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街を襲った魔物の群れは久遠達の活躍により壊滅の危機は去った。


だが、久遠と華音、亜里沙、楠葉の心の中ではまだ終わりを迎えていないと思っていた。



討伐後、久遠達は家に戻り今回の出来事について話を始めた。


「兄さん、今回の件は何かの前触れでしょうか?」

「何でそう思う?」

「何となく・・・でしょうか。まだ終わっていないような気がしてなりません。」


亜里沙の中ではまだ終わりを告げていないような気がしていたので素直に久遠に告げた。


「確かにそうかもしれませんね。あの時と同じ感じがしましたから。」

「華音殿もか?私も感じていた。」


華音の言葉に同意をする楠葉。


二人が言うあの時とは、一緒に召喚された勇者の一人の事である。


「あぁ、あの時か。確かに似たような感じがしたな。」

「そうですね。何か良からぬ力を感じました。」


久遠と亜里沙も同意した。


「だからと言って俺達が動くこともないんじゃないか?」

「そうですね。私達には今の生活がありますから。」


と、何かをするつもりがないことを言う久遠と華音。しかし、亜里沙と楠葉は違った。


「兄さんと姉さんらしい答えですね。ですが、私はこの件に関して調べてみようと思います。」

「私も亜里沙殿と同じ意見だ。何かが起こってからでは遅いからな。」


二人の意見を聞き、久遠は頷くだけだった。


「取り敢えず、事後処理をしなければいけませんので。また後日話をしにきますね。」


と、亜里沙と楠葉は立ち上がった。


「悪いな。色々とやらせて。」

「気にしないでください。このぐらい朝飯前ですから。」

「今度来たら二人の好きな料理を作ってやるよ。」


と、言うと亜里沙と楠葉は俄然ヤル気をだし足早に帰っていった。


「あなた、精霊王達に聞きますか?」

「いや、聞かなくていい。何かあれば言いに来るだろうからな。」

「そうですね。それまで家族で色々やりましょう。」


こうして、魔物の群れの騒動は終結した。



それから数日後。


亜里沙から思いもよらないことを告げられる。


「兄さん、姉さん。大変です。」

「どうしたんだ、そんなに慌てて?」


何時もと変わらない朝のはずが亜里沙の出現により簡単に崩れ去った。


「亜里沙、落ち着きなさい。取り敢えず、朝食を食べながら話を聞きます。どうせ食べていないのでしょう?」

「あ、ありがとうございます。では、お言葉に甘えて。」


結果、朝食を食べ終わるまで話をすることはなかったのは言うまでもない。



朝食後、亜里沙は慌てていた理由を話始めた。


「各地で魔物が暴れているようなんです。既に、私達を召喚した国は壊滅しました。神霊国は勇者である二人が居ますから大丈夫ですが、私達が居ない帝国は少し危ないです。」


亜里沙の話を静かに聞く久遠と華音。


「それで、私と楠葉は帝国に戻ろうと思います。この街には兄さんと姉さんが居ますから安心していますし。」

「そうか。で、何時出発するんだ?」

「荷物の整理をしてからになりますから。明日にでも街を出るつもりです。」


亜里沙の答えに考え込む久遠。そこに華音が話始める。


「では、今日の夕飯を食べにいらっしゃい。楠葉も連れてきなさい。」

「えっ?いいんですか?」


と、亜里沙は久遠を見た。


「そうだな。しばらく会えなくなるようだし、好きな料理を作ってやるよ。」

「ありがとうございます。直ぐに荷物を纏めて楠葉と一緒に来ます!」


そう言い残すと亜里沙は席を立ち店を出ていった。


「さて、どう思う?」

「あからさまな挑発、もしくは・・・。」

「俺達を誘い出す餌・・・か?」

「でしょうね。少なからずそれもあるでしょう。」

「折角、家族で楽しく生活しているのに・・・。簡単にぶち壊してくれるよな。」

「そうですね。幸せな時間を壊してくれたお礼はきちんとしないといけませんね。」


ちなみに、子供達は学園に行って今は居ない。しかし、久遠と華音はこの出来事を包み隠さず子供達に話すつもりでいた。


自分達に着いてくるのか来ないのかを子供達に決めさせるつもりでいた。



そして、その日の夕食。


皇家と亜里沙、楠葉、カルディナ、サリアで夕食を食べた。


亜里沙と楠葉が帰り、皇家のみが残った。そして久遠は話始めた。


「遥香、紗良、優真。学園でも話があっただろうけどお前達はどうする?」

「「「パパとママに着いていく!」」」


間髪入れずに答えが帰って来た。


「三人ともよく考えなさい。既に、あなた達は一人前です。一人でも生きていけるでしょう。ですが、私達に着いてくるということはもしかしたら死ぬかもしれないのですよ?」

「「「それでも着いていく!」」」


華音の言葉にも間髪入れずに答えた。どうやら子供達は親から離れる気は無いようである。


「・・・、そうか。そうだな、家族は離れたらダメだよな。」

「・・・あなた。」


久遠は決意した。子供達を連れていく決意を。


「全員で旅に出るぞ。但し、パパとママの言うことはちゃんと聞くようにな?」

「「「うん!!」」」

「仕方ありませんね。明日は1日準備にあてます。しっかり準備をして旅立ちますよ。遥香、紗良、優真。明日友達に挨拶してらっしゃい。」

「「「うん!!」」」




こうして、皇家の新たな旅が始まる。

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