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三度目の異世界で夫婦は何をする?  作者: 小鳥遊詩音
神霊国アゼディア編
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戦争開始

クロウ王国国王が自陣に戻ったと同時に戦闘が開始された。


まず動いたのは、クロウ王国軍な傭兵&冒険者である。それを見越していたのかアゼディア軍は、騎士団が動く。


「みんな、向こうが動いたよ。一応、殺さずに無力化してきてね?じゃぁ、派手に暴れておいで。」

「「イエス、マム!!」」


と、言い華音は指を指し示した。その瞬間、騎士達は怒濤の勢いで駆け出した。


両軍が入り乱れるかと思われたが、アゼディア軍は陣形をしっかり守り対応している。乱れているのは、クロウ王国軍の傭兵&冒険者である。所詮は寄せ集めに過ぎない。隊列やらお構い無し。自分の手柄ほしさに戦い、結果無力化されていく。


そんな時、クロウ王国軍から第二陣の攻撃が始まる。


「「ファイアボール!!」」


そう、クロウ王国が誇る魔法部隊である。味方であるはずの傭兵&冒険者を巻き込むのをお構いなしに魔法を放ってきたのである。


その攻撃に戸惑う傭兵&冒険者。その時、凛とした声が響き渡る。


「魔法師団、魔法障壁を展開しなさい!」


亜里沙である。亜里沙は、魔法師団に魔法障壁を張るように指示を飛ばしたのである。


「「イエス、マム!!」」


と、魔法師団からの返事が返ってきたと同時に魔法障壁が展開されクロウ王国軍魔法部隊の魔法は相殺された。


一連の連携にクロウ王国国王は激怒した。


「何故、あそこまで連携が取れる?そんな軍事力はアゼディアには無かった筈だ!」


と、言う横から返事が返ってきた。


「誰かが教えたのではないですか?」


隣に居たのは、勇者の一人である。ちなみに、残りの三人は別の場所で戦況を見つめている。


「だが、教えたにしては無理がある。我らが攻め込むまでの時間から考えても無理だろう。」

「ですが、それしか考えられません。攻め込むまでの時間さえ判れば何とかなるんじゃないですか?」

「うむ、では勇者殿は裏切り者が居ると?」

「そこまでは判りませんが・・・。」

「しかし、このままでは不味いな。騎士団も投入しよう。騎士団よ、出陣だ!」


と、国王が騎士団に命を下す。


「「はっ!!」」


答えた騎士団は戦場へと向かった。


一方、主戦場ではアゼディア軍に魔法障壁で守れた傭兵&冒険者に動きがあった。武器を捨て投降する者が現れ始めた。


味方であるはずの王国軍に攻撃され、敵であるはずのアゼディア軍に守られたのである。命を救ってもらった相手と戦うことは出来ないと考えた結果である。


投降した者は、後方へと送られ丁重に扱われた。そして、メインである両騎士団の戦いが始まった。


今回は、両軍共に入り乱れての戦いである。数的不利なはずのアゼディア軍が少しずつだが押し返し始めた。


そこに、クロウ王国軍の魔法部隊の魔法が飛んでくるがアゼディア軍の魔法師団の魔法により全て打ち落とされる。


普通は、飛んでくる魔法を魔法で打ち落とす芸当は出来ない。と言うかまずやらない。だが、魔法師団を鍛えたのは亜里沙である。不可能を可能にしてしまったのである。


これには魔法部隊も度肝を抜かれた。そして、今度はアゼディア軍の魔法師団の攻撃が始まる。狙いはクロウ王国軍の魔法部隊である。


「魔法は殺傷能力の低いものを使用。敵の無力化が目的です。数が多いので多重展開で対応。各自準備が出来次第放ってください。」

「「イエス、マム!!」」


と、次の指示を出す亜里沙。亜里沙の指示で動き始める魔法師団。そして、準備が出来た者から魔法が放たれる。


「「スピリットランス!!」」


読んで字のごとく、精神に攻撃する魔法である。魔法師団の魔法を受けた魔法部隊の者は、次々に気絶していく。無詠唱による多重展開により対応させる暇を与えず波状攻撃となった。よって、魔法部隊による騎士団への援護は消えた。


