表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/133

家族の旅立ち

楠葉が久遠達の元へ現れた理由、それは帝国が他国に攻め込まれたのが理由らしい。


「帝国が攻め込まれたのですか?」


ちょうど子供達を寝かせて戻ってきた華音が楠葉に尋ねた。


「はい、といっても帝都にはまだ攻め込まれてはいません。しかし、帝国領内への攻撃はされています。」


まだ、帝都には攻め込まれてはいないと語る楠葉。しかし、久遠と華音、カルディナは時間の問題だろうと思った。


「それで楠葉は、俺達の元へ来たんだな?」

「はい、亜里沙殿は私がここに来ることを知りません。」

「楠葉様の独断だと?」

「・・・はい。」


楠葉は、亜里沙に相談することなく久遠達の元へと来たと説明した。久遠と華音は楠葉の考えや態度に違和感を感じていた。


「何故、独断で行動に移した?」

「必要だと思い行動に移しました。」

「私達が此処に居ると直ぐにわかりましたか?」

「はい、亜里沙殿に教えていただきました。」


楠葉の言葉に顔を見合わせる久遠と華音、カルディナ。今、楠葉が言った言葉は完全に嘘である。何故、嘘かと言うと久遠達は此処に住んでいると未だに誰にも伝えていないからである。


知っているのは、この店の領地である獣王ぐらいである。そのため、楠葉が亜里沙から聞いて場所を特定したのは嘘になる。


そこで問題になるのが今目の前にいる楠葉は何者であるかと言うことになる。そして、久遠達をこの場所から離れさせたいと言うことである。


そんな時、紗良が起きてきた。


「パパ、ママ。言い忘れたんだけど、お姉ちゃんから何か変な感じがするよ?」


と、言い残し寝室へと戻っていった。


この言葉を聞き、久遠達は確信へと至る。


「で、楠葉に化けてまで何がしたいんだ?」

「な、何の事ですか、主殿?」

「バレていますよ?いい加減隠すのはやめたらどうですか?」

「華音殿まで何を・・・。」


言い終わる前にカルディナは紗良と優真が寝ている寝室へと向かう。


店の周りには複数の気配を感じ取ったためである。


「店の周りにはこれだけの殺気を出した連中が現れたのに何もないわけがないだろ?」

「私達をどうにかしたいのは分かりますが、まさか子供を人質にするような外道ではありませんよね?」


久遠と華音は、楠葉に向けて威圧する。


「ぐっ、折角、いいところまでいっていたのに。あのガキのせいだ!」


と、楠葉が言う。その瞬間、姿が変わり始める。


「お初にお目にかかります。私は、隣の国の者です。」


楠葉の姿から変わった女性が話し始める。


「で、隣国の人が何の用だ?」

「あなた方がここに居ることが邪魔なのです。もちろん、獣人国に攻め込むためです。」


と、女性は理由を述べた。


「攻め込むなら好きにすればいいだろ?俺達に被害がなければ何もしない。俺達は、ここでまったりスローライフがしたいんだ。」

「そうですね、家族で店を切り盛りするのが夢でしたから。その夢を潰すのであれば容赦はしませんが。」


更に、威圧を続ける久遠と華音。若干、顔を青くする女性。だが、まだここで倒れるわけにはいかないと奮起する。


「もし、危害があれば?」

「「徹底的に潰す(します)。」」


二人の言葉に女性は完全に飲まれた。自分が何を言っても覆ることがないと悟ったのである。


「わ、わかりました。国に戻り対応させていただきます。」


と、女性が言うと店を出ていった。その瞬間、店の周りにあった殺気が消えた。


直後、カルディナが一階に現れた。


「お父様、お母様。あれで宜しかったのですか?」

「俺達に被害がなければいいんだよ。」

「もし、何か起これば此処で(いくさ)を起こした者達に鉄槌が下るだけですから。」


二人の様子を見たカルディナは、心の中で思った。


(お願いですから何も起きないでください。私の心のためにも・・・。フリじゃないですからね?本当にお願いします。)



その後、何もなかったように眠りについた。




翌日、何事もなかったかのように店を開けた久遠達。


だが、店に来る客の話は隣国との戦争の話題が飛び交っていた。


先に仕掛けようとしたのは獣人国やら隣国が世界を統一しようと軍備を整えているだの様々であった。


現に噂が流れ始めた頃から、獣人国でも軍備を整え始めていた。戦争に待ったなしの状態に移行してしまった。


その日の夕食の時、久遠は家族に話を切り出した。


「今後の事なんだが・・・。」

「あなたの好きにしては如何ですか?私達は家族で住めるなら何処だって構いませんよ?」

「パパ、私もママと一緒だよ?」

「僕もです。」

「私は、早くお父様とのこど・・・ゲフン。お好きなようにしてください。」


家族が一緒なら何処でもいいとの答えを貰った久遠は引っ越しの準備をするように話をした。


出発の日は三日後に決まり、各自準備に動き始めた。



そして、三日後。



「準備は出来たか?」

「大丈夫ですよ、あなた。」

「「大丈夫!!」」

「私も問題ありません。」


と、返事が返ってきたので久遠は頷いた。


「じゃぁ、出発するぞ。」

「「おぉ!!」」


元気に答える紗良と優真。華音とカルディナは頷いた。



ちなみに、店で雇っていた従業員は戦争が起こり巻き込まれるかも知れないことを告げ、いくらか給与を増やし解雇した。


「あっ、最後の仕上げを忘れた。」


久遠は言いながら店の前に立つ。そして・・・。


「イン○ィグネイション(威力弱め)」


店は跡形もなく消え去った。


「いくらテ○ルズが好きでも毎回のように使うのはどうかと思いますよ、お父様?」

「あら、カルディナ。私も好きだからよく使いますよ?」

「えっ?お母様もですか?まぁ、私もなんですけどね。」


と、テイ○ズネタで盛り上がりながら久遠達五人は新たな店を構えるために歩き出した。

ちなみに、紗良がお姉ちゃんで優真が弟になります。どちらかと言えば紗良が体育会系で優真は文科系な感じです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