「おはようございます!昴先輩!」

「おはようかおりちゃん」

昴といつもの路地で合流し学校へ向かう

「この間模試どうだったー?」

昴がこの間行われた全国共通模試について聞いてきた

そう!俺たちも一応受験生な訳でそういった話も当然増えてくる

「普通だったよ〜、200位くらいだったよ、そっちは?」

ちなみに受けた人数は1000人くらいなので割と上位を取っていることになる。

「おれは45位だったぜ」

普通に二桁を取れる俺の親友、恐ろしいぜ

「そうかー」

まーいつものことなのでこれについては特に突っ込まない。

「はぁー」

「どうかしたのか?急にため息なんて」

昴が突然ため息を吐き出した俺に不思議そうに尋ねてきた

「いや、別になんでもない」


ここで俺の悩みについて教えておこう。


おれは世界がとても色あせて見えるのだ。といっても目が悪いわけでも、漫画の中に取り込まれているわけでもなく、ただただ日常というものに飽きているのだ…

別に自殺志望なわけでもない、今の日常に文句があるわけでもないし、楽しいこともいっぱいある、楽しいことやってると胸の奥がジーンとなることもある。しかし、なんだかつまらないのだ、満足していないのである、世界がモノクロに見えるのである。


「…てるのか?」

「へ?」

「いや、『へ?』じゃなくてお前人の話聞いてるのか?」

考え事をしている間に昴が何かしら話していたらしい

「すまない」

とりあえずお詫びの言葉を述べる

「はー、しっかりしろよ、受験落ちても知らんぞ」

昔からそうだがこいつは割と毒舌なのだ。

「悪い悪い」

内心イラつきながらも聞いてなかった自分が悪いと必死にイラついを抑えて俺は今の会話の内容をもう一度聞いて見ることにした

「で?なんの話だったっけ?」

「今日の稽古の内容だ」

どうやら剣道部の今日の練習メニューについて話していたらしい

「そんなもん部長のお前に任せるよ」

俺はそういうことは面倒なので全て任せることにした。

「えらく投げやりだな」

昴の言うことももっともである。

「いや、別に俺はそこまでやりたい練習があるわけでもないしな」

「そうか…ならテキトーに考えとくわ」

そう言いつつも昴は早速どんな稽古内容にするかを考え始めたようだった。


そうこうしている間にあっと言う間に学校へついた


学校では既に部活動の朝練、委員会の仕事などで投稿している生徒がちらほらいた。


「じゃーね、お兄ちゃん」

「おー後でなー」

「じゃーねかおりちゃん」

2年のかおりと下駄箱で別れて俺と昴は自分たちの教室へ向かう。

「相変わらずかおりちゃんは元気だなー」

もう少しは頭があればいいと思うのだがな

「それしかあいつにはないからな」

俺は今の考えを少しオブラートに包んで話す

「そんなこと言ってお前だって嫌いじゃないだろ?」

昴は俺の心を見透かしたように言う

「ただもう少し年頃だと言うことも理解してほしいな」

俺は昴に今日の朝のことを話す。すると昴はゲラゲラと笑い始めた。

「まったく、笑い事じゃねーよ」

俺は昴の脇腹を軽く殴る。

「ぐ!悪い悪い」

脇腹を抑えながらもまだ笑っている。

こんな腹の黒い友人を持ってしまったと思うと少し悲しくなる。

などと話していると一つ重要なことを思い出した。

「あーそういえば今日図書委員の仕事あるから部活遅れるわー」

教室へ向かう途中に俺は今日図書委員会の当番だったことを昴に告げる。

「わかった、てかお前また図書館にラノベ入れただろ?」

これを聞けばわかると思うが俺と昴はアニメやゲーム、ラノベが大好きなオタクなのである。

昴は俺がこの間学校に頼んで入れてもらった本について話してきた

「あー今回リ○ロとエ○マンガ先生入れたぞー」

最近話題の2作品である

「まじで?よく学校から許可が下りたな!」

ラノベときくとマイナスイメージを持つ人も多いだろうがそれは違う!

