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屋敷と精霊

屋敷に着いた久遠一家は、まず屋敷の周りを見て回った。玄関から右周りを久遠と紗良の二人で、左周りを華音と優真の二人が周り、カルディナは屋敷の上空へと上がった。


「パパ、なんでお家の周りを見て回るの?」

「それはな、周りに何か危ないものがないか見て回ってるんだ。依頼の報酬がこの家だから紗良達が遊んでも大丈夫かの確認だよ。」

「へぇ~、そうなんだ。」


久遠の喋り方が何時もと違うのは、やはり自分の子供だからである。柔らかく優しい声で話していた。


屋敷の四分の一を見て回った頃、紗良が家の窓を見て声をあげた。


「パパ!今、窓に誰が居た!」

「そうみたいだな。何かの気配を感じた。」

「うん。何だろうね?」

「家に入ればわかるから取り敢えずは周りを見て回ろう。」

「はぁい。」


再び歩き出す久遠と紗良。その後は何もなく残りを見て回った。



一方、華音と優真も同じように見て回っていた。


「優真、何故お家の周りを見て回るかわかりますか?」

「うん。お家の周りが危なくないかを見て回ってるんだよね?」

「正解です。優真達が遊んでも大丈夫かの確認です。それにぼう「防犯の確認もだよね?」流石ですね。そこまで分かっていましたか。」

「当たり前だよ?でも、お姉ちゃんは無理かも?」

「そうですね、紗良はここまでは考えられないでしょうね。何せ・・・。」

「「脳筋ですから(だから)!」」


声が揃ったことに華音と優真は笑った。紗良にしたら酷い言われようである。そんな時、優真が声をあげた。


「ママ!」

「ええ、気付きました。優真も気付きましたか?」

「うん。何か居るみたいだね?」

「その様ですね。パパと紗良も気付いているでしょう。取り敢えずは、残りを見て回りますよ。」

「わかった。」


そう言うと華音と優真は残りを見て回った。



上空へと上がったカルディナはと言うと、屋敷を中心に周りを眺めていた。


「私だけ一人・・・。私も伴侶を・・・。」


何か呟いているようだが気にしないでおこう。



そんなこんなで屋敷の周囲を確認し終えた一家は再び屋敷の玄関に集まった。


「華音と優真も何か感じたみたいだな。」

「あなたと紗良も感じましたか。」

「ママ、何か居るみたいよ?」

「パパ、たぶん人じゃないと思う。」


優真は、気配が人ではないと言った。それに同意するように久遠と華音も頷く。


「まぁ、中に入れば正体もわかるからいいな。取り敢えず、昼御飯にしようか。」

「そうですね。時間も丁度いいですし。」

「「やったぁ~!」」


久遠一家は、昼食の準備に取りかかる。華音が食材を出し、紗良と優真が食べる場所にシートを敷き準備をする。


程なくして昼食が出来上がる。


「「「「「いただきます。」」」」」


一家五人での昼食。何処であっても家族でご飯を食べるのが久遠一家では当たり前のことである。


「パパの料理は何処で食べても美味しいよ。ねぇ、優真?」

「うん。パパの料理は世界一だよ。」


久遠の料理を誉める子供達。子供達に誉められ満更でもない久遠。その様子を眺めていた華音は優しい笑みを浮かべた。



昼食も終わり、準備を整えた久遠達は改めて玄関の前へと来た。


「中に入るぞ。」


久遠の言葉に四人が頷く。


玄関を開け中に入るとそこは玄関ホールになっていた。これぞ屋敷と言うような造りをしていた。


「広いね?」

「うん。これならお姉ちゃんが走り回っても問題ないね?」

「ちょ、優真。私が走り回ることが決まってるの?」

「違うの?じゃあ、走り回らない?」

「それは無理!」

「でしょ?」

「うん!」


子供らしい会話である。だが、そんな子供らしい会話をしながらでも周りに気を配っていた。流石は久遠と華音の子供である。


「「!!」」

「気付いたか?」

「気付きましたか?」

「「うん!」」


どうやら何かの気配を感じたようである。


「「パパ、ママ。」」

「探しに行こうか。」

「そうですね。ここに居ても仕方ありませんし。」

「「うん!」」


久遠達は気配を追って行動を開始した。


気配を追って行くと一つの部屋へと行き着いた。そのドアを開けるとベッドに寝ている人物が居た。


「「お姫様?」」

「かもしれませんね?ですが・・・。」

「明らかにおかしい。何時から寝ているかはわからないが筋力などの減少が少なすぎる。」


そう、寝ている人物の見た目が今寝ましたとでも言うぐらいな状態である。もし、コールドスリープがあるなら分かるがそれでも異常である。


「まさか・・・。レイアス居るか?」

『はい、ここに。』

「どう思う?」

『精霊により肉体の老朽化を防がれています。ですので年齢も寝た当初から変わっていません。』

「では何故今まで発見されなかった?」

『それは彼女を起こせる人物が居なかったからですね。彼女を眠らせているのはこの世界ではあまり知られていない時間(とき)を司る精霊王ですから。』


レイアスの言葉に一同は驚く。ここにきて四大精霊王と光と闇の精霊王以外に存在したのである。驚かない方がおかしい。


「と言うことは俺達が起こせると?」

『私が起こします。ですが、その前に・・・。』


レイアスは言葉を切り屋敷の外へと目を向けた。その時、屋敷に近づいてくる気配を感じ取った久遠一家。


「パパ、人の気配だよ?一杯いるみたいだね?」

「この気配はギルドで僕達に絡んできた人達の気配だよ、お姉ちゃん。」

「人数が多いですね。どうやらギルドの護送から逃げ出したみたいですね?」

「護送したのも仲間と言うわけか。やはり、盗賊と繋がっていたようだな。」


ギルドで紗良と優真に絡んだ冒険者は盗賊と繋がっており、捕まったその日の内に仲間によって助け出されていた。そして、今この時を待っていたのである。


「ここに来た以上は俺達に用事があるんだろう。出ていくとしようか。」

「パパ、私も戦いたい。私専用の剣が欲しい。」

「どうする、華音?」

「いいんじゃないですか?紗良や優真が負けるとは思いませんし。」

「優真はどうする?」

「護身用があればいいかな?お姉ちゃんみたいには出来ないから。」

「わかった。最高のを創ってやる。」


そう言うとすぐに作業に入り、あっという間に完成した。


「綺麗・・・。パパ、ありがとう!」

「パパ、ありがとう!」

「では、行きましょうか。」


華音の言葉に頷く。



玄関を出た久遠達を待ち構えていたのは、総勢五十人程の見るからに盗賊ですと言っている者達だった。

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