精霊王への説教とフェンとの会合
本日二話目です。
ブクマ、評価などしていただけるとありがたいです。
王都に帰還した久遠達は、久遠達が泊まっている宿へと場所を移した。未だに目を覚まさないフェンをベッドに寝かせ三人で今後の話を始めた。
「久遠君、これからどうする?」
「そうですね、兄さんが精霊王と契約していることがバレてしまいましたし。」
「バレたのは仕方ないけど、これから先の事を考えると口止めぐらいはしておかないとな。」
「でも、何でまたフェンは人族至上主義のクロウ王国に来たんだろうね?普通ならデュナミス帝国に行けばいいはずよね?」
「その辺はフェンに聞かないとわからないな。」
「ですね、起きてから確認ということで。それで兄さん。精霊との契約は出来るのでしょうか?」
亜里沙は久遠に気になっていたことを聞いた。
「ちょっと待て。『召喚、セシリア』聞いていたと思うが・・・何故、セシリア以外いる?喚んだ覚えはないぞ?」
久遠が召喚したのは水の精霊王であるセシリアだけだったのだが、何故かグレン、シルフィ、ガイアまでいた。
『だって、お兄ちゃん。五年ぶりだよ?グレンなんてお兄ちゃんが居なくなってからずっと酒盛してたんだよ?』
『おぃ、俺だけじゃないだろ!全員で酒盛してただろうが!』
『グレンが飲み過ぎるから中級精霊まで駆り出された。』
最後にガイアガイア言った言葉がクロウディアから中級精霊が消えた結果だった事を知った久遠はと言うと・・・。
「そこに全員正座しろ!」
珍しく声を張り上げた久遠。久遠の声にただならぬ気配を感じ、直ぐ様四人の精霊王は正座をした。
「まさかとは思うが、精霊王となる者が酒盛のために他の精霊を働かせていたわけじゃないよな?」
全員が汗をかき始め、目はキョロキョロしだす。そんな様子を見た久遠は溜め息をつきながら言う。
「俺が急に居なくなったから心配してくれたのはわかる。だが、お前らがしたことでエルフ族や他の種族が精霊と契約出来ないでいるんだぞ?」
『申し訳ありません、マスター。』
『悪い、久遠。』
『ごめんね、お兄ちゃん。』
『ごめんなさい、ご主人様。』
各々謝罪を口にした。これだけ言えば今後は大丈夫だろうと思った久遠は改めて本題に入る。
「これ以上の説教はしない。だが、今後怠ったら・・・酒盛を俺が死ぬまでさせないからな。」
『『『『仰せのままに!!』』』』
平伏す四大精霊王。
「でだ、亜里沙が精霊と契約したいと言っている「私もしたい!」華音もなんだが出来るか?」
何を思ったのか華音まで契約をしたいと言い出した。
『マスター、結論から言えば可能です。ですが、華音様と亜里沙様に合う精霊が居るかどうか。』
『なんだったら精霊界に連れていけばいいんじゃないか?』
『その方が早いかもね。上級精霊も居るし。』
『上級精霊より・・・強い精霊も居る。』
結果、華音と亜里沙は精霊界へ行くことになった。当分、目を覚まさないであろうフェンのお守りは久遠がし、華音と亜里沙の付き添いにはグレン、シルフィ、ガイアがついていく。セシリアは久遠とフェンが起きたときの説明役として残ることになった。
決まったら即行動の華音のせいで、直ぐに精霊界へ行くことになり慌ただしく向かっていった。
「さて、何だかんだで夜だな。」
『そうですね。もぅ、寝られますか?』
「そうだな、寝させてもらうよ。」
『わかりました。おやすみなさい、マスター。』
「おやすみ。」
こうして、慌ただしい一日が終わった。
翌朝、久遠が目を覚ますとフェンが土下座をして待ち構えていた。久遠は、フェンの態度に驚きつつ朝の挨拶をフェンにした。
「おはよう、フェン。体調は大丈夫か?」
「はい!全然、大丈夫です!昨日は、お見苦しい所を見せてしまい申し訳ありません!」
フェンの言葉遣いが変わっていることに気付いたが敢えて何も言わず話を続ける。
「で、なんで土下座してるんだ?」
「精霊王と契約しているクオン様に失礼な態度をとってしまったお詫びです。」
「いや、気にしないから普通に座って話をしよう。」
「いえ、この形で話を進めていただければ。」
頑として譲らないフェンに対して久遠はフェンの元に歩みより抱えあげ椅子に座らした。
