亜里沙と楠葉
久遠達はそれぞれの持ち場に向かっている頃、街では色々な意味で混乱していた。
久遠達によって張られた結界のおかげで住人達は外へ逃げることさえ出来ない。さらに、冒険者達も同様で依頼を受けたにも関わらず街の外へ出れないでいた。
まぁ、久遠達にしてみれば足手まといは要らないので今の状態が最善なのではあるのだが・・・。
街の様子はさておき、街の外に目を向けてみよう。
亜里沙と楠葉が向かった街の反対側。二人が着いたときには依頼で外にいた冒険者と魔物の大軍が交戦していた。
「あら、既に始まってますね。」
「そのようだな。だが、圧倒的に冒険者側が不利だな。」
楠葉の言葉から判るように冒険者が不利である。何せ冒険者は二十人も居ないのである。
パーティー別に戦ってはいるのだが、如何せん他のパーティーとの連携が取れていない。そのため、死者は出ていないものの怪我人が出ていた。
「亜里沙殿、参戦するか?」
「もちろんです。ですが、まずは戦力を一つに纏める必要がありますね。と、言うわけですから楠葉さん、お願いしますね。」
亜里沙のお願いが何なのかを理解した楠葉は一言でまとめた。
「心得た!」
と同時に楠葉は駆け出し、冒険者と魔物の間に割って入った。
「さて、私もやらないといけませんね。」
亜里沙は冒険者の集まる場所へと向かった。
「さて、みなさん。このままでは確実に負けます。ですので、戦力を一つに纏め魔物を殲滅したいのですがよろしいですか?あっ、ちなみに指揮は私が取ります。」
いきなり自分達の前に現れた亜里沙が話始めた。だが、内容を聞いた冒険者達は渋った。
理由は、討伐の報酬が減るとのことである。
「あなた達は、このまま戦い続けて生き残れると思っているんですか?すでに、重傷者を出しているにも関わらず。そんな甘い考えなら今ここで私が引導を渡してあげます。」
亜里沙は、冒険者達の考えに腹をたて威圧した。
亜里沙の威圧に顔を青くして震える冒険者達。この威圧が魔物の大軍にも影響が出ていることを亜里沙は知らない。
「戦力は必要ですから回復してあげます。『リザレクション』これで大丈夫ですよね?」
亜里沙の回復魔法により、冒険者達の傷は癒えた。これにより、冒険者達は亜里沙の傘下に入ることが決まった。
「では、これより魔物の殲滅を開始します。と言うよりも既に私の知り合いが始めています。ですから、撃ち漏らしを皆さんにお願いしたいと思います。ちなみに、私も最前線に向かいますのでよろしくお願いします。」
そう言うと亜里沙は武器を構え、楠葉の元へと向かおうとした。
「言い忘れましたが、仲間割れはしないでくださいね?仲間割れをすれば死ぬ確率があがりますから。」
そう言い残し今度こそ亜里沙は楠葉の元へと向かった。
冒険者達は、仲間割れをせず亜里沙と楠葉の撃ち漏らしを必死になって戦ったのは言うまでもない。
一方、楠葉はと言えば久々の戦闘ということもありハイテンションで魔物を斬り伏せていた。
「獅吼○雷陣!!」
楠葉の放った技は、前方の魔物を一掃した。だが、まだその後ろには大量の魔物が控えていた。
「うむ、きりがないな。どうしたものか・・・。」
「殲滅あるのみです。」
「亜里沙殿か。以外に早かったな?」
「お話をしましたから。」
「・・・聞かないでおく。」
内容を聞かないことを決めた楠葉だった。
「それでどの様に殲滅するのだ?」
「ありとあらゆる技や魔法をぶちかまします!折角、兄さんとの時間が取れると思ったのに・・・。ですので、瞬殺、滅殺です。」
若干、性格が壊れ始めた亜里沙である。
「わかった。では、始めるとしよう。」
そして、亜里沙と楠葉よる魔物退治が始まった。




