現代、そして・・・
お久し振りです。小鳥遊詩音です。この度、ようやく復活しました。
これからもよろしくお願いします。
都内某所 某ホテルの一室。
一組の夫婦が宿泊していた。
妻である女性の方は規則正しい寝息をたてていた。しかし、その隣で寝ている夫はうなされていた。悪い夢を見ているかのように・・・。
『ソラ、すぐに傷を治す!もう少し我慢してくれ!』
『クオン・・・。俺は・・・助からない。自分の身体だからよく分かる。』
『いや、絶対に助ける!そして、一緒に帰ろう。日本に・・・。』
『このままだと、カノンも危ない。クオンとカノンだけでも日本に送り返す。それが最後に残った俺の役目だ。』
『いやだ!ソラも一緒に帰ろう。親友であるお前を置いてなんかいけるか!』
『反逆者が居たぞぉ。殺せぇぇぇぇぇ!』
鎧を着た騎士達がクオン達を包囲し始める。そんな時でもクオンは大量の血を流したソラを抱き抱えていた。
『時間がない。俺達の分まで幸せになってくれ。そしてカノン、クオンを任せた。』
ソラの決意をカノンは感じ取り、ただ頷いた。いや、頷くことしか出来なかった。
『お別れだ、クオン。元気でな。』
ソラの身体が光を放ち、クオンとカノンを包んだ。
『ソラぁぁぁぁぁぁぁぁ。』
(・・・た。)
(俺を呼ぶ声が聞こえる・・・。)
(・・・なた。)
クオンは夢から目を覚まし、自分を心配する女性を見つけた。
「あなた。大丈夫ですか?」
「??、ゆ・・・め?」
「悪い夢でも見ていたのですか?」
「カ・・・ノン?」
「はい、そうですよ。それよりも大丈夫ですか?凄くうなされていましたが・・・?」
「あぁ、最近見なかったあの時の夢見た・・・。」
クオンが言うとカノンは若干顔をしかめた。
「そう・・・ですか。あなたがあの時の夢を見るなんて久し振りですね?何かあるのでしょうか?」
「やめてくれ、あんな思いは二度としたくない。」
「そうですね。私もあんな思いは二度としたくありません。それよりも明日はあの娘の護衛があるのですからもう一眠りしましょう。」
「そうだな。悪いが一緒に寝てくれるか?流石にあの夢の後だと不安で仕方ない。」
「もちろんです。あなたの不安がなくなるなら・・・。」
「助かる。」
「お休みなさい。」
そう言うとカノンはクオンの手を握り、クオンと同じベッドで眠りについた。
翌日・・・。
悪夢を見た朝にも関わらず、クオンは清々しい朝を迎えた。隣を見ればカノンがクオンに微笑みかけていた。
「おはようございます、あなた。」
「おはよう、カノン。」
朝の挨拶も程々に二人は準備を始めた。
ここでクオンとカノンについて紹介をしよう。
クオンこと皇 久遠。
年齢は36歳。身長は、185cmでスラッとした体型で体育会系の体つきである。所謂細マッチョ。そして、現在は皇家の当主にして皇流武術の後継者。職業は、重要人物の護衛をする仕事をしている。
皇家は久遠の母親の苗字であり、久遠は母親の姓を名乗っている。理由は簡単である。両親の離婚により久遠は母親に着いていったからである。
続いて、皇 華音。
年齢は久遠と同じ36歳。身長は、170cmと女性にしては高い。髪の長さは腰まで伸びている。そして、華音も皇流武術を学んでおり久遠に次ぐ実力者である。旧姓は、石川である。職業は久遠と同じで護衛の仕事をしている。
二人の出会いは・・・近いうちに語ることになるだろう。
二人は、準備が終わると早々にホテルを出た。そして、向かう先は某イベント会場。
二人の護衛対象は、北条 亜里沙。
現内閣総理大臣の北条 源一郎の孫である。
何かと世間を騒がせている総理大臣のためか、孫である亜里沙が誘拐未遂にあったりしていた。そのため、久遠達が護衛の任に就くことになった。
三人の出会いは10年前まで遡る。当時の亜里沙の年齢は6歳。都内で買い物をしている最中に誘拐されそうになったところを久遠に助けられたのが出会いである。
亜里沙を助けたことが源一郎の耳に入り、亜里沙の専属護衛になったのである。そして、亜里沙は久遠に自分の身は自分で守れるようになりたいといい、8歳で皇流武術を学び始めた。その頃から亜里沙は、久遠の事を久遠兄さんと呼び、華音の事を華音姉さんと呼ぶようになった。結果、亜里沙が中学を卒業するまで教え、華音の次に名を連ねるまでに成長した。
イベント会場に着いた久遠達は、亜里沙を見つけ挨拶を交わした。
「2年ぶりだな、亜里沙。元気にしてたか?」
「お久し振りです、久遠兄さん。もちろん、鍛練も怠らず元気です。」
「それは何よりです。久し振りに亜里沙の顔が見れて嬉しく思いますよ。」
「お久し振りです、華音姉さん。相変わらず変わりませんね?」
「当たり前です。亜里沙こそ美少女になりましたね?亜里沙に言い寄る男が群がりそうです、ねぇあなた?」
と、久遠に話を振る華音。
「何故、俺に聞くんだ?まぁ、美人になったのは認めるけどな。」
「良かったですね、亜里沙?」
久遠の言葉に亜里沙は顔を赤くして俯いた。そんな亜里沙の様子を見て華音は微笑んだ。
「さて、挨拶はこれぐらいでいいだろ?どうやらイベントが始まるみたいだぞ?」
久遠の言葉通りイベントの開催を促すアナウンスが流れた。
と、同時に久遠達三人の足元に魔方陣らしきものが出現した。三人以外にも何人かの足元に魔方陣らしきものが出現していた。
「あなた、この魔方陣は・・・。」
「あぁ、あの時と同じものだ。」
「えっ?どういうことですか?」
久遠と華音の会話を聞き驚く亜里沙。そんな亜里沙を見て答える久遠と華音。
「これは、俺達を異世界に召喚する魔方陣だ。」
「えっ?本当ですか?小説の中の話ではないのですか?」
「亜里沙、それは違います。現に魔方陣が現れていますから。」
「でも・・・。というか何故、知ってるんですか?」
亜里沙の疑問は二人が何故魔方陣の存在を知っているかである。
「それは、俺達が過去に二度召喚されているからだ。」
久遠の言葉に驚きの表情をする亜里沙。その瞬間、イベント会場に花火が打ち上がり、光と共に久遠達の姿は日本から消え去った。
どれくらい時間が経っただろう。再び久遠達が目を開け辺りを確認するとそこは何もない真っ白な世界が広がるだけだった。
如何でしたでしょうか?この作品は、私が見た夢を元にした作品になります。まぁ、プロローグだけなんですけど・・・。夢を見た日は1日不機嫌だったのを覚えています(笑)
とまぁ、そんな訳で着地点すらわからないのですが気長がに付き合って頂ければと思います。