第四グループ
優真が出場する第四グループが開始されようとしていた。
「優真、どのように戦うのですか?」
と遥香が優真に予選の戦い方を聞いた。
「そうだね。いつも通りなら魔法を主体に戦うとは思うけど今回はどうしようか悩んでるよ。」
と優真は戦い方に悩んでいた。いつもなら紗良が前衛で遥香が近距離、遠距離の遊撃。優真が後衛での魔法といった感じで親である久遠と華音と模擬戦を繰り返してきた。
一対一での戦闘はあまり行っていなかった。いや、遥香と紗良に限っては毎回のように一対一を久遠と華音とで繰り返していたのだが、あまり優真は一対一をやらなかった。
理由としては自分が後衛であることと武器の扱いがあまり上手くないといったのが原因なのだが・・・。
だが、実際は優真の武器扱いはそれなりに出来ている。ただ、周りが異常なだけである。それを知らない優真はこの大会でしることになる。
「では、魔法は使わず武器だけで戦ったらどうですか?」
「一番扱いが下手なのに?」
「えぇ、だからこそ何処まで通用するか見極めるチャンスではないですか。優真は、魔法に関しては私達より遥かに凌いでいます。ですが、武器に関してはこれからの努力しだいで変わると思いますし、パパやママ以外に何処まで通用するか試してみてもいいのではないですか?」
と遥香は優真の苦手とする武器を使用して戦うことを提案した。
「うーん、確かに遥香お姉ちゃんの言う通りかもね。わかった、出来るだけ武器を使って戦ってみるよ。」
と戦い方が決まったと同時にアナウンスが響き渡る。
『只今より、第四グループの予選を開始いたします。選手の方は闘技場にお集まりください。』
第四グループに出る選手がゾロゾロと控え室を出ていく。優真もそれに着いていく。
「優真、無理はしないように。」
「三人で決勝に行こうね、優真。」
遥香、紗良の順に優真に声をかける。
「出来るだけ頑張るよ。」
と言い残し優真は控え室を出ていった。
『さぁ、第四グループの予選が始まろうとしています。続々と選手が闘技場に集まってきています。』
闘技場には選手が集まり、最後は何故か優真であった。
『さて、選手も揃いました。では、第四グループの試合を開始いたします。試合開始!!』
司会者の合図が響き渡る。
優真は、武器を構えた。優真の武器は刀である。久遠が優真のために鍛えた業物である。最近になって自分に合っている武器を見つけたのである。
構えたと言っても刀を抜いているわけではない。左手で鞘を持ち、右手は柄を軽く握っている。云わば、居合いの構えである。
優真は動かず成り行きを見守っていた。未だに誰も動かないため優真もまた動かない。
だが、一人の男が動いた。いや、この現状に痺れを切らしたのである。男は優真に襲いかかってきた。
それを見た優真はここぞとばかりに抜刀した。
その瞬間、優真を除く他の選手全員が場外へと落ちた。
「えっ?」
優真も何が起こったのか把握しきれないでいた。ただ抜刀しただけのはずなのに、何故こうなってしまったのか分からないのである。
『し、試合終了!!ですが、闘技場に残っているのは一人のため、再度もう一人を決める予選をしたいと思います。』
と司会者が事態を把握し、すぐに対応策を提案した。
優真は、決勝トーナメント進出を確定させ控え室に戻った。
「優真、加減を間違えましたか?」
「わからない、加減をしたのかしていないのか。ただ刀を抜いたらあんなことになったんだよ。」
と優真も分からない様子である。
「なら、パパとママに聞けばいいんじゃないの?どうせ、決勝の組み合わせは明日発表なんだし。このままパパとママが出しているお店に行っても問題ないと思うよ?」
紗良には珍しく良いことを言った。
「そうだね。パパとママに相談してみるよ。」
結果、この後の行動予定が決まり帰る準備をする三人だった。
ちなみに、第四グループの試合が長引いたせいで予選の終わる時間が予定より大幅に延びたのは言うまでもない。