「あーまーその辺はなんとかな」

俺は毎日司書さんにお願いして、校長ともやりあったことは秘密だ

「どうせ、また校長と喧嘩したんだろ?」

どうやらお見通しだったようだ…

「なぜわかった!?」

俺は昴がなぜそれを看破できたのか疑問でしかなかった。

「お前が最初に図書室にラノベ入れた時は学校中の話題になったからな」

そうなのである、俺は学校にラノベを入れるために何度も校長とやりあっているのである。

そんなこともあってか俺は学校でかなりの有名人になってしまった

そんなことを話しているとあっという間に教室に着いた、教室のドアを開けると始業の10分前だというのにクラスの人は半分程度しかいなかった。俺たちはそれぞれの机に行き授業の支度をする。

10分後チャイムとともに教室に先生が入ってきて生徒たちはそれぞれ自分の席に着席する。

「えーっと、今日の連絡事項は特にない、強いていうなら貴重品の管理しっかりしろ」

担任の秋山先生から今日の連絡はないとのことだ

「では休み時間までゆっくりしていていいがあまり騒ぐなよ」

それだけ言って担任の秋山先生は教室を後にした。

秋山先生は金髪のロングヘアーにボンキュボの体型で男子からかなり人気がある、最初は外国人ではないかと言われたくらいである。しかし俺と昴、そのほかの剣道部員はそうはいかないのである、その理由としては、秋山先生は剣道部の顧問であり面をつけると人が変わるである。特に俺と昴はほかの部員とはわけが違うのである、もっとひどい状況なのである。それは秋山先生が俺たちの剣道の師匠の娘さんなのである。そういう理由もあってか俺たちに対してのあたりが強いのである。特に授業では俺が英語が苦手なのを知ってかよく当ててくるのだ。全くいい迷惑である。

そんなことを考えてる間に朝のHRは終わり休み時間になっていた。


「おい、郁也今期のアニメ何見てる?」

休み時間になると昴は俺の席へ来て今期のアニメについて話し始めた。

「とりあえずエ○マンガ先生と冴え○ノ、ロクア○、月が○れいだなー」

俺は今現在見ているアニメについて話を始める

「最後のだけ知らないなー、他はおんなじような感じだけど」

昴は俺が最後に行ったタイトルが引っかかったようだ

「どんなアニメなんだ?」

昴はアニメに関しては食わず嫌いなところがあるが俺と趣味が合うためいいアニメがあったらお互いに紹介をするのはいつものことだ

「普通の恋愛系かなー」

俺はまずそのアニメのジャンルを教えた

「どういう感じだ?」

昴はどうやら興味があるらしく月がき○いについてもっと聞きたげだった。

「俺の家に録画してあるから今日部活の後見にくる?」

「見て見たいし行くことにするよ、どうせ親父はまた夜中まで帰ってこないだろうし」

「なら、うちで飯食ってくか?どうせお前の夕食カップ麺だろ?」

俺は昴を夕食に誘った

昴の両親は昴が10歳の頃に離婚し、昴は父親に引き取られた。昴は必然的に冷えに1人でいることが多くなり、加えて面倒臭がりな性格であるためご飯といえばレンジでチンかお湯を注ぐていどなのである。

