武術大会に向けて
武術大会に遥香、紗良、優真が出ることが決まってから三人は久遠と華音、それにカルディナの空いている時間に訓練を受けていた。
「はい、まだ甘いですよ。」
カルディナは一人一人にダメな箇所を指摘した。
「カルディナさん、こんな感じかな?」
「もう少し魔力を均等にしてください。」
「わかった。」
紗良は、魔力操作と身体強化の魔法の訓練をしていた。紗良は、魔力操作が苦手であるため徹底的に鍛えていた。
「カルディナさん、これでいいでしょうか?」
「はい、大丈夫です。流石はハルカ様ですね。」
「そんなことはありません。パパとママには到底及びませんから。」
遥香は、魔力操作を訓練していた。遥香の魔力操作は既に一般レベルを越え、人外レベルに到達しようとしていた。だが、自分では満足しておらず更なる高みを目指していた。
「カルディナさん、こんな感じでいいですか?」
「ユウマ様の魔力操作は相変わらずですね。それで大丈夫です。後は、並列思考を使い二つの魔法を同時展開してください。」
「わかりました。」
優真の魔力操作は、既に人外になっていた。そして、今取り組んでいるのは他属性の同時展開。簡単に言えば右手に火の魔法、左手に水の魔法を作り出すことである。
この会話からでもわかるように、三人の得意、不得意がよくわかる。
遥香は、何でもこなす万能タイプ。紗良は、魔法が苦手で身体を動かすことが得意な脳筋タイプ。優真は、魔力操作が得意なため魔法タイプと見事にわかれているのである。
この三人だけでバランスのいいパーティーが組めてしまう。ちなみにだが、久遠と華音、カルディナのタイプは、久遠と華音は万能タイプだがどちらかと言えば久遠が脳筋タイプで華音が魔法タイプ。カルディナが万能タイプである。
「朝の訓練はここまでにしましょう。クオン様の朝食がもうすぐ出来上がる頃ですから。」
「「「はい、ありがとうございました!!」」」
よにんは家に入り、軽く汗を流し久遠と華音がまつ場所へと向かった。
朝食も食べ終わり、学園に向かった三人は何事もなく授業を終え帰宅した。
夕食も食べ終わり、カルディナに片付けを任せ久遠と華音、三人の子供達は久遠と華音が作り出した空間に行き訓練を開始した。
「紗良はパパと近接戦闘の訓練で優真はママと魔法の訓練だな。遥香はどうする?」
「パパと訓練します。」
「わかった。じゃぁ、寝るまでの時間しかないがやるぞ。」
「「「はい!!」」」
久遠と紗良、遥香は華音と優真の二人から少し離れて訓練を開始した。
「紗良、踏み込みが浅い。それじゃぁ、簡単に捌かれるし避けられるぞ?」
「難しい・・・。」
「遥香、もう少し剣速をあげれるか?」
「たぶん、あと少しぐらいなら大丈夫です。」
久遠は、遥香と紗良を相手にしながら的確なアドバイスを指摘していく。
「優真、私に魔法を放ちなさい。」
「えっ?ママにですか?」
「ちゃんと結界を張りますから安心しなさい。むしろ、私の結界を破れるようになりなさい。」
「はい、わかりました。」
優真は、魔法を華音に向けて放とうとした。だが、華音がそれに待ったをかけた。
「あといい忘れましたが一発の魔法で結界を破壊してください。使っていい魔法は初級のみてます。」
優真は頷き、魔法を再構築する。そして、魔法は放たれた。
「今日はここまでだ。風呂に入ってから寝るように。」
「「「入ってから!!」」」
子供達はお風呂に向かった。
「華音、優真はどうだった?」
「初級魔法で私の結界にヒビをいれましたよ。」
「初級でか・・・。」
「はい。初級以外だと一撃で抜かれますね。遥香と紗良はどうでしたか?」
「紗良は、言ったことをすぐに修正して次に繋げてくる。既に楠葉を抜いているかもな?遥香は剣に重みがない分剣速でカバーしている。剣速だけなら亜里沙をもう少しで越えるかもな?」
「それほどですか。我が子ながら驚かされますね。」
「そうだな。だが、子供の成長を自身で確かめられるのは嬉しいな。」
「そうですね、あなた。」
子供の成長を喜ぶ久遠と華音。その二人の顔は幸せな表情をしていた。
そして、店の休みの日がきた。前回何も出来なかったダンジョン調査である。




