決闘
ブクマ、評価などしていただけるとありがたいです。
決闘当日、久遠達はいつも通りに起床し朝食を食べギルドに向かった。
宿からギルドに向かう途中、街の住人にやたらと「頑張れよ!」「あんな連中叩きのめして頂戴!」などだ。気になった亜里沙は一人の住人に聞いてみると。
「バカスが言いふらしてたぞ?「明日、決闘で美少女二人を手にいれるから見に来い!」って。」
である。それを聞いた三人は苦笑するしかなかった。何せ自分達が誰に喧嘩を売り、誰の女に手を出したのか理解していない。まぁ、決闘が始まれば嫌でも理解するのだが・・・。
それはさておき、久遠達は冒険者ギルドに到着すると扉を開け中に入った。
そこには、ハガス達は居らず冒険者達が騒いでいた。
「おい、俺はあの兄ちゃん達に銀貨五枚だ。」
「私も彼等に銀貨三枚賭けるわ!」
「お前ら、バカか?あんな弱っちい奴がバカスに勝てるわけないだろ?俺はバカスに銀貨十枚だ。」
何故か賭け事に発展していた。しかも、ギルド主体で・・・。当事者の久遠達が入ってきたことも気付かないまま。
それで良いのか?冒険者達よ・・・。
そんな喧騒をよそにリリスの元へ向かう。
「おはよう、リリス。バカス達が見当たらないけど・・・逃げた?」
「おはようございます、クオンさん。逃げてませんよ?少し前に来て試合会場を聞いて出ていきました。たぶん、会場で待っているんじゃないですか?」
「おはよう、リリス。それっていいの?先に行ったら罠とか仕込み放題じゃない?」
「おはようございます、カノンさん。流石にそれは無いと思いますが・・・。」
「おはようございます、リリスさん。一応、何があるか分からないので用心しておきますね?」
「おはようございます、アリサさん。そうですね、その方が良いかもしれません。」
「で、会場は何処なんだ?」
会場を聞いて見ると意外な答えが帰って来た。
「場所は、街の外の平原です。そこに結界をはり戦っていただきます。今回の決闘は、パーティー戦のためギルドの訓練場は使えませんから。ちなみに、結界を張るのは決闘開始直前です。結界にはギルドマスター以下ギルド職員で行うので簡単には壊れないので安心してください。」
と、色々と決闘についての説明を受け久遠達はギルドを出て会場に向かった。
久遠達が会場に着いたのは開始の10分前ですでに観客が集まっていた。
「逃げずに来たようだな。」
バッカスが言うと久遠達は無視をした。
「無視すんじゃねぇよ。まぁいい、俺達が勝ったらお前の前で女二人を犯してやる。精々、頑張れや。」
と、言い残し去っていくバカス。バカスは気付いていない。今の一言が久遠の怒りに触れたことを。
「それでは、これより決闘を行います。戦いの方針はパーティー戦、ルールは武器、魔法は使用可能、魔道具は不可とします。勝敗は、戦闘不能もしくは降参です。相手を殺した場合、殺人とみなし騎士団へ引き渡しますのでくれぐれも殺さないようにお願いします。では、ギルドマスター。結界をお願いします。」
今回の決闘を受理したリリスの説明が終わるとギルドマスター以下ギルド職員が結界を張る。
結界を張り終わると同時にリリスの開始の合図が響き渡る。
「では、パーティー戦始めてください!」
開始の合図でバカスのパーティーメンバーは、左右に展開し久遠達を誘い込もうとした。バカスのパーティーメンバーの人数は約三十人、対して久遠達は三人。明らかな戦力差である。
しかし、久遠達は一向に動く気配を見せない。それどころか武器すら抜いていない。それを見たバカスが叫ぶ。
「てめぇらヤル気があるのか?さっさと武器を構えて向かってこいや!」
バカスは見え透いた挑発をするが、それでも動かない久遠達。
何故、動かないかは簡単である。バカスまでの間には罠が張り巡らされているのだから。巧妙に隠してはあるが気付く者にはすぐにわかる。ただ、罠に気付いているのが久遠達を除けばギルドマスターだけである。
『華音、亜里沙。先ずは三人でアレをやるぞ。』
『分かったよ、久遠君。数はどうするの?』
『罠を壊すぐらいだからそんなには要らないだろうが。』
『兄さん、私達の力を示すなら遠慮しない方がいいのでは?』
『そうだな、威力は抑えて数は三人で百ぐらいで良いんじゃないか?』
『わかった。』
『わかりました。』
以上が念話による久遠達の会話である。
「じゃぁ、先手を譲ってくれるみたいだからこっちから行かせてもらう。」
久遠の言葉が終わると同時に三人は魔法を発動する。
「「「フレアランス!!」」」
名前からわかるように火の槍である。ただ違いがあるのは詠唱をしない無詠唱である事と赤い炎ではなく青い炎であることである。
「なっ、なんだあれは?青い炎?しかも数が異常に多い。」
「それよりも無詠唱で魔法を使ったわよ?有り得ないわ!」
など、観客である冒険者の声が聞こえてくる。
「なっ、てめぇら魔法使いかよ!」
バカスは、久遠達が剣を持っていることで剣士と判断していた。そのため、罠は近接戦闘型の罠しかない。バカスの言葉を無視し、久遠達は声を揃えて言い放つ。
「「「フレアレイン!!」」」
空中に待機していた百本にもなる青い炎の槍は雨のようにバカス達の前に降り注ぐ。しかも、広範囲にわたって。
チュドォォォォォォン
フレアレインが着弾した後、土煙が舞い周りの観客は息を飲む。
土煙が収まった時、そこには罠すら跡形もなく消し飛び大きなクレーターが姿を表した。
「「「・・・。」」」
観客は言葉にすら出来ない。そして、バカスの仲間は大半が腰を抜かして地面に尻餅をついていた。
「さて、罠は無くなったな。で、どうする?まだ続けるか?」
久遠の言葉に我に返ったバカスは叫ぶ。
「当たり前だ。魔法使いが粋がるな!接近してしまえばお前ら魔法使いは何も出来ない。」
そう言うとバカス以下戦闘の可能なものは久遠達に襲いかかる。
その様子を見てた久遠はニヤリと笑い襲い来るバカス達に言い放つ。
「俺の知る魔法使いは、魔法だけじゃない。最強の魔法使いは・・・。」
「「「物理も強い!!」」」
久遠達は声を揃えて言い放った。その瞬間、久遠達は迫り来るバカス達に向かって走り出した。
ただし、剣を抜かずに・・・。
結果、久遠達の圧勝で決闘は幕を閉じた。
バカス達は、久遠達に一方的にボコられ全員が気絶した。観客が呆気にとられるのは分かるがギルド職員までもが茫然としていた。ギルドマスターに至っては「有り得ない、有り得ない。」と繰り返すばかりだった。
そんなこんなで、決闘は終わりギルドに戻った久遠達をギルドマスターが呼び止めた。
「私の部屋に来てもらえますか?」と。
初戦闘です。未だに戦闘描写はなれません。
次回はギルドマスターとの会合から始まります。
読んで頂きありがとうございます。