「これで落ち着いて話せるな。フェン、椅子に座って話をしよう。正座も土下もしなくていい。そんなことをされても嫌だからな。」
「・・・わかりました。」
ようやく落ち着いて話せることになったので中級精霊について久遠はフェンに経緯を話した。
「では、クオン様は五年前にクロウ王国が召喚した勇者様なのですね。道理で四大精霊王と契約出来るはずです。」
納得したフェンは、うんうんと頷いた。
「フェンには申し訳ないんだけど俺達のことは黙っていてほしい。もぅ、面倒事に巻き込まれたり裏切れたり・・・したくないから。」
久遠の表情が一瞬曇るがすぐに元の表情に戻った。だが、セシリアだけは久遠の表情を見過ごしてはいなかった。
(やはり、マスターは五年前の事が未だに尾を引いていらっしゃるのですね。)
「はい、分かりました。一切口外いたしません。」
「で、精霊の問題が片付いたんだが、フェンはこれからどうするんだ?」
「私は、神霊国に戻ろうと思います。」
久遠は初めて聞く国に興味を抱いた。
「神霊国って?」
「クオン様が送還された後に出来た国です。神霊国『アゼディア』と言います。この国は神と精霊を崇める国です。神は創造神アゼリア様、精霊は四大精霊王様です。人種差別はなく各種族が精霊と共に暮らす国です。」
『そう言えばそんな国もありましたね。確か、マスターと私達の戦う姿に共感した者が作ったら国ですね。』
と、何もしていなかったようでちゃんと調べているセシリアである。
「俺達がそこに行ったら確実にヤバイな。」
『えぇ、確実に国のトップになりますね。ただでさえ私達精霊王と契約しているのに、創造神の加護もありますし、何よりマスターは創造神を愛称で呼ぶ間柄ですものね?』
さりげなく爆弾を投下するセシリア。対してフェンは、セシリアの爆弾発言で何処か遠いところに旅立った。
そんな時、華音と亜里沙が精霊界から帰って来た。
「兄さん、只今帰りました。」
「久遠君、帰って来たよ!」
「おう、お帰り。契約は出来たか?」
久遠が二人に結果を聞くと、華音は手でVサインを出し、亜里沙は元気よく「はい!」と答えた。
「どの属性の精霊と契約したんだ?」
「私は、光の精霊だよ。しかも、私と契約したら何でか光の精霊王に進化しちゃった。」
ここでも爆弾が投下された。そして更に・・・。
「私は、闇の精霊と契約したのですが、姉さんと一緒で闇の精霊王に進化しました。」
亜里沙までもが爆弾を投下した。よって、今ここには四大精霊王の他に光と闇の精霊王が集結したことになる。明らかに過剰戦力である。
そんなことを考えながら久遠は二人に話をする。
「取り敢えず、二人の契約した精霊についてはフェンに言わないでおこう。じゃないと色々と面倒なことになりそうだからな。」
「そうだね、それがいいかも。」
「そうですね。取り敢えずはその方向で。」
話がまとまった時、フェンの意識が覚醒した。
「クオン様、出来ればアゼディアに来ていただきたいのですが。」
「国のトップに会わせるとかなければ行ってもいいぞ?」
「久遠君、アゼディアって?」
華音がアゼディアについて聞いてきたので亜里沙にも説明をした。
「良いところみたいですね、行ってみましょう。」
「そうだね、クロウ王国よりはマシだと思うしね。」
「じゃぁ、行くか。」
「「賛成!!」」
結果、久遠達の次の目的地は神霊国アゼディアに決まった。
「では、私は一足先に帰国させていただきます。クロウ王国からですと街道に沿って進んで頂ければ三週間ぐらいで着きますので。では、失礼します。」
と、言い残しフェンは久遠達の前から物凄いスピードで去っていった。
「返答を早まったかな?」
「かもね?」
「かもしれません。」
「まぁ、ゆっくり行けばいいさ。時間は腐るほどあるからな。さて、ギルドに行って依頼でも受けようか。」
「「賛成!!」」
こうして、三人は依頼を受けるためギルドに向かった。
フェンが王都を去ってから二週間の月日が流れた・・・。
久遠達は、未だに王都で依頼を受けていた。
中々話が進みません。申し訳ないです。ですが、次回からは進むと思います、たぶん?
読んで頂きありがとうございます。