なので、しばしばうちに飯を食いにこさせているのだ。

「いや、今日はレトルトのカレーにしようとしてたんだが…」

昴は今日の自分の夕食についての弁明をはじめた

「どっちも大差ねーよ!」

俺は思わずつっこんだ。

「今日の夕食当番ねーちゃんだし」

ここで俺はこいつの弱点である俺の姉、咲紀の話をした。

「あー、それならお邪魔させてもらうとするか」

「わかった、ねーちゃんに夕食一人分出してもらうように言っとくよ」

「頼むよ」

俺は早速制服のポケットからスマートフォンを取り出し姉に向けてラインを送る


『今日昴が飯食いにくるから飯一人分追加で』

『すばるんがくるの?おっけー何食べたいか聞いといて』

『わかったー』


「昴今日何が食べたいかねーちゃんが聞いてくれって」

俺は姉に言われるまま昴に今日の夕食の候補を聞いた

「それならオムライスがいいな」

昴はこんなかっこいい見た目にもかかわらず味覚は案外子供で2人で出かけるとクレープなどをよく食べるのだ。

「わかった」

俺は再びスマートフォンを起動し、姉にラインを送る。」


『昴はオムライスが食べたいって』

『相変わらず味覚はお子様だねーあんなにかっこいいのにー』

それは俺もずっと疑問に思っていることだ。

『まーりょうかーい』

姉からとりあえず今日の夕飯はオムライスにすることを決定したらしい連絡が届く。

『ところで今日は部活何時になる終わるの?』

姉がこういうことを聞くときは99%買い出しの荷物持ちである。俺の後ろで画面を覗き込んでいる昴もそれを察しているようだ

『荷物持ちだね、わかった』

『なんでわかったの?』

逆になんでわかんないの?とツッコミを入れたい気持ちを抑えつつ俺はそれに被せるようにメッセージを送る

『6時くらいには終わると思うから6時半にいつものスーパーで待ち合わせね』

俺はこれ以上話すのを面倒臭がって時間と場所のみを一方的に伝えケータイをスリープモードにする。


キーンコーンカーンコーン

ここでタイミングよく1時間目のはじまりを告げるチャイムが学校中に響き渡る。


今日の1時間目は英語だったか?朝からテンション下がるなー

そう思っているとさっそく担当教諭である秋山先生が来て授業を始める。

1時間目はさえ終わればあとは流れるように授業は進みもう放課後である。


「じゃー俺は図書委員の方行くわー」

俺は昴に挨拶をし図書室へと向かう。

「さて、今日は何人くらい来るかな?」

俺が図書室にライトノベルを入れたからというもの図書館の利用者数は増え図書委員は大忙しである。


「こんにちはー、図書委員水野でーす」

図書館に到着するやいなや俺はさっそく司書室へ行き今日の仕事の説明を受けた。とは言っても俺たちには本の貸し出しと本棚の整理くらいしかできないためカウンターでラノベを読みながら図書委員の仕事を行うのが基本である。

しかし、この日は違った

「え?図書委員の店頭購入ですか?」

そうだ、と頷くのは我が校の図書室の司書である山崎さんだ。山崎さんは初老の優しいおじさんというのが学校での共通認識である。

「7月20日に図書室へ入れる本を買いに行くから参加不参加を6月中に教えてね。」

そう言う山崎さんから図書委員の店頭購入についての要項が書かれたプリントを受け取る。

「わかりました。じゃー仕事に入ります」

俺は山崎さんに一礼し司書室を一度出てから図書室のカウンターへと向かう。

このときすでに図書室には5.6人程度人が来ており、課題をやっているのか教科書とノートを広げパンを走らせるもの、女子生徒が3人ほど固まって最近人気の俳優などが載っているティーンズ誌を眺めているものも十人十色である。

