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決勝トーナメント直前

試合までいけませんでした。ごめんなさい。

闘技場に着いた皇一家は、選手控え室に続く道まで遥香、紗良、優真を見送りに来ていた。


「三人共、悔いの残らないようにな。」

「優勝は無理でも構いませんから。時には退くことも大事ですよ。」

「頑張ってください。」

「私を獸魔にしたんだからちゃんと頑張りなさいよ?」


久遠、華音、カルディナ、サリアの順に言葉をかける。


「「「はい!!」」」


と元気な返事を返す三人。


「行ってこい!」


久遠が三人を送り出す言葉をかけると子供達は頷き控え室に向かった。



子供達と別れた久遠達は、観客席に向かおうと歩き出した。そんな時、久遠達に声がかけられる。


「兄さん、姉さん、お久し振りです。」

「久遠殿、華音殿、お久し振りです。」


声をかけてきた人物は、亜里沙と楠葉だった。


「久し振りだな、元気にしていたか?」

「お久し振りです、お二人共お元気そうで何よりです。」


と返事を返す久遠と華音。


「兄さん達は子供達の応援ですか?」

「あぁ、そうだ。三人共決勝に進んだからな。」

「どちらで応援するのですか?」

「そりゃ一般席だぞ?」


と答える久遠。その答えを待っていたかのように亜里沙が言う。


「では、周りを気にせずいい場所があるのですが如何ですか?」


亜里沙の言葉に久遠と華音は察しがついた。簡単に言うとVIP席があるから来ないかと亜里沙は誘っているのだ。


「亜里沙、私達は一般人ですよ?そこに行けばどうなるか分かっていますよね?」


華音が亜里沙の提案を却下した。しかも、少し強めの口調で。


「私達のために言ってくれているのは分かります。しかし、子供達は私達が観客席に居ると思っています。試合に勝ったとき必ず探すと思います。なのに観客席に居ない私達を見たらどう思いますか?」


更に言う華音。そこで久遠が会話に参加する。


「華音、それぐらいにしろ。亜里沙だって俺達の事を思ってのことだ。」

「あなたが言うならこれ以上はいいません。」


押し黙る華音。対して亜里沙の表情は冴えない。


「亜里沙、心遣いありがとうな。でも、俺達は観客席で観戦する。子供達との約束だからな。」

「そう・・・ですか。わかりました、要らぬお節介でしたね。」

「いや、気遣ってくれてありがとう。やっぱり亜里沙は優しいな。」


そう言うと久遠は亜里沙の頭を撫でた。


「も、もう、兄さん。私はもう子供ではないんですよ?頭を撫でられたからといって喜ぶ歳ではありません。」


と頬を膨らませながら言う亜里沙。だが、久遠と華音にはあるはずのない尻尾が勢いよく振られているのが手に取るようにわかるのだった。


「亜里沙殿、そろそろ時間が・・・。」

「もぅそんな時間ですか。兄さん、姉さん。解説の仕事があるのでこれで失礼します。」


と頭を下げ立ち去ろうとする。


「今度、店に来い。亜里沙の好きな物を作ってやる。」


と声をかけると一瞬立ち止まり振り向き、微笑んだ。


「本当に亜里沙には甘いですね?」

「手のかかる妹だからな。」

「確かにそうですね。でも、あるはずのない尻尾が勢いよく振られているのは私の気のせいでしょうか?」

「いや、俺にも見えるから気のせいではないぞ。」

「しかも、さっきより勢いがいいですね。それほどあなたの料理が嬉しいのでしょうね。」


そんな話をしながら久遠達も観客席に向かった。



場所はかわり、選手控え室。


遥香、紗良、優真を含めた十六人の選手が集まっていた。


「それでは、決勝トーナメントのくじ引きを始めたいと思います。呼ばれた順にくじを引いてください。」


と係員が説明を始めた。


五人目までくじが引き終わり次が呼ばれる。


「では、次はサラ・スメラギさん。」

「はい!」


紗良が呼ばれくじを引く。


「十六番です。」


紗良は一回戦最終試合に決まった。


「次は、ハルカ・スメラギさん。」

「はい!」


遥香はくじを引き番号を伝える。


「七番です。」


遥香は紗良と別のブロックになった。


「次は・・・ユウマ・スメラギさん。」

「はい!」


優真の番になる。


「一番です。」


優真は一番を引き当て第一試合になった。


くじ引きも全員が引き終わり対戦表が完成した。その直後、闘技場から歓声があがった。


「今決まった対戦表が闘技場の方に転送され、表示されました。そのための歓声です。」


と係員が説明した。


「では、第一試合のお二人は直ぐに闘技場へお願いします。」


そう言い残し係員は控え室を出ていった。


「勝ち続けると遥香お姉ちゃんと準決勝で当たるんだ・・・。」

「優真、先のことは考えずまずはすぐの試合に集中しなさい。」


遥香が優真に今を集中するように言う。


「そうだね。まだ勝てるかも分からないのに先を考えても仕方ないね。ありがとう、遥香お姉ちゃん。」

「優真、パパも言ったように悔いの残らないように頑張りなさい。」

「うん。わかったよ、紗良お姉ちゃん。じゃぁ、行ってきます。」


そうは言うと優真は控え室を出ていった。



場所はかわり、闘技場。


対戦表が発表された直後。


「優真が第一試合で遥香が第四試合、紗良が最終試合か。」

「どこまで勝ち続けますかね?」

「さぁな。楽しみでいいんじゃないか?」

「そうですね。あら、優真が出てきましたよ。」


と華音が言うと久遠も優真の姿を確認した。


「緊張してるな。だが、いい緊張の仕方だ。」

「そうですね、これなら大丈夫ですね。」


優真を見てそんな事を言う久遠と華音。


そんな時、実況が開始を宣言した。


『それでは決勝トーナメントを始めたいと思います!予選とは違い決勝トーナメントは一対一の戦いです。制限時間はありません。勝敗は降参、または場外に落ちたら敗けです。もちろん、相手を殺したりしたら、即捕縛され牢屋行きですのでご注意下さい。』


その後、諸注意などの説明があり闘技場の中央には優真と対戦相手が向かい合っていた。


『それでは決勝トーナメント第一試合を開始いたします。では、始めてください!!』


実況の開始の合図で優真の試合が始まった。

新たな小説を書こうか悩み中です。異世界転生にしようとは思っていますが・・・。ちなみに、ハーレムにしないつもりでいます。まぁ、チートではありますが。

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