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5-14

 そして、辿り着いたのは関東某所。足は彦星にヘリをチャーターしてもらいました。今回も天さまがヘリに対抗して空を飛ぶのかと思いきや、彦星さまにレア牛をねだるのに必死でそれどころではなかったようです。


 「ここは……?」

 「私の実家です」


 一緒にヘリに乗ってきた有里さんが答えました。見ると近くに大きな門があり、たいそう立派なお屋敷のようでした。


 「今回の件、かなりの大事だと思うのに、理事長が積極的でないことに違和感を感じていたのよ。で、彦星のところに行く前に理事長のもとに式神を飛ばして監視してたの」


 そう言ってお姉さまは小さな人型の紙を見せました。


 「そうしたら、私たちが六本木に向かうのと同時に理事長も学園を出てここに向かったのよ。倉橋家のほうもヒルズの襲撃に真有さんが参加してないし、二人は示し合わせて直接対決することになっていたんじゃないかしら」


 お姉さまは門の前に立つと、ノックもせずにぐっと門を押し開きました。ぞろぞろと中に入っていくと、向こうのほうから言い争いの声が聞こえてきました。近づいてみると、慎ましい人とぼいんぼいんな人が向かい合っていました。


 慎ましい人は理事長さまなので、ぼいんぼいんな人が倉橋真有(まゆ)さまなんでしょう。確かに遺伝を感じます。


 「昔からあなたはそうだった。口では公平公正を言うくせに、自分の取り巻きはおっぱいのサイズで選んでたわ」

 「それは誤解よ」

 「誤解じゃないわ。だったら橘さんのことはどう説明するの?」


 話を聞くと、真有さまが理事長さまを糾弾しているようです。橘さんというのは2人の共有の知り合いなのでしょうか?


 「あの子は私の大切な友達だったわ」

 「だったらどうしてあの子を仲間外れにするようなことをしたの?」

 「それは……」

 「巨乳だったから。雷院はおっぱいに嫉妬したのよ」

 「違うわ」

 「それだけじゃないわ。あなたは加護の秘密を巨乳陰陽師には誰にも教えなかった。加護を貰えなかった陰陽師がどれだけ苦労するか、分からないはずはないのに!」


 そこまで聞いた時、お姉さまがはぁと息を吐いて額に手を当てました。


 「あ、そういうこと」

 「お姉さま、何かわかったのですか?」

 「確かにまだ出てきてないからどこにいるのかと思ってたけど……」

 「?」


 お姉さまは何か気が付いたようですが、私には何が何やらさっぱり。さすがお姉さまです。さすおねです。


 私がお姉さまに気を取られている間にも、理事長さまと真有さまの話し合いは続いていました。


 「真有。私はあなたにも東日本陰陽会を一緒に支えてほしいと思ってるの」

 「答えは変わらないわ」


 真有さまの言葉で2人の間に緊張が走りましたが、お姉さまが姿を見せてすたすたと歩いて行ったことで視線がこちらに集まりました。


 「雷院さん、別にばらしちゃってもいいんじゃないかしら」

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