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その頃の久遠達は・・・

遥香、紗良、優真が決勝トーナメント進出を決める前。街ではある一ヶ所の店だけ長蛇の列ができていた。


その店とは・・・言わずと知れた久遠と華音の店。店舗兼住宅でも繁盛していたのは言うまでもないが屋台でもその人気は衰えなかった。


それもそのはず、値段の割には量がある。それに美味いと評判が広がっているためである。


「あなた、材料が切れそうです。」

「わかった。カルディナ、悪いが食材を買い足してきてくれるか?」


久遠はカルディナに食材調達をお願いした。


「わかりました。直ぐに行ってきます。」


と、返事をするや否やカルディナは買い出しに走った。


そんな長蛇の列の原因にはもう一つの理由があった。それは、店先にちょこんと座っているサリアである。


小型犬より少し大きいサイズで店の前に座っているだけなのだが、何故か客の眼はサリアに集中していた。


『何故、妾がこの様なことをしなければいけないのだ?』


サリアは、久遠に念話で話しかけてきた。


『一緒に生活しているんだから働かないとな。タダ飯を食わせてやるわけにはいかない。働かざる者食うべからずだ。』


何だかんだと言いながらも店先に座り続けるサリア。たまに客が買った商品をサリアに与えているのを見ていた久遠は「役得だろ?」と念話で伝えた。


そんなこんなで店は繁盛しまくりである。



それから時間が過ぎ、遥香、紗良、優真が予選を終え戻ってきた。


「パパ、ママ。私達、予選通過したよ。」


と紗良が言った。紗良の言葉に頷く遥香と優真。その様子を見た久遠と華音は頷きながら答えた。


「「おめでとう。取り敢えず、店を手伝って。」」


結果、遥香達三人も店を手伝うことになった。


その後、カルディナも戻って万全の態勢で残りの時間を過ごすことになった。



屋台での戦闘を終えた久遠一家は家に戻り、遥香達の予選の内容を聞きながら夕食を食べた。


「三人共、決勝トーナメントは予選とは違う。気を引き締めて戦えよ。」

「そうですね。対人戦の経験が圧倒的に少ないのですから油断しないように。」


久遠と華音は、三人に言って聞かせた。


「「「はい!!」」」



こうして長い一日が終わりを告げた。



そして翌日。


遥香達三人は闘技場へと向かい、久遠達は屋台へと向かった。久遠達にとってはある意味の戦場である。



そして、決勝トーナメントが始まった。

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