帝国領
本日二話目の投稿です。
久遠達が街を出た頃。亜里沙と楠葉は帝国領に入っていた。
「亜里沙殿、ここまでは何事もなく来れたな。」
楠葉の言葉に頷きながら答える亜里沙。
「そうですね。ですが、これからが本番ですよ?」
亜里沙は答えながら進行方向を見据えた。
そこには、土煙をあげ亜里沙達の方へと向かってくる集団が見てとれた。
「帝国領に入ってすぐとは・・・休めないな。」
「仕方ありませんよ。今は何処の国も同じ様な事が起こっているのですから。」
亜里沙達が召喚された国は消滅し、神霊国は勇者の二人がいる。しかし、帝国には今亜里沙と楠葉が居ない。いくら帝国領に帰って来たとはいえ、帝都にはまだ距離がある。
帝国にとっての最大戦力が未だに帝国領の端に居るのである。
(早く帝都に戻らないと危ないですね。こんな端の場所ですらこの有り様なのですから。)
(帝都は無事だろうか?残してきた騎士達が奮戦し、帝都を守り通してくれてればいいのだが。)
二人は帝都が陥落していないことを祈り、目の前の魔物を駆逐することにした。
「楠葉さん、時間が惜しいです。全力で潰しますよ?」
「もちろんだ、亜里沙殿。帝都が気になるしな。」
「では、行きましょう。多少の地形の変化は問いませんから。」
「了解した。」
帝国領での二人の戦いの幕が上がった。
「インフィニティ・ジャッジメント!!」
亜里沙の魔法が魔物の群れに降り注ぐ。
「紅龍閃空斬!!」
楠葉の斬撃が飛ぶ。
魔物は二人の攻撃を受け、絶命していく。上半身と下半身が別れた魔物。魔法により腹を撃ち抜かれた魔物。
二人の一撃により、攻撃を受けた魔物は息絶えた。辛うじて生きている魔物も居るが最早虫の息である。止めを刺す必要すらないぐらいに・・・。
「さぁ、どんどん進みますよ。」
「分かっている。」
更に、攻撃を放ちつつ帝都に向けて進軍する亜里沙と楠葉。
ちなみに、当初居た帝国の騎士達は学園がある街に置いてきた。街を守る戦力として。
だが、実際は足手まといであることと進軍速度の違いのため置いてきたのである。
「粗方片付きましたね。」
「そうだな。このまま帝都まで走り抜けるのだろ?」
「はい、そのつもりです。まぁ、途中で休憩は挟みますが。」
「それでいい。私も帝都が心配で仕方ないからな。」
二人はまた帝都に向けて走り始めた。
そして、次の日・・・。
亜里沙と楠葉は帝都に辿り着いた。
「どうやら間に合ったようですね。」
「そのようだな。」
「城へ行き、現状の確認をしましょう。」
「あぁ、そうだな。」
亜里沙と楠葉は、城へと急いだ。
そして、城で聞かされた話は・・・。
「嘘・・・ですよね?」
「それは・・・本当か?」
「はい、本当の事です。今から数時間前に魔王、並びに邪神が全ての国に宣戦布告をしました。しかも、お二人が召喚された国を邪神国と名を改めてです。」
クロウ王国改め邪神国が建国された。