ダンジョン調査
遅くなりました。
ダンジョンに入った久遠一家と楠葉。
ダンジョンの中はゲームなどによくある洞窟風の迷路になっていた。
「ありきたりなダンジョンだな。」
「そうですね。日本に居たときにやったゲームのようですね。」
ダンジョンに入って感想を述べる久遠と華音。そんな二人とは別に子供達は嬉々としていた。
「これがダンジョンなんですね。」
「ダンジョンと言えば魔物とお宝だよ!」
「紗良お姉ちゃん。今回は調査だよ?ちゃんとわかってる?」
「判ってるわよ、優真!でも、ダンジョンだよ?燃えてくるじゅない!ねぇ、パパ?」
何故か久遠に同意を求める紗良。紗良の同意に対して久遠も答える。
「確かにダンジョンは憧れがあったから燃えるのは否定はしないが。」
「でしょ?ほらみなさい、優真。パパだってダンジョンを踏破したいのよ!」
「いや、踏破するつもりはないぞ?ダンジョン踏破より大事なことがあるからな。」
そう言うと久遠は子供達を見てから華音を見つめた。
「そうですね。ダンジョン踏破より大事なことがありますね。」
と華音も久遠の意見に同意した。
「それはなんですか?」と遥香。
「それは何?」と紗良。
「大事なことって何だろう?」と優真。
久遠と華音の二人は顔を見合せ微笑んだ。
「「三人の成長を見守ることだ(ですよ)。」」
と久遠と華音は同時に答えた。その言葉を聞いた子供達は久遠と華音に抱きついた。
「「「パパ、ママ。大好き!!」」」
と親子の絆が更に深まったのだった。そんな親子の様子を見ていた楠葉は眼から涙を溢していた。
「久遠殿、華音殿。そろそろ調査をしたいのだがよろしいか?」
涙を拭き楠葉が久遠と華音に言った。
「うん?ああ、いいぞ。すまんな、付き合わせて。」
「申し訳ありません。調査を再開しましょう。」
再びダンジョン調査に戻った一行はダンジョンを進み始めた。
一方、ダンジョンの入り口に立っている5人組が居た。言わずと知れた騎士達であった。
「隊長もなんであんな奴等を庇うんだ?」
「そんなの知るかよ!それよりやるんだろ?」
「当たり前だ!ここまできて引き下がれるか!」
「じゃぁ、入るぞ?」
騎士達は頷きダンジョンに入っていった。
騎士達がダンジョンに入った頃、一行は魔物と対峙していた。
その魔物は、スライムにゴブリンなどの雑魚魔物だった。
「私が片付けます。」
そう言うと楠葉が一歩前に出た。
「どれだけ腕をあげたか知りたいから任せた。」
「もし、鈍っていたら鍛え直してあげますから大丈夫ですよ?」
と久遠と華音は楠葉に言った。その言葉を聞き楠葉は青ざめた。
楠葉は昔のことを思い出したようで嫌な汗をかきながら魔物を見つめた。
「あのような日がまた来るのは嫌なので塵となってくれ。空刃斬!」
楠葉は刀を抜刀し衝撃波を生み出し飛ばした。
ギャァァァァァ!
魔物の断末魔がダンジョンに響き渡った。
「中々だがまだ甘いな。」
「そうですね。あのぐらいの群れなら一撃で終わらせないと後々面倒が起こりますから。戻ったら訓練が必要ですね。」
「遥香、紗良、優真。楠葉が取りこぼした魔物を狩ってきていいぞ。」
楠葉の討ち漏らしを見つけていた久遠は子供達に指示を出した。
「「「やったぁ!!」」」
嬉々として飛び出す子供達。それを見ていた久遠と華音は苦笑いをした。
楠葉の討ち漏らしは遥香、紗良、優真によって直ぐに片付いた。
「パパ、ママ。今度はもう少し手応えがある魔物がいい。」
紗良は不満を口にした。
「いや、まだダンジョンに入ったばっかりだから弱いに決まってるだろ。進むにつれて強くなるからそれまで待て。」
「はぁい。」
そんなこんなで先に進む一行。気づいたら次の階に進む階段を見つけた。
「どうするんだ、楠葉?」
「どうするとは?」
「先に進むか戻るかだよ。」
「そうだな。戻るには時間が早いし先に進もうと思う。」
「わかった。」
結果、次の階層に進むことが決まった。
次の階層に着いた一行は驚愕した。何故、驚愕したかと言うと降りた先に現れたのは大きな扉が目の前にあるからである。
明らかにボスが居ますといった扉である。
そう、このダンジョンはなんと二階層で終わりだったのである。




