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初めての依頼

ギルドで薬草採集の依頼を受けた久遠達は近くにある森に来ていた。


「パパ、これは薬草?」


と言いながら紗良が久遠に薬草?らしきものを見せた。


「紗良、それは違うぞ?パパが持っているのが本物だ。」


と久遠は紗良に本物の薬草を見せた。


「あれ?パパのと違う?何でだろ?」

「お姉ちゃん、薬草の種類をちゃんと覚えないからだよ。」


と紗良の後ろから優真が現れた。手には大量の薬草を抱えて。


「お姉ちゃんが持っているのは毒がある薬草だよ?ちゃんと処理すれば解毒の薬草にはなるんだけど。」

「違うんだ・・・。もう一回行ってくる!」


と言い残し紗良は薬草探しに向かった。


「パパ、薬草採ってきたよ。」

「流石は優真だな!全部依頼の薬草だ。自分で調べて知ってたのか?」

「うん。お姉ちゃんみたいに身体を動かすのは苦手だから。」

「優真、貴方の身体能力で苦手と言われたら世の中の人は全然ダメになるわよ?」


優真の後ろから声をかける遥香。


「遥香お姉ちゃんや紗良お姉ちゃん、パパにママ、それにカルディナさん。僕より優れた人がこんなに居るよ?」

「優真、まず基準が間違っています。」


一人別行動をしていた華音が現れる。


「優真の年齢でそれだけ動ける子供はいません。今度から行く学園で周りの実力がどれだけなのか分かると思いますよ。」


と、一旦区切る華音。その後、久遠を見てから話始める。


「あなた、ゴブリンやオークが巣を作っていました。どうされますか?」

「規模は?」

「それほど大きくはないと思います。ですが、しっかりと統率されていました。何処かに強い個体がいるのではないでしょうか?」

「そうなると厄介だな。遥香、優真。紗良を探しに行ってきてくれ。そして、直ぐにここに連れ戻してきてくれ。」

「「うん!!」」


勢いよく駆け出す遥香と優真。


『カルディナ、聞こえるか?』


久遠は、念話をカルディナに飛ばす。


『どうかされましたか?』

『あぁ、今子供達と薬草採取の依頼を受けて近くの森に来ているんだがどうやら魔物が巣を作ってるらしい。それをギルドに報告してくれないか?』

『畏まりました。直ぐに報告致します。』

『助かる。報告が終わり次第こっちに合流してくれ。』

『わかりました、では後程。』


と念話が切れる。同時に久遠の周りには誰も居なかった。


「まさか、俺を残して討伐に行ったんじゃないよな?」


久遠はそんな予感がしたようだが、実際は紗良を追いかけた遥香と優真が紗良を見つけた時には既に戦闘になっていた。そこに遥香、優真が参戦した。それを感じ取った華音が久遠を置いて遥香達と合流。四人での殲滅戦が開始された。


「おぃ、予感が的中してるじゃないか。今から行っても間に合わないしここでゆっくりしてるか。店で使う食材の調達でもしてくるか。」


若干、現実逃避をしているようであるが気にしない。



「三人共、何をしているのかしら?」


低い声を出す華音。その声にビクンとなる遥香、紗良、優真。恐る恐る振り返るとそこには笑顔の華音が立っていた。但し、眼は笑っていない。


「ママ?こ、これには訳が・・・。」

「遥香。」

「は、はい!」

「説明しなさい。」

「はい!パパに言われた通りに優真と紗良を探していました。紗良を見つけた時には戦闘になっていました。そのため、優真と参戦しました。」

「そうですか。三人共、後で覚悟しておいてくださいね?」


華音の言葉に子供達の顔がひきつる。この後のことを考えてしまったからである。


「それはそうと・・・。私達も大概規格外でしたが。流石にここまでとは思いませんでしたね。」


華音は現状を見た上で感想を述べた。十歳の子供が三人で狩れる数ではない。五十以上はいるかもしれないのである。


「とりあえず、後片付けをしてパパの所に戻りますよ。」

「「「はぁぁい!!」」」


後片付けをしている最中、久遠が勢いよく現れる。


「華音、遥香、紗良、優真。今すぐ街に戻るぞ!」


久遠の慌てように驚く四人。


「あなた、どうしました?」

「街に魔物が接近している。カルディナから連絡が来た。」

「まさか、今ここにいたのは囮?」

「そうみたいだな。一応カルディナが居るから大丈夫だとは思うがどうなるかわからん。」

「わかりました。三人共、急ぎますよ。」

「「「うん!!」」」


こうして久遠達五人は街へと急ぎ帰還することになった。

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