騎士と盗賊?
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
今年も頑張っていきますのでよろしくお願いします。
久遠達は、カルディナの背に乗り次の町までの空の旅を楽しんでいた。
「で結局、久遠君は楠葉ちゃんの告白を受けるの?」
華音は、楠葉の告白に久遠が答えを出していないことを尋ねた。
「い、いや、華音殿。あ、あの時は勢いで言ってしまいましたので・・・。」
「勢いなのですか、楠葉さん?」
微笑みながら聞き返す亜里沙。亜里沙の言葉に顔を真っ赤に染める楠葉。そんなやり取りを見ながら考え込んでいる久遠。
「どうするんですか、兄さん?」
「まだ、会ってからそんなに時間が経ってないしよくわかんないんだよなぁ。華音や亜里沙は昔から知っているからいいんだけど。」
「なら、時間が解決してくれるね?良かったね、楠葉ちゃん!」
華音の中では楠葉は久遠の妻になることが確定しているみたいである。まぁ、すでに亜里沙、カルディナも華音と同じ考えであった。
そんな話をしている間にカルディナから次の町の近くまで来たことを告げられる。
「お父様、お母様。もうすぐ町が見えてきます。」
「じゃぁ、降りようか?」
「そうだな。カルディナ、人目の付かない所に降りてくれるか?」
「判りました。」
カルディナは降下を始め、近くの小さな森に降り立った。
「さて、ここからは歩きだな。」
と、森を抜ける五人。そこへ街道を勢いよく走る馬車が目の前を通りすぎる。
「何か凄い勢いで走って行ったね?」
「そのようですね。」
「何かに追われているのではないのか?」
「だとしても俺達に危害がなければどうでもいいな。」
と、明らかに関わらないようにする久遠。しかし、それを許してくれないのがお約束である。
「お父様、あちらから騎士と思われる一団と盗賊と魔物の一団が迫ってきます。」
と、カルディナに言われ四人はその方角を見てみる。そこには狼系の魔物に追われながら奮闘している騎士達が見えた。その後方に盗賊達の姿も確認できた。そして、騎士達が纏っているマントにはどこぞの紋章が刺繍されていた。
「何処かの国の騎士かな?」
「でしょうね。と言うことは、先程の馬車にはそれなりの身分の方が乗っているわけですね。」
「助けるのか、久遠殿?」
「それはないと思いますよ?お父様は、私達に害がなければ何もしませんから。」
と、楠葉の問いに答えたカルディナ。しかし、騎士達が通り過ぎた時、一人の騎士が戻って告げた。
「お前達、今すぐ逃げろ!!後ろから盗賊に使役された魔物が追ってくる!」
と、言うと騎士は後方を見た。そこには五十匹ぐらいの狼系の魔物がこちらに向かって来ていた。
その直後、魔物の進路が変わる。標的を騎士から久遠達に変えたのである。魔物の進路変更を見た騎士はこれ幸いと直ぐに久遠達の前から立ち去った。
「あの騎士、俺達に擦り付けたな。」
「みたいだね。どうするの?」
「もちろん、殲滅ですよね?」
「お父様、もちろんネタをやりますよね?」
会話が物凄くおかしなことになっているが気にしない。楠葉はこの会話に参加できないほどオロオロしていた。そんな楠葉を見た久遠が優しく頭を撫でる。
「そのうち慣れる。自分達に害があるなら徹底的に潰せばいい。と言うわけだから、ネタ満載で行くぞ!」
久遠の呼び掛けに全員が頷く。そして、久遠達による殲滅戦が始まった。
「まずは、私から行くよぉ。『神○風○流・鳳○の舞』!!」
「次は私です。『パー○ク・ヴィ○ノーイ』!」
「次は私ですね。『四方○相君』!」
「じゃぁ、俺だな。『狼○滅却・無双○威』!」
と、次々にネタを披露していく久遠達。楠葉は、茫然と眺めていることしか出来なかった。
「楠葉ちゃんが最後だよ?頑張ってねぇ。」
と、華音に声をかけられ現実に引き戻される。そして、最初の一言は。
「サク○大戦?しかも、光○、じゃなくて○武?」
である。人の身で使う技じゃないと楠葉は思ったがこの人達ならあり得ると思い直した。
「楠葉さん、最後をお願いしますね?」
「クズハ様、後をお願いしますね。」
プレッシャーが楠葉を襲う。だが、楠葉も開き直り構える。
「判りました。では、参ります。『破○剣征・百花○乱』!」
楠葉の一撃で魔物は全滅した。こうして久遠達による殲滅戦は幕を閉じた・・・ように思われたが盗賊達が久遠達の前に立ちはだかった。
「てめぇら、よくも邪魔してくれたな!!」
「いや、俺達も巻き込まれただけなんだが?」
「そうだね。騎士に擦り付けられただけだし。」
「なので、自己防衛をさせていただきました。」
「文句を言うのは私達ではなく騎士達に言ってくれないか?」
「こちらの身にもなって頂きたいですね。」
思いっきり文句を盗賊達にぶちまける久遠達。聞いた盗賊達も何故か哀れに思ったらしく声をかけてきた。
「いや、悪いな。あの騎士達はお前達を囮にしたんだな。騎士としての自覚がないのか、あいつらは!!どうだ、俺達と手を組まないか?仕返ししたいだろ?」
盗賊は、久遠達に騎士達に一泡吹かせるために共闘を持ちかけてきた。だが、久遠達は一言で返した。
「「「「「断る(お断りします)!!」」」」」
呆気にとられる盗賊達。すかさず久遠が畳み掛ける。
「俺達は、自分達に危害を加えないなら何もするつもりはない。もし、あんたらが俺達に害を与えると言うならこの場で潰す。それ以外ならあの騎士達をどうしようが好きにすればいい。ただし、俺達を巻き込むな。」
「と言うわけだから早く追わないと町に逃げ込まれるよ?」
久遠と華音の言葉で我に返り、慌てて騎士達を追いかける盗賊達。だが、一人の盗賊が残った。
「お前ら、あの騎士達がどこの騎士か知らないのか?」
「知らん、それに興味がない。」
「私達の旅には関係ないもんね。」
「そうですね、どうでもいいです。」
「人間に興味はありませんから。」
「私もどうでもいいな。面倒は極力避けたいからな。」
会話から判るように久遠達にとって本当にどうでもいいことである。久遠達の返事を聞いた盗賊は「わかった」と一言いい後を追いかけていった。
「あの人達、盗賊じゃないね。」
「そうですね、姉さん。それなりに頭がキレるようです。」
「私にとってはあまり変わりませんが。」
「騎士・・・ではないだろうか?何となくたが。」
「まぁ、どちらにしろ俺達は旅を満喫するだけだ。」
と、久遠が締め括ると全員が頷いた。そして、改めて町に向けて歩き出した。
本当は元旦の話を書こうかと思ったのですが思い浮かばなかった・・・。そんなわけで本編を書きました。
読んで頂きありがとうございます。




