話し合い?
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謁見の間で向かい合う久遠達と教皇、フェン、ミルフィ。謁見の間には重い空気が立ち込めていた。しかし、重い空気を払い除けるように久遠が口を開く。
「教皇様、この度家を用意していただきありがとうございます。私達の見立てでは三、四日かかると思っておりましたが。何故この様に早く用意できたのでしょうか?」
だが、実際は更に空気が重くなった。理由は、久遠の言葉遣いである。
「そ、それはだな・・・。」
冷や汗を垂らしながら答える教皇。だが、言葉が続かない。この場では、フェンに発言権はあまりない。そのため、黙っていた。簡単に言えば、フェンは教皇に押し付けたのである。
「私達は冒険者です。確かに住むには良い所だと思います。しかし、私達はまだ世界を楽しみたいのです。前回出来なかったことを・・・。」
珍しく華音も敬語を使う。華音の言葉が更に重くのしかかる。
「はっきり申し上げますが、私達は一緒に住めれば場所など何処でもいいのです。例えそれが魔物が蔓延る森の中でも・・・。」
続けて亜里沙が言う。
「私達だけの国を作るのもいいかもしれませんね?戦力は・・・言わなくてもわかると思いますが。」
と、カルディナが言うと教皇とフェンの顔が青ざめた。しかし、ミルフィだけはこの展開を予想していたようで平然としていた。
「皆さん、その辺にしていただけないでしょうか?」
遂に、ミルフィが口を開く。
「皆さんのお怒りは分かります。父とフェンがしたことは皆さんにとってやってはいけないことだと思います。しかし、一国の王であるがために形だけでもこの様な行動に出てしまったのです。どうかお許しください。」
と、ミルフィが久遠達に謝罪した。ミルフィの謝罪を聞いた久遠達は全員で顔を合わせてから答えた。
「ミルフィ様からの謝罪を受けとります。しかし、次はありません。それをお忘れなきようお願いします。」
と、久遠は釘を刺した。
「わ、わかった。久遠殿達を敵に回すことはこちらとしても避けたい。以後、この様なことはしないと誓おう。」
ようやく言葉を絞り出した教皇は二度とやらないと誓った。
「わ、私も誓います。次に教皇様が何かしようとしたら全力で止めます。」
と、フェンも言う。全てを教皇に押し付ける言い方をして。
「そうですね。次に父とフェンが暴走したなら私が全力で止めに入りますのでご安心ください。」
最後はミルフィが締めくくった。今回の暴走は教皇とフェンであることを明言して。
「「ミルフィ(様)」」
教皇とフェンの絶叫が木霊するが誰も気にしていない。
かくして、久遠達をアゼディアに留めよう作戦?は一応の終結を迎えた。
その後、フェンの案内で家に向かうことになった久遠達。その家を見て思い思いに口にする。
「家、じゃなくて屋敷だな。」
「私達だけじゃ勿体無いね?」
「そうですね、広すぎます。」
「ここで皆さんのお世話が出来る・・・。しっかり家の維持に勤めなくては。」
上から順に久遠、華音、亜里沙、カルディナである。カルディナはいつの間にかメイドとしての仕事に夢中になっていた。神龍であることを忘れているかのように・・・。
それでいいのか、カルディナ?
「元々は教皇様の別荘でした。ですが、ほとんど使わなくなったので今回クオン様達にお譲りすることになったんです。」
と、付け加えるフェン。
そして、フェンは久遠に鍵を渡し、自分は仕事があるのでと城に帰っていった。
「さて、家に入って足りないものを買いに行こうか。」
「「賛成!!」」
華音と亜里沙は、久遠の案に賛成した。
「では、私はキッチンと各部屋の掃除を行います。」
と、カルディナは言うとキッチンに向かっていった。
そして、買い物も終わり家具などを再配置し一日が終わりを迎える。
それから一週間何事もなく過ぎていった。
しかし、平穏な日常は突如として終わりを告げる。いつの間にか司教が脱走し、軍を率いてアゼディアに攻め込んできたのである。
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