寄り道?
久遠達は旧クロウ王国に向けて飛び立った・・・。
だが、暫く飛んだ後地上に降り立った。
「兄さん、何故降りたのですか?」
久遠の行動を不思議に思い亜里沙は久遠に尋ねた。
「何となく・・・だな。」
そう適当に答える久遠。しかし、そんな久遠の態度を正そうと華音が言う。
「あなた、はっきり言っては如何ですか?敵の勢力圏に入ったのだと。」
「そうなのか?久遠殿?」
華音の言葉に楠葉が久遠に聞いた。
「まぁ、そうだな。ここからは、魔物も出るだろうが多くは魔族が出てくる。それなりに強い魔族も居るかもしれないから警戒のために降りたんだ。」
「それならそうと言ってくれればいいじゃないですか?」
久遠の言葉に亜里沙は若干ふてくされる。
「それだけではないですよね?」
「まぁな。全員で旅をするのが久し振りだからのんびり歩いていくのもありかなと思ってな。」
久遠の言葉に亜里沙と楠葉は嬉しさのあまり顔を緩ませた。
「も、もう。兄さん、嬉しいですが時間も余り無いのでは?」
「そ、そうだぞ?私としても嬉しいのだが魔族の侵攻に時間がないのではないか?」
亜里沙と楠葉の言うことは正論である。だが、久遠は首を振る。
「それがそうでもない。精霊王達の話ではクロウ王国の城付近から動かないそうだ。」
「何故ですか?」
「それはわからない。何かを準備しているのか、何かを待っているのか。精霊王達ですら分からないそうだ。」
久遠は精霊王達に頼み、魔族の動向を探らせていた。そのため、のんびり旅をすることにしたのだ。
「でしたらこの辺りで昼食にしましょうか。」
と華音が提案をした。
「そうだな。じゃぁ、俺が作ろう。」
そう言うと久遠は料理を開始した。
その後、食べ終わった片付けをし子供達は食後の運動と称し、亜里沙と楠葉、カルディナと模擬戦を繰り返していた。
結果、昼食を食べた場所で夜営をするはめになったのは言うまでもない。
世界をかけた戦いが始まろうとしているのに全く緊張感がないのは仕方ないことである。
翌朝、改めてクロウ王国に向けて旅立った。




