ダンジョン発見される
遅くなりました。二度寝してました。
街はダンジョンが現れた話で持ちきりであった。久遠達がやっている店でも冒険者やその他大勢がダンジョンの話をしていた。
「おい、聞いたか?近くにダンジョンが現れたんだってな?」
「ああ、聞いたよ。だが、まだ中には入れないらしいな。」
「みたいだな。騎士団と熟練の冒険者が調査に入ってかららしいな。」
「どちらにしろ、この街に更に冒険者や商人が増えるだろうな。」
など色々話が交錯していたりする。ウェイトレスをしていた華音は聞き耳をたてながら仕事をこなしていた。同様にカルディナも華音と同じ事をしていた。
とそんな時、店の扉が開いた。
「「いらっしゃいませ!空いているお席にどうぞ。」」
華音とカルディナの声が重なる。二人はまだ入ってきた人物を見ていなかった。時間は昼時なのでそんな余裕すらないのである。
「すいません、お待たせしました。」
と華音が水を入ったコップを先程入ってきた客のテーブルに置いた。
「ご注文がお決まりになりましたらお呼びください。」
「ここの家主のオススメで頼む。」
「はい、オススメ定食ですね。少々お待ち下さい。」
と相手の顔すら見ずに厨房へと消えていった。
「来る時間を間違えたな。」
一言呟いたが誰にも聞かれることはなかった。
「お待たせしました。本日のオススメ定食です。」
「ありがとう。忙しそうだな、華音殿。」
「えっ?楠葉さん?」
「お久し振りです、華音殿。」
「本当に久し振りですね。ごめんなさい、今の時間は忙しいから店が閉店する時間に来てくれますか?」
「わかりました。忙しいのに申し訳ありません。」
楠葉がそう言うと華音は頷き仕事に戻っていった。そして楠葉はオススメ定食を食べ始めた。
「おいしい。流石は久遠殿だな。店が繁盛するはずだ。」
楠葉は久々の久遠の料理を楽しんだ。
そして、夜。店が閉店する時間に再び楠葉が来店した。
「いらっしゃい、楠葉さん。」
「久し振りだな、楠葉。」
「お久し振りです、クズハ様。」
と大人三人が言うと子供達は楠葉を見て言った。
「「「このお姉ちゃんは本物だね!!」」」
楠葉が首を傾げていたので説明する久遠。それを聞いた楠葉は「許さん!」と今にも飛び出しそうであった。だが、華音の一言で冷静さを取り戻す。
「楠葉さん、ここに何をしに来たのですか?もし、用がないならお帰り願いますか?」
場が静まりかえる。子供達は久遠の腕にしがみつき、カルディナは我関せずと言った具合にお茶の準備を始めた。
「はっ、申し訳ありません。皆さんに依頼を受けてもらいたく来たんでした。」
「ダンジョン関係なら受けないぞ?」
「あなた、ダンジョン以外ではなくギルドの依頼すら受けていませんよ?」
「そうですよ、クオン様。今は私がギルドの依頼を受けていますから。」
「久遠殿と華音殿は冒険者を引退されたのか?」
「「してないぞ(ません)。」」
「でしたら依頼を「店はどうするんだ?」受け・・・休んで頂くしか。」
「俺達の生活費を減らすつもりか?」
と久遠は楠葉に言った。楠葉は負けじと言う。
「ダンジョンで稼げます。今回の探索で出たものは相場で国が買い取ることになっています。」
「それで?何処の国が買い取るんだ?王国か?帝国か?それとも神霊国か?どうせ決まっていないんだろ?これから決めると言ったところか。」
楠葉はここまで読まれているとは思わなかった。それだけ離れていた時間が長かったのである。
「どうしてもダメですか?」
「俺達はのんびり過ごしたいんだ。」
「楠葉さんもそろそろ此方にいらしたら如何ですか?亜里沙さんと一緒に。」
「平行線ですね。一度帰ります。」
と席を立ち店を出ていった。ちなみに、子供達は遥香はカルディナの膝の上で、紗良は久遠の膝の上で、優真は華音の膝の上で寝ていた。




