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新たな街への引っ越し

遥香、紗良、優真が十歳になった。


遥香を家族に迎えてからあっという間の六年が過ぎた。


この六年の間に大小の出来事があった。まずは、遥香を見つけた屋敷を売り払いクロウ王国と神霊国アゼディア、レクラス帝国(亜里沙と楠葉が命名)の国境に出来た新たな街へと引っ越した。


何故、引っ越したかと言うと子供達を学校に通わせるためである。久遠や華音、カルディナで文字の読み書きや計算などは教えられるが世界の歴史などは流石に教えられないからである。


それに同年代の実力を知る良い機会だとも思ってのことだった。


ちなみに、学校への入学案内は何処で久遠達の住んでいるところを知ったのかわからないがアゼディアの教皇からとレクラス帝国に居る亜里沙、楠葉から届いた。


「さて、街に着いたはいいが・・・流石にこれはやりすぎじゃないか?」

「そうですね・・・。某学園都市を連想させます。」


久遠と華音が言うように学校が中央にあり、学校の周りに街がある。


「パパ、ママ。人が一杯で凄いね?」

「今度はここに住むんだね?」

「二人共、あまり騒がないようにね?」


紗良、優真、遥香の順に話し出した。この六年ですっかり遥香のお姉さんが板についた。


「「わかってるよ、遥香お姉ちゃん!!」」


街に入るために並んでいる人の列に並び順番を待つ久遠一家。


久遠達の番になると門番が声をかけてきた。


「身分証明書をお願いします。」


身分証明書の提示を求められ久遠と華音、カルディナはギルドカードを出し見せた。


「はい、確認しました。子供さん達は学園に入学されるので?」

「あぁ、そうだが?子供達の証明書はないぞ?」

「それは大丈夫です。入学するには案内書があるはずですからそちらを見せていただければ。」


門番に言われたので華音が入学案内書を出し見せた。


「はい、確認しました。ようこそ、クレイアスへ。」


門番はそう言うと久遠達に道を譲り、街へ入るように促した。



久遠達は街へ入ると住む家を探した。入学案内書とは別に神霊国アゼディアから家と店を用意してあると書かれていたからである。


街を見て周りながら家を探した。


「あなた、ここのようですね。」

「みたいだな。学校にそんなに遠くないしどうやら商店街の一角のようだな。」


そう、久遠達が住む家は店が建ち並ぶ一角で居住兼店舗になっていた。


「パパ、ここが新しいお家なの?」

「そうだぞ、紗良。ここから学校に通うんだ。」

「ママ、僕達も冒険者登録するの?」

「えぇ、そうよ。学校に入るには冒険者登録をしてからじゃないと駄目ですから。」

「紗良、優真。お家に入ったら荷物を整理してからパパとママに連れて行ってもらいましょう。」

「「はぁい!!」」


この後の予定も決まり、家へと入る久遠一家。


子供達は各自で荷物の整理をし、久遠と華音、カルディナは店の間取りを確認しながら調理器具などを準備していった。


整理や開店準備が終わった頃、すでに昼になっていた。そのため、冒険者ギルドには昼食を食べてから向かうことになった。



子供達三人の登録は何事もなく終わり、今は家族全員で街を散策していた。


学校を中心に区画により分かれている。


貴族が住む区画、色々な店が建ち並ぶ商業区画、ギルドがある区画と言った具合になっている。


流石に一日で全てを回ることは出来ないためギルドがある区画を見て回った。


「冒険者が関わるだけあて安い宿や酒場が多いですね。」

「そうだろうな。どこも同じと言うことだな。」

「クオン様、カノン様。少し宜しいでしょうか?」


不意にカルディナが言う。


「どうした?」

「食材の確保に向かいたいのですが。」

「そう言えば野菜関係が少なかったですね。」

「はい、ですので市場視察を兼ねて買い出しをしたいと思いまして。」

「任せた。」

「はい、では合流はお店で。」


そう言うとカルディナは久遠達と別れた。


「さて、少し時間も余ったし全員で何か簡単な依頼でも受けるか?」


と、久遠が言うと子供達が喜んだ。


「「「やったぁぁぁぁ!!」」」



という訳で再びギルドを訪れ、依頼を確認する。


「最初ですから薬草採集でいいのではないですか?」

「だな。遥香、紗良、優真。薬草採集の依頼を受けるぞ。」

「「「うん!!」」」


今まで一緒に依頼を受けることが出来なかったため嬉しくてしょうがない子供達。異様なテンションのまま薬草採集の依頼を受け、近くの森へと向かうのだった。

新たな展開を考えなくては・・・。

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