遥香の初戦
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第三試合まで終わり、午前の最後の試合になった。第四試合は遥香の試合である。
「さて、遥香の試合だな。優真を見る限り問題は無いとは思うが。」
「そうですね。しかし、油断すれば一瞬で負けてしまいますから。」
「確かにな。おっ、出てきたな。」
「相手は女性ですね。」
そう、遥香の相手は女性である。見た目から年齢は十代後半だろう。髪は赤く瞳の色も炎のように赤い。どこぞの灼眼さんのようである。
「「シ○ナ(ちゃん)!?」」
と久遠と華音が同時に叫ぶ。まぁ、本人が居たらおかしいのだが・・・。それほどに似ているので仕方ない。
場所を闘技場に移そう。
「ハルカ・スメラギと申します。よろしくお願いいたします。」
遥香は名を名乗り一礼した。対する相手も名乗る。
「私は、シャラと申します。以後お見知りおきを。」
シャラも同様に一礼した。
観客席では久遠は華音が「一文字違い!?」と叫んでいるが気にしない。
『第四試合は女性同士の対戦です。シャラ選手は冒険者ランクは先日登録をしたばかりで実力は未知数。予選を危なげなく勝ち上がってきました。対するハルカ選手は第一試合のユウマ選手のお姉さんです。こちらも未だ実力は未知数。どのような戦いになるか見物です。』
『そうですね、お互い実力を隠して予選を勝ち上がってきました。もしかしたらこの試合は何か起こるかもしれませんね。』
亜里沙と実況の解説が続く。その頃、闘技場では・・・。
「貴女のような強い方と戦えて嬉しいです。最初から全力で行かせていただきますね。」
遥香はシャラにそう宣言した。対するシャラも微笑みながら答えた。
「えぇ、私もそのつもりです。ですが、負けるのは私の方でしょうね。」
シャラは自身が負けると言い放った。その言葉に疑問を抱いた遥香は尋ねた。
「何故、貴女が負けると?」
「勝てる要素がありませんから。剣技、魔法、体術。どれを取っても勝てる要素がありませんから。」
とシャラは遥香に答えた。ちょうどその時、亜里沙達の解説も終わり、開始の合図がもたらされる。
『それでは第四試合、始めてください!!』
合図と同時に遥香とシャラは一礼し、武器を構えた。
遥香は片手剣の二刀流。対するシャラは大剣。お互いに武器を構えた状態で睨み合う。
「こちらから行かせていただきますね。」
言葉と同時にシャラが動いた。
大剣を右側に下ろし走り出した。見るからに切り上げをする体勢である。
その行動を見た遥香は瞬時に二刀で受けるのをやめ、回避に専念する。
「はぁぁぁぁぁ!!」
やはり、シャラは切り上げてきた。それをバックステップでかわす遥香。回避と同時に攻撃を仕掛けようとした遥香は思い止まった。それは何故か?
それは、シャラが振り上げた大剣を直ぐ様切り返し上段から降り下ろしたのである。
普通、大剣は攻撃力に特化している。そのため、隙が大きくなる。しかし、シャラの攻撃はその隙すらなく連撃が可能なのである。
「くぅぅぅ!」
結果、遥香は二刀で降り下ろされた大剣を受け流すしかなかった。
連撃を行ったシャラは一旦距離をとり遥香から離れた。
「今のを受け流すとは流石ですね。大体の人は大剣での連撃を想定しず攻撃を仕掛けてくるのですが・・・。」
「私も焦りました。大剣に関しては誰も使うことが無かったので一般常識しかありませんでしたから。ですが、これからはその常識を捨て片手剣のように対処しようと思います。」
と遥香は答えた。その答えを聞いたシャラは、やはり笑顔で答えた。
「うん。流石にそんな風に対処されたら勝てないかな?でも、勝てなくても全力を出すから。」
「はい。では、次は私から行きますね。」
と同時に遥香は動いた。
一瞬でシャラの目の前に移動し二刀での連撃に入る。
「ちょ、ちょっと速すぎる!」
「まだまだこれからですよ?」
絶え間なく続く遥香の連撃。それを大剣で受けるシャラ。だが、確実にシャラの体力を削り、傷を負わせていく。
一通りの連撃を終えようとした瞬間、遥香は急にシャラから距離をとった。
「バレた・・・みたいですね。」
「何をしようとしたのですか?」
「自爆覚悟の一撃をお見舞いしようと。」
シャラは遥香の連撃を終わらせるため捨て身の技を放とうとしていたのである。
「そんな事をすれば貴女も只じゃ済まないはずですよ?」
「そうですね。引き分けぐらいには持ち込めたと思いますよ?」
「はぁ、仕方ありませんね。自爆されるのは嫌なので早々に決着を着けたいと思います。」
といい遥香は構え直した。
「そうですね。これ以上は私も持ちませんから。自爆以外で最高の技でお相手いたします。」
シャラも最後の一撃を放つため構え直した。
「では、参ります。皇流二刀奥義『蓮華鳳仙!!』」
「参ります。『閃光連撃!!』
両者とも目にも止まらぬ速さでの連撃を繰り出した。
ただ、最後の一撃だけが違った。
シャラは連撃で終わるのに対して遥香の最後の一撃は鳳凰の形をした至近距離での衝撃波が最後である。
ただ今回はそこまでいくことはなかった。
キィィィィィィン
シャラの大剣が宙を舞い、闘技場の舞台に突き刺さった。
『勝者、ハルカ・スメラギ!!』
ワァァァァァァ
観客から歓声があがる。
「やっぱり負けましたね。ありがとうございました。」
「いえ、こちらこそありがとうございました。良い経験になりました。」
と言いお互いに一礼し控え室に戻った。
午前中の試合は終わり、昼食を挟んで午後の試合が行われる。




