クロウ王国
本日二話目です。
ブクマ、評価などしていただけるとありがたいです。
再び、久遠と華音が目を開けたらそこは中世ヨーロッパの城が目の前に見えた。
(この世界に戻ってきたんだな・・・。あの裏切りから約20年・・・。今さら復讐したところであの頃の人間が果たしているかどうか・・・。)
久遠は、辺りを見渡しながら一人考えていた。そんな久遠を見つめる華音。華音はそっと久遠の手を握り微笑みながら言った。
「大丈夫ですよ、私がついていますから。」
「そうだな。あの頃とは違う。俺達は、俺達の生きたいように生きる。」
「はい、何処までも一緒です。」
と、二人でそんな会話をしていると一人の人物が久遠達の前に現れた。
その人物とは・・・。
「勇者の皆さん、初めまして。私は、クロウ王国第一王女テルミナ・クロウと申します。そして、私の後ろに控えているのが皆さんを召喚した我が国の宮廷魔法師達です。突然、この世界に喚ばれてお困りだと思います・・・。」
テルミナが説明をしている最中、久遠と華音はバレないように苦笑いをしていた。自分達が初めて召喚されたときと同じ言葉である。
(テルミナは今自分の歳を17と言った。明らかに時間の流れが違う。日本での年月の五分の一か?しかし、髪色を変えただけで気付かないものか?まぁ、気付かないならそれでいいんだけどな。)
ようやく説明が終わり、勇者達四人はその場で魔王討伐の依頼を受けた。返事をしていないのは言わずと知れた久遠、華音、亜里沙の三人である。ちなみに、勇者達はステータスは確認済みである。
「あなた方はどうなさいますか?それよりもステータスの確認をお願いします。」
と、促され渋々ステータスの確認をする久遠達。
「俺は勇者じゃないな。ただの巻き込まれた異世界人だな。」
「私もですね。ステータスは先の四人より遥かに弱いです。」
久遠と華音の言葉を聞き、亜里沙は不思議に思った。何故、この二人があの四人より弱いのかと・・・。
(久遠兄さんと華音姉さんがあの四人より弱いはずがありません。何か隠している?となると私も隠した方がいいでしょうね?)
そう考えた亜里沙は、久遠達と同じように答えた。
「私も巻き込まれただけみたいですね。」
「やはり、そうですか。四人の勇者のはずが七人いるのでもしやと思いましたが・・・。」
「で、俺達はどうなるんだ?」
と、久遠がテルミナに尋ねるとテルミナは暫し考え込んでから答えた。
「私の一存では決められませんので、取り敢えず皆さんで私のお父様である国王に会っていただきたいと思います。」
「そうか、わかった。」
久遠の答えを聞き、テルミナ以下宮廷魔法師を含む全員が城の中へと歩き始めた。ちなみに、一番最後を歩いているのは久遠達である。
「久遠兄さん、華音姉さん。王女に嘘を伝えましたよね?」
「何でそう思う、亜里沙?」
「あの四人より弱いはずがありませんから。それに私達が会った女神は日本での経験がスキルになると言っていましたから。」
「確かにそうですね。ちなみに、私達が会ったのは創造神アゼリアです。女神より上の立場の神ですね。」
と、普通に答える華音。それを聞いた亜里沙は驚いていた。さすがは、規格外の夫婦だと。
「そういう亜里沙だって嘘をついただろ?」
「当たり前じゃないですか!久遠兄さん達が嘘を付いたのなら何か理由があると思いましたから。」
「さすがは亜里沙ですね。この世界は、私達が初めて召喚された世界・・・。そして、この国の人間に裏切られた世界・・・。」
固い表情で語り始める華音。それを優しく制する久遠。
「華音、それ以上は言わなくていい。これは、俺達の問題だ。」
「そう・・・ですね。ごめんなさい、亜里沙。」
と、謝罪する華音。
「そんな過去が・・・。だから、嘘を付いたのですね?」
「うん?確かにそんな過去があったが巻き込まれたのは嘘じゃないぞ?」
「えっ?嘘じゃないんですか?」
更に驚く亜里沙。
「何なら俺達を鑑定してみたらどうだ?」
久遠の言葉に亜里沙は鑑定をした。
「あはは、やっぱりお二人は規格外ですね。」
「あら、私達のステータスがちゃんと見れたのね?と、言うことは亜里沙も余程規格外ですよ?」
「そうだな。この世界で亜里沙に勝てる奴は俺達以外は居ないだろうな。」
ちなみに、亜里沙のステータスは以下の通りである。
名前 アリサ・ホウジョウ 16歳
種族 人族
職業 魔法双剣士(職業変更可能)
魔力 ∞
攻撃力 200000
防御力 200000
スキル 皇流武術 全属性魔法 その他諸々
加護 創造神アゼリアの加護
称号 クオン・スメラギの弟子 カノン・スメラギの弟子 魔法を極めし者
ちなみに、一番強い勇者でも魔力、攻撃力、防御力は5000である。クロウ王国の騎士団長ですら攻撃力で15000で、宮廷魔法師長で魔力は20000程度である。勇者に限ってはこれから強くなるためどのぐらいになるかは不明である。
そんな話を聞いた亜里沙は、何処か遠い所を見つめていた。
「おっ、そろそろ謁見の間に着くみたいだな?」
こうして、謁見の間に着いて国王と今後について話をした。
簡単に言うと、勇者達は城に滞在し訓練を受ける。久遠達は、少し金やるからさっさと出ていけである。
国王の対応に思わず吹き出しかけた久遠と華音。
と、そんな事があり久遠達は今城の前に来ていた。そして、いざ街に行こうとすると後ろから亜里沙を呼び止める声が聞こえてきた。
「亜里沙さん、待ってください。」
「嫌です。久遠兄さん、華音姉さんさっさと行きましょう。」
と、言い三人は城を出ていった。残された勇者は茫然と立ち尽くすだけだった。
哀れな勇者である。
未だ勇者四人の名前が出てきませんね(笑)
読んで頂きありがとうございます。