休憩時間
午前中の試合も終わり、今は午後の試合までの休憩中。
選手も観客も各自昼食を食べに街の店や屋台に向かっている。
そんな中、久遠達は闘技場から少し離れた公園でシートを敷きお弁当を広げていた。
メンバーはいつものメンバーで、久遠、華音、遥香、紗良、優真、カルディナにサリア。そこに、何故か亜里沙に楠葉が加わっていた。
「久々に兄さんの手料理が食べれます。」
と言いながら今か今かとお弁当の蓋が開けられるのを待っていた。
対する楠葉は、申し訳なさそうにしていた。
「申し訳ありません、久遠殿。家族水入らずなのに。」
とひたすら謝り続けていた。
「気にしなくていいですよ。こうなることを予想してお弁当も余分に作ってありますから。」
久遠と華音はこうなることを予想し、お弁当を余分に作っていた。しかも、量は半端ない量である。
「ありがとうございます。」
とお礼を言う楠葉。謝る楠葉を尻目に亜里沙は久遠にお弁当を早く開けるように言う。
「兄さん、早く開けてください。そして、早く食べましょう!」
「分かったから少し待て。」
と言いながら久遠は蓋を開けていく。
お弁当の中身は、おにぎりにサンドイッチがメインで、おかずに鶏のからあげ、卵焼き、タコさんウィンナーもどきなどで所謂、遠足のおかずである。
おにぎりは塩味の一択だが、サンドイッチの種類は豊富である。
「流石は兄さんです。私の好みを覚えていてくれたのですね。」
と我先に取ろうとするが華音に遮られる。
「亜里沙、食べる前にすることがありますよね?」
亜里沙は、首を傾げるがすぐに思いあたり手を戻した。
「じゃぁ、食べるぞ。いただきます!」
久遠の号令のもと全員が声を揃えた。
「「「「いただきます!!」」」」
「ちょ、それは私のです!!」
「違うよ、私のだよ!」
亜里沙VS紗良の争奪戦が始まった。
そんな二人のことを気にしずマイペースに食べる遥香と優真。
「遥香お姉ちゃん、からあげ取ってくる?」
「いいですよ?何個ですか?」
「取り敢えず二つかな?」
「はい、どうぞ。」
「ありがとう。」
仲のいい姉弟である。
「あなた、何か取りましょうか?」
「うん?じゃぁ、卵焼きで。」
「はい、あーんしてください。」
「いや、自分で食べれ「あーん」る・・・あーん。」
この夫婦は何時にも増してラブラブである。
「サリア殿、まだからあげを食べますか?」
「うむ、頼む。」
「はい、どうぞ。」
サリアは楠葉の膝の上で座り、楠葉に撫でられながら食事を楽しんでいた。
「えっ?私だけボッチ?何故?おかしくないですか?」
カルディナの独り言を誰も聞いていない。人数的に仕方ないことである。誰かがボッチになるのは必然、運命である。
負けるな、カルディナ。精霊王達よりはマシでしょ?
それはさておき、昼食も一段落し午後の試合が始まるまで座談会が開催された。
「兄さん、何時になったら私を呼んでもらえるんですか?」
「いや、亜里沙。お前が一段落したら自分で来るって言ったよな?てか、自分で学園のトップになっておいて酷い言いぐさだな?」
「うっ、仕方ないじゃないですか?やる人が帝国に居なかったんですから。」
「いや、そんなこと知らんし。」
と、決着がまるで着かない言い争いを続ける久遠と亜里沙。そこに、亜里沙にとっての救いの女神が現れた。
「なら、一緒に住みますか?」
その女神は華音だった。
「えっ?いいんですか、姉さん?」
「別に構いませんよ?学園のトップだからといって学園近くに住む必要はないんですよね?」
「確かにそうですね。でも、本当にいいんですか?」
「構いませんよ。もちろん、家のルールには従ってもらいます。」
「従います!!」
「わかりました。楠葉はどうしますか?貴女も一緒に住みますか?」
と華音は楠葉にも尋ねた。
「もちろん、お願いします。一応、亜里沙殿の護衛でもありますから。」
「わかりました。大会が終わり次第引っ越しをしましょう。」
と久遠が割ってはいる間もなく亜里沙、楠葉の同居が決まった。
「一応、俺が家主なんだけど・・・。」
誰も聞いていない久遠の独り言?であった。
休憩時間も終わり、午後の試合が開始された。
そして、試合も順調に消化し紗良の出場する最終試合が始まる。




