武術大会当日
武術大会当日の朝。
普段通りに全員が起き、朝食を家族で食べていた。
「今日は武術大会だな。三人共、頑張れよ。」
「もちろんです。」
「まかせて。絶対優勝するから。」
「僕は程々にやります。」
遥香、紗良、優真の順に久遠に答えた。
「三人共、対魔物の経験はありますが対人戦はほとんど経験がないのですから。あまり甘く見ない方がいいですよ?」
華音が子供達に言った。
「確かにそうだな。俺や華音、カルディナしか相手をしていないからな。対人戦で注意するのは相手も考えて行動してくることだな。」
知能が低い魔物は人を見れば襲いかかってくるため楽である。しかし、知能が高い魔物は相手の力量などを考えて行動してくる。そのため、卑怯な手段を用いてくることもある。それは人も同じである。対人戦ともなれば如何に相手に勝つかが重要になる。そのため、試合ならまだしも盗賊などは卑怯な手で相手を殺しにかかってくる。
遥香、紗良、優真は圧倒的に対人戦の経験が不足している。
まぁ、この歳でここまで戦えれば問題ないのだが。
「そうですね。人を相手にするのですからどんな手を使ってくるかわかりませんね。」
と、遥香。
「何もかわらないと思うけどなぁ?」
と、紗良。
「紗良お姉ちゃんらしいね。僕はどちらかと言えば後衛だからなぁ。」
と、優真。
子供達はそれぞれ何かしらの考えがあるようである。但し、紗良を除いてだが。
そんなこんなで朝食も食べ終わり、武術大会が行われる会場へと全員で向かった。
会場ではすでに大会の組み合わせが発表されており注目を集めていた。
「私はどうやら第一グループですね。」
「あっ、私は第三グループだ。」
「僕は最後の第四グループみたいだね。」
遥香が第一グループ、紗良が第三グループ、優真が第四グループになったようである。
今回の大会はまず第一から第八グループまでありそこで二名が決勝トーナメントに行ける。予選はバトルロイヤルで決着をつけ、決勝トーナメントは新たにくじ引きをし一対一での対戦になる。
今大会は約160人が参加している。色々な国から参加者が集結しており、中には騎士団の団長クラスや上位冒険者も参加している。
「決勝まで三人が当たることはないみたいだな。」
「そのようですね。私達は屋台で仕事がありますから見れないですが頑張りなさいね?」
「「「はい!!」」」
華音の言葉に子供達は元気に返事をした。
「さぁ、行ってこい。明日の決勝トーナメントに残れるように頑張れよ。」
久遠はそう言うと子供達を送り出した。
「さて、私達はお店の準備を始めましょうか?」
「あぁ、そうだな。俺達の戦場だからな。」
遥香、紗良、優真は大会の舞台が戦場で久遠、華音、カルディナは屋台が戦場になる。
ちなみに、サリアは客寄せのため小型化し屋台の番犬兼マスコット的な存在になることになっていた。
「何故、妾がこのようなことを・・・。」
愚痴を漏らすサリアだが誰もその言葉に耳を傾ける者はいなかった。
そして、大会の予選が始まった。




