再会
神霊国アゼディアの首都スフィアに着いた久遠達一行。スフィアの外観に心を奪われた。
普通、何処の国でも高い外壁に守られて中の街の様子を見ることが出来ない。外壁の用途は魔物の襲撃や人間同士の戦争があるためである。しかし、スフィアではその外壁が全く無い。そのため、街並みがよく見える。スフィアに住む人々の顔すら判ってしまう。
何故、スフィアに外壁がないかと言うと、この国に住む住人によるものだ。スフィアの住人は、多種族で構成されている。人族にエルフ族、ドワーフ族に獣人族。それに、精霊が加わっている。そのため、精霊の力を借り街全体を結界で守っているのである。
スフィアは、国王の代わりに教皇が国を治め、その下には大司教、司教、神官、神官見習いといった順になる。大司教は皇族て、司教が貴族といったことになる。
スフィアでは、創造神であるアゼリアと四大精霊王を崇拝しているため、何かしらの加護や称号を持っているとその効果や称号によって優遇される。
そして、何より驚くのが街並みである。他の国は中世ヨーロッパぐらいの時代の作り方をした建物が多いがスフィアは違う。どちらかと言えば現代の日本の様式である。それだけ技術が発展しているのだ。
「まるで日本だな。」
久遠が言ったように日本に近い。
「結界で守られていること以外はね。」
「そうですね。街を飛び交う精霊と人族以外は。」
見た目は日本でも今居る世界が異世界だと改めて認識した久遠達一行は、スフィアに入るため結界の一部が解放されている場所へと向かった。
やがて、久遠達の順番がくる。門番らしき人にギルドカードを提示し街へと入ろうとした瞬間、隣にある門番の詰所らしき家から勢いよく出てくる人影が見えた。
「クオン様、カノン様、アリサ様。お待ちしておりました!」
声の主は、フェンであった。フェンは久遠達の前まで来ると頭を下げた。
「私がクロウ王国を去ってから一ヶ月と少し、毎日ここでクオン様達を待っていました。」
フェンの言葉に周りがざわめきだす。フェンは、スフィアでそれなりの地位にいるためである。そのフェンが頭を下げているのである。フェンの正体を知っている者が居ればざわつくのも仕方がない。
「フェンさん、遅くなりまして申し訳ありません。」
「ごめんね、フェンちゃん。」
「とりあえず、頭を上げてくれ。周りの視線が痛い。」
遅くなったことを謝罪し、フェンに頭を上げるように言った。と、その時カンカンカンと鐘の鳴る。直後、フェンの表情が引き締まる。
「この音は・・・。」
「どうしたの、フェンちゃん?」
「魔物の襲来です。ですが、ご安心ください。この国の者が直ぐに殲滅いたしますので。」
と、簡潔に今の状況と対応策を話すフェン。だが、久遠達はこの国の戦力に興味がありどのように戦うか見てみたいと思った。
「フェン、邪魔にならないようにするから戦い方を見ていいか?」
久遠の提案にフェンは表情を若干曇らせた。
「我が国の戦力はクオン様方には到底及びません。それでもよろしいですか?」
「構わないよ、フェンちゃん。」
「そうですね、クロウ王国ではどのように戦うか見ていませんでしたから。」
と、華音と亜里沙も見たいと言った。
「分かりました。では、ご案内致します。」
フェンの後について久遠達は戦場となる場所へと向かった。
戦場では既に戦闘が開始されていた。
前衛である騎士達は身体強化の魔法を使い、魔法使いは騎士達の後ろから攻撃魔法を使用していた。
『我が手に宿りし大いなる力よ、我が手に集いて敵を焼き付くさん。ファイアボール』
詠唱をし魔法を行使する。そんな光景を見ていた久遠、華音、亜里沙の三人は苦笑いをしていた。
「俺達も詠唱・・・するか?」
「詠唱意味あるの?」
「私達には無駄ですね。何より詠唱をすることで相手に使用魔法が分かってしまいますから。」
と、隣に居るフェンの顔がひきつっていた。
「無詠唱が出来るのは極一部です。彼らと一緒にしないでください。」
フェンに怒られる久遠達。そんなこんなでいつの間にか魔物は殲滅され戦いが終わりを告げた。
「さて、戻りましょうか。とりあえず今日は私の家に泊まってください。明日の予定を打ち合わせしたいので。」
それだけ言うとフェンは街に向かって歩き出した。久遠達もフェンの後を追う。
そして、翌日・・・。
久遠達は、何故かスフィアにある城に来ていた。
魔法の詠唱を考えるのは難しいです。簡単に出てこないかな?
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