これにより、回復が出来ないクロウ王国騎士団と未だ無傷の魔法師団がいるアゼディア騎士団。勝敗は決したようなものだった。


しかし、そこに現れた者がいた。言わずと知れた勇者である。


「騎士団の皆さんは一度引いてください。僕が押さえます。」


と、勇者が言うが騎士団長が遮る。


「しかし、勇者様。あなた一人抑えられるとは・・・。」


騎士団長は最後まで言いきる前に言葉を遮られた。


「俺達も手伝うから大丈夫だ。」


いつの間にか他の勇者も現れた。


「今まで何処にいたんだ?味方が殺られそうなのに。」

「私達は私達なりに戦況を見ていたのよ。貴方みたいに国王の隣に居ては判るものも判らないから。」

「まぁいいけど。さて、さっさと片付けるよ?」


と、言うとアゼディア軍の方から声が響き渡る。


「騎士団は退きなさい!勇者が出てきたのなら戦う必要はないから。」


華音の声が戦場に響き渡った。と、同時に騎士団は撤退していく。その様子を見ていた勇者四人は驚いた。といっても本当に驚いていたのは一人であって残りの三人は感心していた。自分達勇者が出てきたことにより勝てないと悟っての即時撤退。敵ながら見事であると。



一方、久遠は勇者が出てきたことにより相手をするべく準備をした。


「教皇様。勇者が出てきたので行ってきます。」

「クオン殿、頼んだ。」

「任されました。」


と、言い華音達と合流するべく向かった。



久遠が華音達と合流するとすでに華音、亜里沙、カルディナが揃っていた。


「久遠君、本命がお待ちかねだよ?」

「兄さん、どのようにしますか?」

「お父様、もちろん殲滅ですよね?」


と、各々久遠に言う。


「話し合いは無理だろうから戦うことになるだろうけど・・・。たぶん、一対一になるんじゃないかな?勇者達は、見た感じ連携は無理だろうから。」

「そうだね。でも、一人を除いて三人はそこそこ連携が出来そうだよ?」

「その様ですね、姉さん。その一人とは王国を出るときに私に声をかけてきた人ですけど。」

「あの勇者は、残念勇者ですね?自分の立ち位置が見えていないですから。」


言いたい放題である。ようやく勇者達も久遠達に気付いたようで目線が重なる。


「久し振りだな。元気にしてたか?」


と、久遠が同郷のよしみで挨拶をする。しかし、返ってきた言葉は違った。


「何が久し振りだ!亜里沙さんを洗脳して連れ去ったくせに!」


と、勇者の一人が言う。それを聞いた他の勇者はやれやれといった表情をしている。勇者の言葉に反応したのは言うまでもなく亜里沙だった。


「私が洗脳されている?流石に笑えないですね・・・。貴方は何をもって私が兄さんに洗脳されていると?貴方は私の事を知らないはずなのに知った風に言わないでいただきたいですね。」


亜里沙は、冷めた声で言い放つ。亜里沙の声で一瞬身体が震えた勇者。あまりにも冷たい声にビビったのである。


「亜里沙さん、貴方は騙されてい「黙りなさい!」・・・。」


亜里沙の罵声に黙り込む勇者。黙り込んだ勇者に冷たい目線を浴びせる。


「これ以上、兄さんの事を悪く言うなら容赦はしません。もし、これ以上何も言わないなら見逃してあげます。ですが、言えばこの世に生まれてきたことを後悔させてあげます。」


傍観していた勇者三人は、亜里沙の言葉と雰囲気で悟った。勝てるわけがないと・・・。


「判りました。では、一対一での勝負を希望します。」


と、勇者が久遠を指差し言い放つが久遠の前に亜里沙が立った。


「兄さんが相手をするには実力が足りなさすぎです。私がお相手いたします。いいですよね、兄さん?」


久遠は頷き答えた。


「では、始めましょうか?」


と、言い亜里沙は双剣を構えた。


ようやく戦争ご始まりました。次回は亜里沙VS残念勇者です。


読んで頂きありがとうございます。

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