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5-18

 翌朝。


 「あの、織姫、こっちに来てませんか?」


 朝食を作りながらお姉さまの帰りを待っていると、やってきたのはよい心の豚、じゃなくて彦星さまでした。


 「織姫さまですか? 見てませんが」

 「うーん。ここだと思ったのに」

 「どうかしましたか?」

 「いえ、それが、昨日一緒に高天原に行ったのですが」

 「はい」

 「今朝になっていなくなってまして」

 「え?」

 「僕の財布と一緒に」

 「…………」


 織姫さま、まだ懲りてないんですね。


 「財布、大丈夫なんですか?」

 「まあ、カード類は全部止めたので問題ないですが」

 「現金は?」

 「大したことないです。100万円くらいかな」

 「あー」


 100万円が多いのか少ないのか私の金銭感覚ではまだちょっとわからないですが、彦星さまの顔を見るに大したことではないのでしょう。


 「ただ、昨日織姫に伝え忘れたことがあって、もし見かけたら伝言頼めますか?」

 「いいですよ」

 「織姫の使っていたFX会社なんですけど、こっちで調べたら重大な法令違反があったことが分かって、さかのぼって織姫の借金はなかったことにできそうなんです」

 「そうなんですか!」

 「ええ。手続きは僕がやっておくので織姫に連絡だけつけたいんですが」

 「分かりました。見かけたら必ず伝えておきます」


 彦星さまはそれだけ言うとすぐに出ていきました。どうして彦星さまはあんなにいい人なのに織姫さまは避けているんでしょう。不思議です。


 お姉さまが帰ってきたのは墨ちゃんと仙ちゃんと3人で朝食を食べているときでした。両手に美雷さんと有里さんを抱えていましたが、大国主さまと雨さまは一緒ではありませんでした。


 「大国主は出雲大社に向かったわ。雨はあんまり遅いから置いてきた」


 そういえば、雨さまは飛ぶのが苦手なんでした。太平洋のどこかに墜落していないといいですけど。


 「ところで、美雷さんと有里さんの様子が変ですけど」

 「んー。今朝からずっとこんな調子なのよね」

 「かぐや姫さま、私、少々用事がございますので、先にお暇させていただきます」

 「私も用事がございますので」

 「ん。分かった。気を付けてね」

 「「ありがとうございましたっ」」


 美雷さんも有里さんもそんな感じであわただしく出て行ってしまいました。


 「あ、お姉さま、朝食食べますか?」

 「ありがと。いただくわ」


 こうしてようやく、お姉さまと私の平穏な日常が戻ってきたのでした。と思っていたのですが……



 「「「かぐや姫さま、おはようございます」」」


 いつものように学校に登校すると、正門のところに大勢の女子学生たちが整列して挨拶をしてくれました。よく見ると、右手には比較的慎ましい方々が、左手には比較的豊かな方々がそろっています。


 「こ、これは一体何のマネかしら……?」

 「「かぐや姫さま」」


 見ると女子学生たちの列の先頭にいるのは美雷さんと有里さんです。


 「私たち龍珠学園陰陽部、生徒会、並びに部活連一同はかぐや姫さまに永遠の忠誠を誓います!」

 「今後とも温かく時に厳しくご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします!」

 「「「よろしくお願いいたします」」」

 「あ、はい。よろしく」


 ということで、本日をもってお姉さまが龍珠学園の影の頂点に立つことが決定したのでした。やはり、さすがはお姉さまです。



ということで、後日談その1は完結ということになります。

この後番外編をもう1篇用意しているのですが、そちらの投稿は少しだけお待ちください。

時期が来たらここに告知します。

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