俺はカウンターの引き出しから日誌を取り出して担当者名のところに自分の名前を記入し今いる人数を入館者数のところへ正の字で記入して行く。


「あのー貸し出しお願いします。」

おっとそうこうしているうちにさっそく貸し出し依頼が来た。

「学年、クラス、名前を教えてください」

最近では学校の図書室も貸し出しなどが全てコンピューター管理になり貸し出し、返却もとても楽になったのである。

「2年3組の関野ふたばです。」

彼女はかなりの頻度で図書室を利用しており、俺が当番の日も毎回のように本を借りて行く。

「はいはい、関野さんねー」

名簿から関野ふたばさんの名前をを探しキャッシャーで読み込み続いて本のバーコードを読み込み、エンターキーを叩く。

「それでは2週間後までに返してください」

「はーい」

関野さんはのんびりとした声で返事をして図書室を後にした。

その後も12.3人が貸し出しや返却、そのほかにも本の場所案内などかなり忙しかった


午後5時図書室の閉館時間だ。

「図書室の閉館時間でーす、退室をお願いしまーす」

俺は図書室にいる生徒に向けて図書室をもうすぐしめると言うことをカウンターから呼びかけた。すると図書室にいた生徒たちは図書室を後にした。

俺は日誌に今日の合計の入館者数、貸し出し巻数、返却巻数を記入し、感想などを記入し司書室へ持って行った

「山崎さん、日誌持って来ましたー」

俺は司書室にいるであろう山崎さんに入り口で呼ぶが返事がない…

恐る恐る室内へ入るとそこには置手紙があった

『水野くんへ

ちょっと職員室へ行って来ます。日誌は机に置いて、 図書室を施錠して鍵を職員室に持って来てください。

山崎』

どうやら山崎さんは職員室へ行っているようだ。

このメモの指示通り日誌を山崎さんの机に置き、図書室を施錠して職員室へ向かう。すると、途中で山崎さんと会いそこで鍵を渡して俺は部活へ向かう。


剣道部は学校の近所住民からうるさいと言われ続けたため近くの公民館で練習をしている。

「今ならまだ間に合うはずだ」

俺は防具を背負ってまだ剣道部が活動していることを祈りながら公民館への道を急ぐ


俺が公民館についたとき、剣道部はちょうど休憩中だったらしく皆が水分補給をしていた。


「悪い遅れた」

俺は一応部長である昴のもとへ行く

「委員会なんだからねしょうがねーよ、それより早く着替えろこれから試合稽古やるから」

あらかじめ連絡しておいたおかげでスムーズに話が進んでくれた。

「わかった」

俺は防具袋の中から道着をだし、着替えを始める。

「お兄さん遅かったですね」

この子は俺の妹の同級生で親友の羽島千景ちゃんである。彼女は髪は肩にかかる程度であり俺を慕ってくれるもう1人の妹のような子である。

「あー、委員会の仕事でね」

「そうだったんですか」

俺は着替えをしながら千景ちゃんの質問に答える。

「郁也が着替え終わったら始めるぞー」

昴から号令がかかり俺の方は視線が集まる。

そこでちょうど俺は着替えを終えた。

「じゃー始めるぞー」

この後剣道部では、試合稽古を4回ほどやり解散となった。

「ねーちゃんに連絡するな」

俺と昴は剣道部のミーティングを終えて、ようやく学校から解放されたところだ

「ああ」

俺はポケットからスマホを取り出し姉にラインを送る。


『今終わって学校出たところ』

するとすぐに姉から返事が来る

『わかったーじゃー予定通りいつものスーパーねー』

『わかった』


「予定通りスーパー集合だってさ」

「行くか」

俺と昴はいつものスーパーへ行くべく歩き始めた。

この街はいわゆる地方都市であり、ゆったりと不便なく暮らせるというとても便利な街で最近ではベットタウンとして人気である。そんな中俺たちがいつも行っているスーパーはデパートなど大型アミューズメント施設に向かう途中にある店で毎日主婦の人たちから贔屓にされている。ちなみに学校からは徒歩10分と行ったところだ。

俺たちがスーパーの入り口の前で信号待ちをしていると後ろから

「おーい郁也ーすばるんー」

姉である。姉は女性としては少し低めの声ではあるがそれがツボな男もいるらしく、少なくとも月に一回は告白をされるという姉である。特徴を述べるのであれば黒髪ロングでスレンダー体系で脚が綺麗、俺のように少しだけ目つきが悪い、言ってしまえばクールビューティという部類に入るのだと思う。歳は18歳で進路を決めあぐねているようだ。


「おっす、グッドタイミングだね」

「お久しぶりです、咲紀さん」

昴は少し硬めに挨拶をする。

「すばるん最近冷たくない?そんなにかしこまらないでいいんだよー」

俺もそれについては疑問に思っていた、というのもこいつは中学に上がったくらいから姉に対してとても律儀になったのだ。

「別に普通ですよ」

今となってはもう慣れたが最初は誰だこいつと思ってしますほどびっくりしてしまったものだ。

「じゃー行きましょうか」

昴は信号が変わったのと同時に俺たちに声を変えてスーパーへ入って行く

「本当にすばるんどうしたんだろうねー」

姉は今もなお不思議そうな顔をしている。

「まーいいじゃないか、さっさと買い物して帰ろうお腹減っちゃったよ」

俺は自分が空腹だということを伝え買い物を早くするように促す。

「ごめん、じゃあ早く行こ!」

姉はそれだけ言うとさっさと店内に入っていった。

部活の話や進路の話などをしながら3人で買い物をしているとすぐに買い物は終わり、帰宅


「おかえりー」

家に帰ると妹のかおりはすでに帰ってきていたようでリビングで出迎えてくれた。

「あれ?昴先輩?」

かおりは不思議そうに昴を見る

「やぁかおりちゃん、今日はこいつに誘われて夕飯をご馳走になりにきたんだ」

昴は俺の方を指差し我が家に来ることになった経緯についてを話す。

「そうだったんですかー」

「2人ともお風呂はいってくれば?」

姉は俺たち2人に風呂に入るよう促してきた。

そういえば今日は暑かったせいかいつもより汗をかいてる気がする。

「昴先入ってこいよ、その間にテレビの方は準備しておくから」

みんな忘れてるかもしれないが、元はといえば昴は俺の家にアニメを見にきたのである。

「そうするよ、でも、とりあえず着替えを取りにお前の部屋に行く」

昴がうちに来ることは珍しくないので2日ぶんほどの着替えが俺の部屋に置いてあるのだ

「そうだな」

俺たちは階段を上がり二階にある俺の部屋へ向かう

「相変わらずだなー」

昴の俺の部屋に対する感想はいつも同じである。

俺の部屋は8畳ほどありテレビ、パソコン、こたつ、ベットや本棚などが整理して置いてあり本棚にはびっしりと本が入っており、ちなみに8割くらいはラノベである、ほかの棚にはゲームやフィギュアなどが飾られている。壁にはアニメなどのポスターが多数飾ってあるという状況だ。

