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女の子の名前

目を覚ました女の子は記憶を失っていた。


「ここは?私は?」


その言葉を聞いた久遠と華音は、女の子が記憶を失って可哀想と思った。だが、何故か妙に親近感があることに気が付いた。しかし、その感じが何故自分達にあるのかわからなかった。


「「お姉ちゃん!!」」


女の子の顔を見るや紗良と優真が叫んだ。久遠と華音は紗良と優真が『お姉ちゃん』と呼んだことに何かを感じ取った。


名前を忘れているはずの女の子を『お姉ちゃん』と呼ぶはずがない。ましてや、歳は二人と変わらない。それなのに躊躇いもなく『お姉ちゃん』と呼んだ。


「二人共、何故この子がお姉ちゃんなのですか?」


たまらず華音が紗良と優真に尋ねた。


「うん?お姉ちゃんだからだよ?」

「お姉ちゃん、それだと答えになってないから。」

「そう?じゃぁ、優真がパパとママに説明して?」

「しょうがないなぁ~。えっと、僕達が生まれる前にママのお腹の中でお姉ちゃんに会っているからだよ。『パパとママをよろしく』って言われたよ。」

「あとは『いつか会えたらいいね』とも言われたから。ママのお腹の中で感じた雰囲気がお姉ちゃんと全く同じだから気が付いたの。」


二人の言葉に絶句する久遠と華音。それもそのはず、久遠と華音には思い当たることがあるからである。


久遠と華音がまだ日本に居た頃、一度華音が妊娠したことがある。だが、その小さな命が生まれることはなかった。結論から言えば流産したからである。


妊娠が判ったとき、久遠は華音に仕事を休むように言った。だが、華音は頑なに拒否をし仕事を出来る限り続けた。その結果、無理が祟り流産したのである。


華音は、自分の行動で生まれてくるはずの命を散らしたことを悔やみ、久遠は無理をしてでも華音を止めるべきだったと悔やんだ。


そう、お互いが後悔したのである。


流産から数ヵ月は仕事が出来る状態ではなかった。その後は何とかいつもの状態とはいかないまでも元の生活を送るようになった。


そして、現在。


紗良と優真がお姉ちゃんと呼ぶ存在。久遠と華音にとっては日本で初めて出来た子供。日本では生まれてくることが出来なかった存在。


そう思った瞬間、久遠と華音は女の子を抱き締めた。


「パパ、ママ。ようやく会えたね。」


女の子の言葉に久遠と華音は涙を流した。


「ごめんなさい。私が無理をしたばっかりに貴女に辛い想いをさせて。」

「気にしてないよ?だって、この世界でママに会えたんだから。」

「会えるなんて思ってもみなかった。長い間待ってたんだろ?」

「寝ていただけだからわかんないかな?パパ、ママ。私に名前をつけて?」

「そうだな。名前がないんだったな。」

「そうですね。」


と、久遠と華音は言葉を区切った。二人の中では既に名前が決まっていた。日本で生まれていればつける予定だった名前があった。その名前は・・・。


「「遥香(はるか)だ(です)。」」


久遠と華音は声を揃えて言った。二人の言葉を聞き紗良と優真が言った。


「「遥香お姉ちゃん、これからよろしくね!」」



こうして日本で生まれることが出来なかった遥香はこの世界で久遠と華音の娘になった。


普通では有り得ないかもしれない。だが、ここは異世界。奇跡すらも起こるような世界かもしれない。そう思った久遠と華音であった。



それから、遥香を加えて五人家族+1になった一家は家とは別に店を建て定食屋を始めた。



六年後・・・。


子供達が十歳になり、学校に入る歳になった。

家族が一人増えました。今後の展開が全くわからなくなってきた・・・。一体どうなるのやら・・・。

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