事後処理
四大精霊王が久遠達の前に姿を現したことにより、戦闘?が行われた場所の空気が一変した。
既に結界は解かれており、今何かをすれば精霊王の怒りを買うことが明白な状況である。それもそのはず、精霊王達は司教なね対して威圧を放っていたのである。
そして、四大精霊王の出現により久遠達の近くに来ていたフェン、教皇、そして娘のミルフィが膝をついて臣下の礼をした。離れた場所の騎士団の面々も膝こそつかないが礼をしていた。
そして、空気が重い中、精霊王達は言葉を発した。
『マスターに危害を加えようとしましたね?』
『クオンに何をしようとしたんだ?』
『お兄ちゃんを殺そうとしたの?』
『ご主人様を・・・どうするつもり?』
精霊王達の言葉で更に場の空気が変わる。今度は全体への威圧。教皇ですら冷や汗をかきはじめていた。この時、騎士団はほぼ全員が気絶していた。
「四人とも、その辺にしておけ。司教の悪事も教皇が裁いてくれるからな。」
『ですが・・・わかりました。』
と、久遠の後ろへと四大精霊王は下がった。と、同時に辺りを支配していた威圧が解かれる。
「さて、あんたのしてきたことは既に教皇に伝えてある。今この場で俺が裁いてもいいが教皇に任せることにした。観念するんだな。」
「ぐぅ、わ、私は悪事など・・・。」
「していないというのか?既に、お前の家の地下に居た者達は精霊王達の保護下にある。お前が何かしらの実験をしていたのも知っているんだが?」
久遠の言葉に司教の顔は青ざめた。まさかバレているとは思っていなかったようだ。
「クオン殿、司教を牢に入れるため連れていく。」
「あぁ、わかった。」
と、教皇は近衛に命じ司教を拘束して連れていった。
「あとは、クオン殿達の事なんだが。」
「久遠君が言った約束は覚えてるかな?」
と、華音が言うと教皇は頷いた。
「だが、四大精霊王様がクオン殿の事を・・・。」
「兄さんの言った言葉を私がもう一度言いましょうか?」
今度は亜里沙が言う。そして、畳み掛けるようにカルディナが言った。
「クオン様は、本日見たことは黙っていてくれと仰いました。詮索もあまりいいとはいいませんよ?」
「そのぐらいでいいだろ?こうなることは分かっていたんだから。」
と、久遠は三人を諭す。
「教皇、俺達から話を聞きたいなら何処か安心して話せる場所に移動しよう。もちろん、フェンも着いてくるんだろ?」
「当たり前です。こんな面白い・・・貴重な話が聞けるのですから。」
途中で言い方を変えたが全員に聞かれ笑われたフェンである。
そして、場所を教皇の私室に移し、教皇とミルフィ、フェンは久遠達から話を聞いた。
久遠達は、自分達がクロウ王国によって勇者召喚されたこと、久遠と華音はこの世界が二度目であることを告げた。
「まさか、クオン殿とカノン殿が五年前の勇者であったとは・・・。」
「五年前の勇者様なら四大精霊王を従えていましたから。」
と、教皇とフェンは久遠達の言ったことを信じた。
「では、クオン殿にこのアゼディアを・・・。」
「お断りします。俺達は国を治めるつもりはありません。ただ、家を構えを住むにはいいとは思いますがね。でも、それはまだ先の話です。」
教皇は最後まで言わせてもらえなかった。
「そうだね、私達は冒険者だもんね。」
「まだ見て回りたい所もありますし。」
「はい、私はクオン様に何処までもついていきます。」
「と、言うわけだ。だから、国を治めるつもりはない。」
と、言い切った久遠を見つめ教皇は溜め息をついた。
「わかった。だが、司教の事もある。家はこちらで用意しても構わないな?」
と、教皇に言われたので素直に頷いた。
こうして、久遠達はアゼディアに住む家ができた。
魔法の戦闘ばかりで武器を使った戦闘がない。どうにかしなければ・・・。




