久遠の怒り
お久し振りです。長い間更新出来なくて申し訳ありません。
亜里沙とクウヤが戦闘を始めた頃、久遠は最初の地点に到着した。
だが、そこで久遠が見たものはあまりにも酷い光景だった。
一人の魔族を大勢の魔族が取り囲み武器や魔法で攻撃していたのである。
一人の魔族は既に戦意を消失しているにも関わらず生きているというだけで攻撃は行われていた。
「おい、誰かこいつを回復してやれ。」
魔族の一人がそう指示を出した。次の瞬間、攻撃を受けていた魔族は光に包まれ回復した。
「さて、これでまた死なずにすんだな?」
魔族の心ない言葉に久遠は絶句した。同族であるにも関わらずここまで出来るものなのかと。いくら仲間にならないからと言ってここまで酷い仕打ちが出来るものなのかと。
魔族の言葉から察するに既に何回か繰り返されている行為。そして、魔族の瞳には光が無くただされるがままになっていた。
「さぁ、お前達は裏切り者に制裁を加えるのだ!!」
「「「おぉぉぉぉぉぉ!!」」」
魔族達の雄叫びが響き渡る。
だが、そこに一陣の風が吹く。
久遠が魔族達の前に姿を現したのだ。
「何処から現れた?貴様は誰だ!」
リーダーの魔族が叫んだ。しかし、久遠は何も答えず佇んでいた。
「何か言えよ、人間!!」
又もや魔族のリーダーが叫ぶ。
「お前ら覚悟は出来ているんだろうな?」
ようやく絞り出した言葉を呟く久遠。それを聞いた魔族のリーダーは笑いながら言った。
「あははは、覚悟が出来ているかだって?寝言は布団の中で言えや!貴様のような人間に俺達魔族が負けるはずなど無い!」
リーダーの言葉に周りの魔族が「そうだ、そうだ」と叫ぶ。
「それに俺達は転生魔族だ。女神様から力を与えられた選ばれた存在だ。その俺達が貴様のような人間に負けるわけがない。死ぬのは貴様だ!!」
リーダーは久遠との実力の差をまるで判っていない。ましてや他の魔族が判るはずもない。
「そうか、ならその人間に負けるお前達はゴミ以下だな。」
久遠の言葉に怒りを感じた魔族は数人で久遠に飛び掛かった。
だが、次の瞬間襲い掛かった魔族は一瞬にして消滅した。文字通り跡形もなく魂すらも・・・。
「なっ、何が起こった?」
「理解できないか?なら教えてやる。今襲ってきた奴等は魂すらも消滅させた。俺をここまで怒らせたのはお前達が始めてだ。改めて聞いてやる、覚悟は出来たか?」
久遠の言葉に魔族達は怯む。しかし、魔族のリーダーだけは違った。
「所詮一人だ!全員で戦えば勝てる!!」
その言葉に誘発され魔族達は息を吹き替えした。しかし、それが不幸を呼ぶことになるとは知らずに。
結果、魔族達は全員跡形もなく消滅した。二度と転生出来ないほどに。
残されたのは久遠と瞳に光がない魔族だけが残った。
久遠は、魔族を回復させ華音が造っている隠れ家に転移した。