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帝国領到着

今日で連休も終わり・・・。明日から仕事です。この連休は、食べて寝てを繰り返す寝正月・・・。体重計に乗りたくない・・・。

帝国領との国境に着いた久遠達。何処まで続いているかわからない壁を見ながら検問所がある場所へと向かった。


検問所は、大きな門の横に小さな門があり、そこで行われている・・・はずなのだが。


「兄さん、門番が居ないですね?」


亜里沙の言葉通り、誰一人経っていない。大きな門は閉じたままだが、小さい門は開いたままである。何か罠でもあるのではないかと疑いたくなる感じである。


「ほんとだね?何で居ないのかな?」

「戦争の準備のために全ての兵が呼び出されたのではないのか?」


そんなことを言いながら小さい門へと近付く久遠達。だが、門の手前で異変に気付く。


「お父様!この臭いは・・・。」

「あぁ、血の臭いだな。」


異変とは、普通なら消えてしまいそうな外での血の臭い。室内ならいざ知らず、外で血の臭いを感じるのはおかしい。


「主殿、これほどきょうれつな臭いはおかしい。何か良からぬことがあったのではないか?」

「そうだろうな。だが、今から戦争をしますという国が兵を殺すか?」

「確かにそうですね。普通では有り得ないでしょうね。」

「久遠君、大成君と瑞穂ちゃん、ユミルちゃんに連絡しておく?」

「そうだな、何があるかわからんからな。」


と、大成と瑞穂、ユミルに連絡することが決まった。


『では、私が精霊王に伝えておきましょう。』


と、レイアスが連絡役を申し出た。


「良いのか?」

『構いません。ただ、もしこの先に行かれるのでしたら注意してください。何か良からぬ気配がします。』

「わかった。用心はしておく。」


レイアスからの忠告を素直に聞いて久遠は華音達にレイアスとの話をした。


「何が起こってるんだろうね?」

「わかりません。ですが、用心はしておいたほうがいいですね。」

「そうだな、何が起こるかわからない以上、万全の体勢で常に望まなくては。」

「楠葉、あまり考えすぎるなよ?普段は自然体で構わない。ただ、戦闘になったら切り替えればいい。じゃないと疲れるだけだ。」


楠葉に久遠が言う。常に警戒すればその分精神的疲労が溜まる。そのため、最低限の警戒だけでいいと久遠は思っている。


『クオン様、連絡をしておきました。このお話はアゼディアの教皇にも伝わることでしょう。』

「助かったよ、レイアス。ありがとう。」

『いえ、このぐらいは何でもありません。では、失礼します。』


と、言いレイアスは念話を切った。


「さて、連絡も終わったしこの後どうするか。」

「様子を見ますか、兄さん?」

「でも、ここに来る人居ないんじゃない?」

「いや、ギルドで護衛依頼が出ているのだ。誰かは通るはずだ。」

「いつ来るかわかんないよ?」


と、話を聞いている久遠。そこへ都合よく商隊が近付いてくるのが見えた。そして、その商隊を護衛しているのがギルドで声をかけられたおっさんだった。


「みんな、空に上がるぞ。商隊が近付いてきている。」


そう言うと久遠は直ぐに空へと魔法で飛んだ。久遠に続いて華音達も飛び上がる。


久遠達は、空から商隊の行動を監視していた。商隊の行動は、大きな門の前に護衛と共に運んできた荷物を置き、直ぐに立ち去った。ただし、立ち去る前に門の所にある何かに触っていた。


「立ち去る前に何かに触れてましたね?」

「もしかして呼び鈴かな?」

「たぶん、似たようなものだろうな。」

「そうかも知れぬな。いつ来るかもわからない商人だ。食材など腐る可能性もある。」

「兄さん、このまま待ちますか?」


亜里沙の言葉に久遠は考えた。このまま空で待つのか、下に降りて待つのか。そんな事を考えていると門が開いた。そして、門から出てきたのは・・・。


「久遠君、あれはまさか・・・。」

「姉さん、どうかしましたか?」

「華音殿、見るからに人ですが?」

「・・・。あぁ、魔族だ。」

「「えっ?」」

「やっぱり・・・そうだよね。」

「兄さん、姉さん。あれが魔族なんですか?」

「どう見ても私達と同じ人間に見えるのだが?」


亜里沙と楠葉の言うように見た目は普通の人間である。だが、それはあくまで見た目である。内に秘めたものが違う。魔族は、人間に比べて身体能力、魔力共に桁違いである。そして何より、その魔力がどす黒いのである。


人間の魔力は、どちらかと言えば無色透明で精霊と契約した場合は違う。契約した精霊によって魔力の色が変わる。火の精霊なら赤、水の精霊なら青、風の精霊なら緑、地の精霊なら茶といった感じになる。


だが、魔族は闇の精霊と契約しているわけでもないのに真っ黒である。その黒さは明らかに異質で何もかも飲み込みそうな感じの黒色である。闇の精霊と契約してもそこまで黒くはならない。色で言うならネズミ色ぐらいである。


だから、久遠と華音はすぐに見分けがついた。


「亜里沙、楠葉。目に魔力を纏わせる感じでアイツを見てみろ。そうすれば相手の魔力を見れる。」


亜里沙と楠葉は言われた通りにする。


「な、なんて黒い魔力・・・。あんな魔力見たことがありません。」

「明らかに違いすぎるぞ。飲み込まれそうな勢いだ。」


二人は率直に感想を述べた。


「お父様、お母様。どうなさいますか?捕まえて色々吐かせますか?」

「カルディナ、まだどうなるかわからない。帝国で何が起こっているかわからない以上、下手に手を出すのは得策じゃない。」

「そうだね。一番いいのは尾行かな?」


と、華音が提案出すと久遠も頷く。


「では、私が空から尾行いたします。」


と、華音の提案カルディナは自分がすると言い出した。


「危険があるぞ?それでもいいのか?」

「お父様とお母様のお役に立ちたいですから。」

「ほんとカルディナは出来た娘だよね、久遠君?」

「そうだな。だが、これだけは約束してくれ。深追いはせず無事に帰ってきてくれ。」

「はい、わかりました。お父様とお母様の元へ無事に戻ってきます。」

「この先にある町で待っているから無事に帰ってきてよ?」

「はい、お母様。」


そう言うとカルディナは本来の姿に戻り、更に上昇し監視体制に入った。


「無事に戻ってこいよ、カルディナ。」


娘を旅に出す父親の心境で呟く久遠。華音も同じ気持ちである。



魔族が門から居なくなったのを見計らい、久遠達は地上へ降りた。そして、カルディナとの待ち合わせの町へと移動を開始した。



一方、レイアスからの連絡を受けた精霊王は内容を大成と瑞穂、ユミルに伝えた。内容を聞いた大成と瑞穂、ユミルは直ぐ様教皇と謁見し対策を話し合うことになった。

ようやく魔族の登場です。カルディナの尾行は何事もなく終わるのか?それとも・・・。


読んで頂きありがとうございます。

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