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第三グループ

紗良が出場する第三グループの試合が始まろうとしていた。


『これより第三グループの試合を開始いたします。出場者は闘技場に入ってきてください。』


司会者の場内アナウンスが響き渡る。


「紗良、油断しないように。」

「紗良お姉ちゃん、頑張って。」


遥香と優真が紗良に声をかけた。二人の言葉に紗良は手を上げて答えた。


「油断もしないし、絶対に勝って決勝トーナメントに行くよ!」


そう言い残すと紗良は闘技場へと向かった。


控え室に残った遥香と優真は心配でしょうがなかった。


「大丈夫かな、遥香お姉ちゃん?」

「確かに心配ですね。パパとママとの模擬戦でも油断したりしていましたから。」

「だよね、心配だよ。」

「こればっかりは紗良が油断しないことを祈りましょう。」


そう言うと二人は紗良のことを心配しながら今日の夕飯はなんだろうと話し合い始めたのだった。



場所は変わり、闘技場の解説席。


(第一グループでは兄さんの子供が圧勝でしたね。あと二人いるみたいなので楽しみです。成人したら帝国に勧誘しようかしら?)


などと企てている亜里沙である。



さて、闘技場では続々と選手が集まってきていた。観客席の人達の歓声も大きくなり今か今かと待っていた。


『第三グループの選手が全員揃ったようです。では、第三グループの試合を開始したいと思います。それでは、第三グループ・・・試合開始!!』


司会者の合図と共に観客の歓声が上がった。



闘技場では各々が場所取りをし、各自武器を構え始めた。


紗良は、武器を構えずただ立っているだけだった。


(さて、見た感じパパとママより強そうな人はいないね。でも、何人かは強い人も混じってるみたい。実力を隠しているみたいだけど・・・。だからといって他の人が弱いとは限らないから油断は出来ない。)


そんな事を考えていると数人が紗良に向かって動いてきた。


「まずは、弱そうな奴から退場してもらうぞ!」


男の声に数人が紗良に向かって動いた。


(はぁ、見た感じで弱いと判断されたんだね。相手の実力も分からないみたいだね。)


その瞬間、紗良は男達に向かって動いた。


「まずは、一人目。」


紗良は、一番近くに居た男の攻撃を軽々と避け一本背負いで場外に飛ばした。そして、次に近かった男には肘を腹にいれその後裏拳が男の顎に命中した。紗良の背丈の関係上裏拳が顎に当たり意識を失った。紗良の裏拳が顎に当たったことで脳が揺さぶられ脳震盪を起こしたのである。


一瞬で二人を倒した紗良は一旦距離をとり男達を見据えた。


男達は、紗良が弱いと判断していたが今の一瞬で二人を戦闘不能にしたことにより考えを改めた。しかし、これはバトルロイヤル。その判断が命取りになった。


紗良以外の選手が紗良以外に攻撃を開始したのである。紗良に近づく者はおらず紗良から離れた場所で戦いが始まったのである。


結果、紗良は最初の二人を倒しただけでその後は何もすることなく第三グループの試合は終わりを告げた。


『試合終了!!第三グループの勝者は今立っているお二人に決定いたしました。』


と司会者の声が響き渡る。


「えっ?私、何もしてないよ?何で勝手に終わるの?」


と紗良が声を出すが歓声にかきけされた。



試合が終わり控え室に戻る紗良。だが、その表情から分かるように超が付くほど不機嫌であった。


理由は至って簡単である。試合での不完全燃焼。この言葉に限る。


「紗良お姉ちゃん、決勝進出おめでとう。」

「紗良、おめでとう。」


と声をかける遥香と優真。


「ありがとう。でも、私は何もしてないよ?」

「確かに最初の二人だけですね。ですが、その二人を倒したことで紗良が強いと判断されたんですよ。」

「そうだよ、紗良お姉ちゃん。だから、気にしないで?」

「まだ納得できないけど、決勝トーナメントにいけたからいいかな?」


と雑談していると場内アナウンスが流れた。


『これより第四グループの試合を開始いたします。選手の方は闘技場にお集まりください。』


優真が出場する第四グループの試合が開始されようとしていた。


「優真、頑張りなさい。」

「優真、負けちゃダメだからね?」


と優真に声をかける遥香と紗良。その言葉に優真は答えた。


「出来る限り頑張るよ。お姉ちゃん達と決勝で戦えるようにね。」


そう言い残し優真は控え室を出ていった。

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