遂に楠葉が・・・
ブクマ、評価などしていただけるとありがたいです。
翌日、巻き込まれたくない久遠達は朝早くに町を出た。今回は、カルディナの背に乗るのではなく、徒歩での移動である。
「久遠君、何で歩いて行くの?」
「うん?歩く理由?だって、旅は徒歩だろ?今まで移動は魔法で空飛んだり、カルディナの背に乗ったりだったからな。」
「そう言うことですか。いきなり、徒歩で行くと言い出したものですから。」
「その分、食料が要るんだけどな。」
「お父様、それなら問題ないではありませんか?」
「そうだな。現地調達すれば問題ない。」
「まぁ、そんなんだけどな。出来る限りのバランスのいい食事をしたいしな。」
「だから、野菜を多く買ったんだね?」
「そう言うこと。」
そんな話をしながら進むこと五日。次の町に辿り着いた久遠君は早速、食料の買い出しとギルド行くメンバーと別れた。
買い出し組は、亜里沙とカルディナ。ギルドに向かう組は久遠、華音、楠葉である。
ギルド組は、今どんな内容の依頼があるかを見に行くためである。久遠は、出来れば護衛依頼があれば受けようと思っていた。この話は、町に着く前に全員に話をしてある。ただ、都合よく護衛依頼があるとは思っていなかった。
「さて、護衛依頼があればいいんだけどな。」
久遠、華音、楠葉は依頼が貼られている場所に行き、探し始めた。
「久遠殿、結構な数の護衛依頼があるぞ?」
「そうだね。どれも帝国領までの依頼だね。」
「確かに多いな。」
と、話ながら依頼を見つめていると後ろから声がかかる。
「何だ、お前達知らないのか?今、帝国は戦争の準備をしているともっぱらの噂だぞ?」
と、見た目普通のおっさんが理由を説明してくれた。
「そうなのか?何でまた戦争なんかするんだ?」
「さぁな?お前ら帝国に行くのか?」
「いや、決めていない。当てもない旅をしているからな。」
「その若さでか?まぁ、今は帝国に行くのだけはやめておけ。俺からの忠告だ。」
「わかった、教えてくれて助かる。」
「良いってことよ。じゃあな、俺はこれから依頼があるからな。」
「あぁ、気を付けてな。」
おっさんは、話終わるとギルドを出ていった。残された久遠達は、話し合いの結果依頼を受けることなくギルドを出た。その後、亜里沙、カルディナと合流し、宿でギルドで聞いた話と買い出しの時に聞いた話をした。
「兄さん、何処の店でも品薄の状態でした。お店の方に聞いた話だと帝国が買い占めていると言うことでした。」
「ギルドも似たような感じの話を聞いたな。明らかに護衛依頼が多かった。しかも、帝国領までと言う内容だった。」
「お父様、帝国は戦争を始めるつもりなのでしょうか?」
「わからない。だが、何かをしようとしていることは確実だろうな。」
「久遠殿、帝国に行くのか?」
「まぁ、そうなるかな?このまま街道沿いに行けば帝国領に入るしな。」
「行けば何かに巻き込まれるよ?」
「そうですね、確実に巻き込まれますね。」
「だろうな。取り敢えず、明日の朝もう一度ギルドに行って依頼を見てから良さそうなのがあれば受けて、無ければそのまま町を出よう。」
と、久遠が締め括ると全員が頷いた。
「じゃぁ、そろそろ寝るか?」
「そうだね。久し振りにゆっくり寝れるね?」
「そうですね、姉さん。」
「何か雰囲気がおかしくないか?」
「気のせいだよ、ねぇ楠葉ちゃん?」
「そうですよ、ねぇ楠葉さん?」
二人に話を振られ顔を真っ赤にして俯く楠葉。その行動を見た久遠は冷や汗をかきはじめた。
「ちょ、まさか・・・。」
「うふふ、何かな久遠君?」
「ふふふ、何ですか兄さん?」
「く、久遠殿、や、優しくしていただきたい。」
この時、カルディナは既にこの場には居なかった。と言うより華音から言われているため早々に部屋を出たのである。
この後の事は・・・ご想像にお任せします。
翌日、華音と亜里沙、楠葉の肌はツヤツヤで久遠は若干疲れた表情をしていた。
「楠葉、後悔していないか?」
「後悔などするはずもない!ようやく、久遠殿と一つになれたのだ。嬉しすぎて死んでしまいそうだ。」
「そうか、ならこれを貰ってくれ。」
久遠は、楠葉に指輪を出し楠葉の左手薬指に指輪をはめた。
「く、久遠殿?こ、これはまさか・・・。」
「あぁ、結婚指輪だ。」
その瞬間、楠葉の目から涙が零れた。
「う、嬉しい・・・。久遠殿、いや主殿これからも私のことをお願いします。」
「あぁ、皆で幸せになろうな。」
「はい!!」
これで楠葉も久遠の妻になり、楠葉のステータスが上昇したのは言うまでもない。
その後、ギルドに向かったが手頃の依頼がなくそのまま町を出ることにした久遠達。
何事もなく一週間で帝国領との国境に辿り着いた。
楠葉が久遠の嫁さんになりました。たぶん、これで増えないと思います。
次回から帝国編に入ります。
読んで頂きありがとうございます。




