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皇家の夫婦2

久遠、華音が放った奥義により魔物の群れの半分は息絶えた。


「あなた、私達の奥義でここまで数が減るものですか?」

「いや、減らないと思うぞ?」

「でしたら魔物が極端に弱いのでしょうか?今回で三度目の転移ですが、今まで一番弱いのではないでしょうか?」


華音は、自ら放った奥義があまりにも魔物の数を減らしたため疑問に思った。そして、その疑問を久遠に投げ掛けたのである。


「確かに弱いかもな。というか今までが強すぎたのか。どちらにしても倒さないといけないわけだが。」

「そうですね。私達の平和な生活を守るためです。全力で行きます。」


自分達の平和な生活を守るため、華音は全力を宣言した。


しかし、その宣言を久遠は慌てて止めた。


「ちょ、ちょっと待った!」

「どうかしましたか?」

「全力はやめておいてくれ。」

「何故ですか?私達の平和な生活がかかっているんですよ?」

「た、確かに平和な生活がかかっている。だが、全力で戦った場合の惨状を考えてくれ。」

「辺り一面焼け野原になるぐらいですよ?」


華音の答えに頭を抱える久遠。華音にとっては辺り一面焼け野原になるのはまだマシな方だと考えていた。むしろ、それだけで終わればいいとすら思っていた。


「頼むからやめてくれ。後で亜里沙に何言われるか分かったもんじゃない。下手したら道路の整備や植樹すらやらされそうだ。」


久遠の言葉に暫し考え込む華音。


「確かにそれは嫌ですね。お店があるのに土木関係の仕事をさせられては堪りません。それに家族の時間が削られます。」


と言いなんとか納得した華音。


「分かってくれてありがとう。」


とお礼を言う久遠。


そんなやり取りの最中でも魔物は侵攻してきていた。最初は久遠と華音の奥義に若干警戒していたが、再度侵攻を開始したのである。


「・・・。夫婦の会話を邪魔するとは良い度胸ですね。」


夫婦の会話を邪魔された華音が不穏な言葉を発した。そして・・・。


「塵となり消えなさい、『サンダーストーム』。」


華音が遂にキレた。普段は温厚で優しい母親なのだが、一度キレると久遠ですら止められない。


二度目の召喚の時には久遠とイチャイチャしている時に邪魔をされ華音がキレ、魔王城は半壊、山が一つ消滅した。その後、魔王軍の者達は華音をキレさせてはいけないと暗黙のルールみたいなものが作られた。


ちなみに、最初の召喚時は久遠と出会って間もなかったため何事もなかった・・・と思う。



そのため、久遠は眺めているしかなかった。久遠ですら止められない華音。完全に魔物を蹂躙していた。


『クオン様、あのままでいいのですか?』


セシリアが具現化し久遠に尋ねた。


「セシリア、止めてきていいぞ?」

『む、無理です!今のカノン様を止めるなど無理に決まってます!もし、止めに入ったら私達が消滅します!』


精霊王すら消滅してしまうほど今の華音はキレているのである。まぁ、久遠以外に誰かいればここまでの事にはならないのだが。


魔物の群れも久遠と華音の二人しか居ないときに侵攻してきたのは御愁傷様としか言えない。



数分後・・・。


妙にスッキリした顔で久遠の元に戻ってきた華音。


「お疲れ様、華音。」


と淹れたてのミルクティーを久遠が差し出す。


「ありがとうございます。」


と言いながら受け取り、辺り一面わー見渡す華音。


「久々にやらかしてしまいました・・・。」

「終わったことは仕方ない。これからの事は後で考えればいいさ。」

「・・・、はい。」


華音は申し訳なさそうに俯いてしまった。


そんな華音を見た久遠は席を立ち、華音の後ろに周り抱き締めた。


「俺は嬉しかったぞ?華音が俺との会話を楽しんでくれていたことに。そして、何より邪魔をされたことで怒ってくれたことに。」

「・・・、あなた。」


華音は、久遠の手に自分の手を重ねようとした。


「戦場でイチャイチャしてるんじゃねぇ!この俺様を無視するとは良い度胸じゃねぇか?」


と叫び声が聞こえてきた。


そう、魔王四天王である。


「この俺様は魔王軍四天王の一人「死んで償え!冥空○翔剣!!」ご・・・?」


空気を読まず、名乗りをあげようとした魔族は久遠によって消滅した。


久遠も華音との甘い時間を邪魔されキレたのである。


結果、危機は去った。




そして、この出来事により止まっていた物語が動き出す。

次回の更新も日曜日になると思います。

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