謁見終了と今後の予定
お盆休みの為、出来るだけ更新したいと思います。
「まずは・・・瑞穂。貴女が率いる魔法師団についてです。」
華音はそう言うと瑞穂の表情が固まる。
「ま、魔法師団がどうかしましたか?」
「街に張った結界はあなた達が張りましたよね?」
「はい、そうですけど・・・。」
瑞穂が答えると華音は溜め息をついて更に言う。
「あんな貧弱な結界は何ですか?あんな結界では直ぐに破られますよ?」
「そんな訳ありません!私達が、私達魔法師団が総力を集めて作った結界です!!」
華音にダメ出しを言われ、納得いかない瑞穂は声をあげた。
「そうですか・・・。咲良、結界に向けて一番弱い魔法を放ちなさい。」
咲良は唐突に華音からの指示に困惑し父親である久遠の顔を見た。そして久遠は頷いて返した。
「わかったよ、ママ。」
そう言うと咲良は窓に近付き右手を空に掲げた。
直後、拳よりやや大きい火の玉が現れ結界に向けて放った。
パリィィィィィィン
音と共に結界が消滅した。
「「「なっ!!」」」
その場に居た一同は驚愕の声をあげた。
「さて、結界が消滅しましたね。このままでは魔族や魔物が攻めこんで来ますよ?どうしますか?」
「どうしますか?じゃないですよ!!どうしてくれるんですか?」
瑞穂が華音に向かって怒っているが周りでは華音が魔族ではないかと話始めていた。
まぁ、結界を壊せばそう言われても仕方ないのだが。
そんな事を気にしないで華音は話を続けた。
「こんな子供に破壊されるような結界など上位の魔物、魔族には何の役にも立ちませんよ?そもそも私達が居た頃より魔法師団の質が下がっていませんか?また、一から鍛え直してあげます。」
華音の言葉にミルフィは身体を震わせた。当時を知る数少ない人物である。
「さて、後は任せますね。」
と華音は久遠を見た。今度は久遠が華音の立っていた位置に立つ。
「さて、結界が消えたことにより魔物や魔族が攻めてくるかも知れない。そのため、街に結界を張り直すまでの間はどうしたらいいだろうな?分かるか、大成?」
久遠に話を振られた大成は答えた。
「騎士団が守るしかない。」
「そうだな。なら、やることはわかるな?」
「はい、俺達が街を守ります。」
「ただ守るだけじゃない。自分達の力も底上げしなければならない。その為には巡回する者と訓練をする者に分ける。」
そこて、話を区切り久遠は子供達とカルディナ。サリアを見た。
「巡回組には、俺と華音の子供である遥香、紗良、優真。それに保護者としてカルディナとサリアを向かわせる。訓練組は俺が担当する。そして、巡回と訓練は交互に行う。あ、ちゃんと休みは与えるから安心しろ。」
久遠の発案に顔を青くするミルフィ。また、あの時の再現が行われることが確実になった瞬間だった。
「でしたら、魔法師団も分けましょうか。実践組と訓練組に。もちろん、訓練組は私が受け持ちます。」
華音の一言が残酷に告げられた。
「さて、ミルフィ。」
「ひゃ、ひゃい!!」
(噛んだな。)
(噛みましたね。)
(振られると思ってなかったので仕方ないのでは?)
念話で話す久遠、華音、カルディナである。
「こんな風に決まったがいいか?」
「だ、大丈夫です。ただ、昔みたいなことにはしないでくだ「無理だな(無理でしょうね)」さ・・・はい。」
「さて、俺達は宿を探さないといけないから街に行くな。」
と久遠が言うとミルフィは止めた。
「いえ、城に泊まってください。帝国からの客人ですから。」
「いや、俺達は帝国に所属してる訳じゃないぞ?」
「えっ?ですが、アリサ様から・・・。」
「俺達は一般人で平民だぞ?学園がある街で料理屋をやっていた一般人だ。」
「「「えっ!?」」」
久遠の答えにミルフィ、大成、瑞穂の声が重なった。
「久遠さんが料理屋で平民?嘘だ!!」
「有り得ません!!」
「絶対に嘘です。平民なわけがありません!!」
大成、瑞穂、ミルフィの順に言った。
「ちなみに、冒険者ランクも上げてないから低いぞ?」
「「「有り得ない(です)!!」」」
またまた声が重なる三人。
「だから城に泊まることは出来ない。周りも嫌そうだしな。」
と久遠は貴族達を見回した。
「宿から城に通わせて頂きますから大丈夫ですよ。では、また明日に伺いますね。」
華音が締めくくり謁見の間を出ようとする久遠達。そこに呼び止める者が現れた。
「クオン様方お待ち下さい。」
久遠達に声をかけたのはフェンだった。
「タイセイ様もミズホ様も皆さんのお話を聞きたいと思います。ですから、戦争が終わるまでとは言いません。数日でいいのでお泊まりして頂けませんか?」
フェンの提案に久遠は家族を見渡した。華音は頷きカルディナはお任せしますといった表情で子供達は眼を輝かせていた。
「わかった。数日だけ厄介になる。」
「ありがとうございます。では、部屋へ案内をします。」
フェンは直ぐ様行動を開始した。久遠達を引き連れ謁見の間を出ていく。
謁見の間に残された者達は様々な表情をしていたのは言うまでもない。