再びダンジョンへ
店が休みの日、前回何も出来ずに終わったダンジョン調査に向かうことになった。
今回も前回同様、カルディナを除いた皇一家と楠葉と騎士の構成でダンジョンに向かっていた。
「前回、お前達のせいで何も出来なかった。今回は何もするなよ?」
楠葉が騎士達に釘を刺す。しかし、楠葉の話を聞いていない様子で騎士達は久遠達を睨んでいた。
「アイツらは誇り高い帝国の騎士の誇りをバカにした。絶対に許さない。」
と、一人の騎士が呟くと周りの騎士達も頷いた。ただ、楠葉には聞こえておらずこの後大変なことが起こることを知るよしもなかった。
そして、ダンジョンに着いた久遠達は野営の準備を始めた。何故、野営の準備を始めたかと言うと単にダンジョンの場所に着いたのが遅い時間だったからである。
「あなた、食事はどの様に?」
「うん?自分達の分だけでいいだろ?向こうは向こうで用意してるだろうしな。」
「そうですね。楠葉さんには悪いですがあの騎士達に作るのは勿体無いですからね。」
「パパ、ママ。今日のご飯は何?」
久遠が料理をしていると元気よく声をあげて夕飯のおかずを聞いてくる紗良。
「紗良、今日の夕食のおかずは唐揚げですよ。」
「えっ?ほんと?やったぁぁぁ!」
「喜びすぎですよ、紗良。周りに迷惑になりますから静かにしなさい。」
「はぁ~い。遥香お姉ちゃんと優真に知らせてくるね。」
そう言い残すと紗良はテントの中に戻っていった。その直後、テントから「やったぁぁぁ!」と聞こえてきたのは言うまでもない。
「「「「「いただきます。」」」」」
夕飯も出来上がり家族で食卓を囲んでいた。
「やっぱりパパの作る唐揚げは美味しいよ!」
「当たり前です。私達のパパですから。」
「そうだね。でも、唐揚げだけじゃなくパパの料理は何でも美味しいから。」
それぞれ感想?を述べる子供達。それを聞いた久遠は嬉しそうに微笑んだ。
「沢山あるから一杯食べろよ?ママみたいに体重を気にするなよ?お前達は成長期なんだから沢山食べて大きくなれよ?」
「「「うん!」」」
と、元気よく返事をするがすぐ隣の華音は違った。
「あ・な・た?今、聞き捨てならないセリフが聞こえたような気がしますが?」
「き、気のせいじゃないか?それに華音は、体型を気にしすぎじゃないか?」
更に墓穴を掘る久遠。遂には華音の顔から笑みが消えた。
「あなた、夕食後にお・は・な・しをしましょうか?ちなみに、拒否権はありませんので悪しからず。」
「・・・はい。」
久遠と華音のお話が決まったこと以外は何事もなく終わると思っていたがやはりそれは無理だったようだ。
「おい、お前ら。その料理を我々に渡せ!」
と騎士が久遠達を囲み始めた。
「断る。」
短く答える久遠。
「自分達の分は自分達で作れば宜しいのでは?」
更に煽る華音。
「食材など用意していないのですか?ダンジョン調査とはいえ舐めていませんか?」
止めとばかりに言う遥香。
「「家族の団欒を邪魔しないで(ください)!」」
声を揃えて言う紗良と優真。結果、言うまでもなくキレる騎士達。だが、ここで楠葉が現れた。
「お前達、何をしている?」
「た、隊長。こ、これはですね・・・。」
「言い訳はいらん。今すぐ国に帰れ!」
楠葉は騎士達に国に帰れと強く言い放った。楠葉にしては珍しいことである。普段はあまり声をあげて怒鳴ることはしない。だが、騎士達の態度に嫌気がさしたのである。
「くっ、わかりました。隊長もお気を付けて。」
と言い残し騎士達は立ち去っていった。
「すまない。結局、こうなってしまたな。」
「当然だろうな。」
「そうですね、こうなることは分かっていましたが。気を付けた方がいいかもしれませんね?」
「確かにな。最後の言葉も気になるしな。」
「常々すまない。帰ったら亜里沙殿に報告しておく。」
「で、楠葉は夕飯食べたのか?」
「いや、まだだが?」
「では、余り物ですがどうですか?」
「ありがたい。いただきます。」
楠葉は久遠の料理を残さず食べきった。ただ、食べすぎたため動くことが出来ず、久遠達のテントで寝ることになったのは言うまでもない。
そして翌日。
ダンジョンに入っていった。久遠達がダンジョンに入った後、ダンジョンの前に五人の人影が現れた。




