優真の初戦
決勝トーナメント開始です。
実況の開始の合図があり試合は始まった。
『おや?始まったばかりとは言え、二人とも動きがありませんね?何故でしょうか?』
実況は、開始直後から両者が激しく戦うと思っていたようで物足りなさからこんな言葉が出たのである。
『お互いに探っているのですよ。ある程度戦いなれた者であれば相手の実力を探るのは常套手段ですから』
『確かにそうかもしれませんね。ですが、相手は子供です。如何に予選を突破してきたとはいえ、筋骨粒々の大人に勝てるとは思いません。』
『確かに普通の子供ならそうでしょう。ですが、相手の子供が普通を逸脱した存在ならどうでしょうか?幼少期より剣と魔法を教えられ、あらゆる状況下でも生き残る術を叩き込まれていたら?』
『そんな子供が存在『動きがあるみたいですよ?』す・・・えっ?』
実況は、亜里沙の方を向いていたため亜里沙の言葉にすぐに反応したが、既に遅かった。
亜里沙と実況が解説をし始めた頃、闘技場の中央では優真が相手の力量を測っていた。
(実力で言えば、パパやママより遥かに下なんだけど・・・。雰囲気では対人戦に慣れているようなんだよなぁ。僕自身、対人戦はあまり得意じゃないんだよなぁ。対人戦の相手がパパやママ、カルディナさんだけだったから。)
そんな事を考えながら相手を見つめている優真。しかし、相手は相手で優真を見ながら思った。
(こいつは、本当に十歳のガキなのか?明らかにガキの気配じゃない。歴戦の強者のような存在にしか思えん。一体、どんなことをすればこんなガキが育つんだ?)
相手は優真の実力をある程度看破した。しかし、それはやはりある程度である。だが、それでも流石である。
(ここは、一撃で決めないと勝てる見込みがないな。持ちかけてみるか・・・。)
優真の対戦相手は、一つの結論に達した。それは、お互いに最強の技を繰り出し決着をつけるのである。
「なぁ、このまま睨み合いを続けても仕方がない。そこで、お互いの最強の技で決着をつけないか?」
優真は相手の意図を感じとり考えた。
(一撃必殺・・・。確かにこのまま続けても仕方ないよね?でも、最強の技したらこの闘技場が壊れちゃうかな?どうしようかな?)
とそこへ念話が届く。
(優真、相手を殺さなければそれでいいですよ?好きにやりなさい。ただし、技は考えて使いなさい。)
華音からの念話である。
(ママ、わかった。)
華音からの許しが出たことで優真は決意した。
「いいですよ。ですが、一つ条件があります。それを飲んでください。」
「条件とはなんだ?」
「貴方の技を相殺したなら負けを認めてください。」
「相殺できなければ俺の勝ちでいいんだな?」
「はい、構いません。」
「・・・、わかった。」
「では、お願いします。」
優真は、礼をし答えた。
「では行くぞ!!『真空双烈波!!』」
十字になった衝撃波が放たれた。
「じゃぁ、僕はどうしようかな?あっ、あれがいいかな。『極○壁!!』」
優真が叫ぶと優真の前に光の壁が出現した。
「なっ!?」
衝撃波は光の壁に当たり、見事に消え去った。
その後、光の壁は消え去り優真は悠然と立っていた。その姿を見た相手の男は呆然と立ち尽くしていた。
「負けを認めてくれますか?」
優真の言葉に男は我に返り、宣言をした。
「あぁ、俺の敗けだ。」
闘技場の外にいた審判が男の宣言を聞き言う。
「勝者、ユウマ・スメラギ!」
この瞬間、歓声があがる。しかし、中にはちゃんと戦えだのヤジを飛ばす者もいたのだが、周りには中堅クラスの冒険者がおり、こと細かく説明され大人しくなったとかならなかったとか。
『一体、何が起こったのでしょうか?お互いに技を出したと思ったら降参と言う形で試合が終わってしまいました。』
『簡単なことです。お互いに自身が持つ最高の技を繰り出した。そして、優真選手がそれを防ぎきった。そして、相手選手が降参した。ただ、それだけです。』
と優真達の会話を聞いていた亜里沙が解説をした。
『そうなんですね。第一試合はこれにて終了です。続けて第二試合を始めたいと思います。』
優真は、控え室に戻る最中、相手選手と通路を歩いていた。
「まだ、本気を出していないな?」
「まぁ、そうですね。本気を出すのは僕の姉達と戦うときぐらいですかね?」
優真の答えに愕然とする男。
「規格外だな。一体、誰に教えてもらえばこんな風になるんだ?」
独り言のように呟く。
「両親とメイドさんですね。」
と優真は答えた。ただ、その答えが男にとって驚愕であった。
「ま、まぁなんにせよこの後も頑張れよ。」
「はい、ありがとうございます。」
と優真はお礼をいい頭を下げた。
そして、控え室に戻った優真は姉達に揉みくちゃにされた。
そして試合は進み、第四試合となる。そう、遥香の試合である。
久々にテ○ルズの技を出しました。もし、こんな奥義やら魔法を出してほしいなどがあれば教えて下さい。出来る限り出したいと思います。あっ、別にテイ○ズじゃなくてもいいです。べ、別に技名を考えるのがメンドイわけじゃないですからね?




