亜里沙の八つ当たり
短いです、すいません。
フェンに引き留められたことにより城に泊まることになった久遠達。
その一方、亜里沙と楠葉が居る帝国は未だに部隊編成など仕事に追われていた。
「亜里沙殿、部隊編成が一段落した。これより各街や村に派遣する。」
「わかりました、お願いします。」
「心得た。」
そう返事をした楠葉は亜里沙の執務室を出ていった。
(後は魔法師達が結界を張れば兄さん達と合流できますね。それまであと少し頑張らなくては。)
亜里沙は直ぐにでも久遠達と合流したい。だが、自分が守る帝国を蔑ろに出来ない。そのため、若干ではあるが苛立っていた。
(このやり場のない苛立ちを解消したいですね。都合よく魔物が攻めてきてくれたら八つ当たり出来るのですが・・・。)
他の者が聞いたら叫び声をあげそうなことを思った亜里沙である。
しかし、それが現実になる。
亜里沙の執務室の扉が勢いよく開いた。
「アリサ様!!この帝都に魔物の群れが攻めてきました!!」
「何処からですか?」
「正門の方からです!」
「分かりました。直ぐに私が対処します。」
「えっ?アリサ様自らですか?」
「いけませんか?」
「いえ、その様なことは・・・。ですが、万が一何かありましたら「大丈夫です。」・・・はい。」
問答無用で会話を終わらせた亜里沙は直ぐに城を出た。
『楠葉、聞こえますか?』
『どうかしたか、亜里沙殿?』
『魔物が正門の方から攻めてきたようです。今から私が対処しにいきますので手出し無用でお願いします。』
『大丈夫なのか?私だけでも向かうが?』
『大丈夫です。ですからそのまま編成し、出立をさせてください。』
『わかった。くれぐれも無理はするなよ?』
『分かっています。兄さんと合流してあんなことやこんなことをするまで死んだりしません!』
『・・・。』
『では、お願いします。』
一方的に念話を切った亜里沙は正門へと向かい外へ出た。
街の外には既に冒険者達が集まっており、いつでも戦闘が出来る状態になっていた。
そんな中を亜里沙は突き進む。しかも、堂々とゆっくり歩いてである。
そんな亜里沙を見た一人の冒険者が声をかけるが亜里沙は無視し歩き続けた。
そして、魔物の群れが亜里沙の視界に入る。
「さて、私の八つ当たりに付き合ってもらいますね。」
亜里沙は二挺の銃を構え、魔物の群れへと突っ込んで行った。
「さぁ、私と一緒に踊りましょう。魔物達にとっては死の踊りですけど。」