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「さて、聞きたいことはいろいろあるんだけど……」
とりあえず場所を変え、大国主さまの持っていた紙袋はすべて没収してから雨とともに縛り上げて正座をさせました。
「ご主人さま、何で僕まで?」
「ついでだわ」
「かぐや姫さん、ぼ、ぼ、僕が何をしたと言うんですかぁ?」
「胸に手を当てて考えて見てごらんなさい」
「……縛られていて手を当てられないです」
「精神的によっ」
大国主さまはしばらく頭を下げていましたが、首を傾げながら顔を上げました。表情から見るにわからないという様子です。
「じゃあ、1人目の証人よ」
お姉さまに手招きされて有里さんが進み出ました。
「私たち巨乳陰陽師は大国主さまの性癖が原因で1000年間も日陰の立場を甘受しなければならなかったのです」
「しかも、大国主さまの性癖を公表できない私たちは巨乳陰陽師を納得させられず、そのせいで貧乳陰陽師と巨乳陰陽師の間に軋轢が生まれて内部抗争にまで発展してしまったのです」
有里さんだけじゃなく、美雷さんも証言台に立ちました。これは大国主さまには耳の痛い話のようで、挙動不審な様子で目を泳がせています。
「2人目の証人」
お姉さまは今度は仙ちゃんを手招きしました。墨ちゃんが付き添って仙ちゃんが前に歩み出ました。
「この人は恐怖の大王です。この人に僕、ひどいことをされました」
「ぼ、僕は何もやってないよ」
「嘘。たくさん手紙とか食べ物とかを送り付けてきたよ」
「それはファンレターと差し入れで……」
「朝起きたら玄関の前に栗や松茸がたくさん置いてあって、物陰にものすごく太った人がこっちをちらちら見てて。怖かった……」
あれ、栗や松茸を玄関の前に置いておくってどこかで聞いたことがある気がするのですが……
「ごんぎつねか!」
お姉さまが思わずと言った様子で突っ込みを入れました。そうそう、栗と松茸と言えばごんぎつねでした。
「後、時々服も一緒に置いてあることがあって、体操服とかスクール水着とか黄色い帽子とか。どう処分したらいいのか本当に困って……」
「有罪」
「そ、それは、僕のコレクションを仙狐たんに来てもらえたら素敵だなって」
「有罪」
「あ、私の若いころの服がなくなってると思ってたら、そんなところに使ってたのね」
すせり姫さまの言葉に全員の視線が大国主さまに突き刺さりました。
「有罪!」
ということで、大国主さまと雨さまの有罪が確定しました。どういうお仕置きになるのか詳しく教えてくれないのでよくわかりませんが、いつも、終わった後大国主さまはげっそりしていて雨さまはつやつやしているので今回もそんな感じなのでしょう。
お姉さま、大国主さま、雨さまのほか、後学のためということで美雷さんと有里さんは残って、私たちは先に帰ることになりました。すせり姫さまは例のブツを持ってくるため出雲大社に向かいました。天さまも一緒に行きたがったのですが、明日は学校があるからダメです。
すっかり疲れてしまったので、私は家に帰ってすぐにお風呂に入って寝てしまいました。