「いい加減見慣れただろ?」

昴は何度も俺の部屋に来ているが未だにこの状況を見慣れないようだ

「お前これがなければモテると思うぞ…」

何をいうのかと思えば、なんてバカなことを…

「そんなわけないだろ」

俺は自分がオタクであげくに前述のような悩みがあるのだ彼女などできるわけがない

「それより早く風呂入ってこいよ」

そうこうしているうちにちょうど風呂が沸いたみたいだ。

「じゃいただきます」

そうして俺たちは昴、俺、そしてお湯がもっえないという理由からかおりも続いて風呂に入る。かおりが風呂を出る頃には夕食が食卓に並べられていた。

今日の夕食は、レタスとハムのサラダとオムライス、そして、コンソメスープである。余談ではあるがオムライスの卵は俺以外固焼き派なので俺は自分で卵を焼いた。なぜトロトロ卵が嫌いなのだろうか?

夕食を食べ終わると、俺と昴は俺の部屋にきて例のアニメを鑑賞する。そんなことをしていたら11時になっていたので昴は今日うちに泊まることになった。


ピロン

俺たちがテレビを見ているといきなり俺のケータイにメールが届く、送り主は秋山先生だった


『わるい、明日転校生が来るということを伝え忘れてた!済まないんだがクラスのみんなに連絡して置いてくれ、朝から騒ぎを起こすわけにもいかなんだな』


「は?転校生!?」

俺の驚いた声に隣にいた昴はビクンと肩を震わせた

「なにどうしたの?転校生ってなに?」

昴が疑問をぶつけてきた、俺もまだ混乱している。

「明日転校生が来るらしい、連絡忘れたからみんなに連絡してくれってさ」

混乱しながらも俺は昴に今来たメールを間接まとめて昴に伝える

「それは普通忘れないだろ」

俺もそう思うよと心の中で共感する。

「まーとりあえずクラスのグループに送っておくよ」

俺はケータイを持ったままラインのアプリを起動しクラスのグループトークに


『明日うちのクラスに転校生が来るらしいよ』

と一言伝えると


『まじ?』『男?女?』『写真とかないの?』

などと送られて来て完全に舞い上がっているのがわかる。

『さっき秋山先生から連絡が来た、詳細は教えてくれなかったよ』

と俺がラインを送ると

『え?お前秋山先生の連絡先知ってるの?』

と秋山先生のファンの男子が聞いて来た。

『うん、剣道部の連絡用にね』

剣道部の部員なら大体知っていると思うがそれ以上広がるなと秋山先生に言われていたのでおそらくこれは墓穴を掘ったのだと俺は悟る

『うらやましー』『なんだよそれ!』

などうらやましがる男子や

『てか、転校生の件は?』

などいまだに転校生に食いつくやつまでいる、どうやらこれは収拾がつきそうにない。

1時間ほどするとようやくみんな寝たらしくラインの無限地獄からは解放された。


「俺たちもそろそろ寝るか?」

昴の提案に

「そうだな、もう眠いよ」

俺たちは日をまたいだくらいの時間に床についた。


翌日


翌日の朝食はオムライスで余ったチキンライスとコンソメスープで済ませて少し早めに家を出る。


学校には昨日とは打って変わって始業の20分前にもかかわらずほとんどの生徒が登校していた。おそらく転校生が気になるのだろう。

「あ!郁也と昴がきたぞ!」

1人の男子がこちらに気づくとクラス全員がこちらを見る。あーこれはやばいと俺たちは顔を見合わせて即座に教室から逃走した。自分たちの席に座れたのは始業の2分前のことだ。


ガラガラと扉を開ける音が教室内に響き、先生と転校生らしき女の子が入って来る。


その子は顔は普通よりも可愛く、清楚系といった感じで少し茶髪がかった黒髪のショートボブの女の子




このとき俺は奇妙な感覚に見舞われた。


まるで時が止まったような感覚に陥る


そうそれはまさに走馬灯のような


まるで俺の心臓が止まったような感覚



そのとき、俺の目には奇妙なことが起こる。

全てが色あせて見えていた世界が色づきはじめる。

彼女を中心に、いや、これは、彼女のみが色づいて見えるのである…


俺はこのとき生まれて初めて自分の世界が色付くのを感じた…



つづく




最後まで読んでいただきありがとうございます。


この作品は連載となっているのでこの後も続いていきます。

今後も読んでいただけると幸いです。


クロハ

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