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5-1

 「やっぱり雨は女装させておくべきだわね」


 お姉さまが満足そうにうなずいています。その前には少し涙目になった雨さまが椅子に座っていました。


 雨さまの服装はいわゆるメイド服というものです。嫌がる雨さまを裸にひんむいて頑丈な貞操帯をつけた後、ふりふりのメイド服を着させて髪を整え、顔に化粧までしたところで、もはや誰がどこから見ても可憐なメイドの女の子です。


 「あ、一応警告しておくけど、この屋敷で覗きをしようとかしたら、貞操帯から激痛が走るようになってるからね。無茶なことをすると千切れて一生使えなくなるから気を付けないとだめよ」


 にこやかにお姉さまが雨さまにそう諭しています。雨さまは首が千切れるほど縦に振ってうなずいていました。


 平安時代にいた時も雨さまはお姉さまに女装させられていたので、服装は違うもののこちらの姿のほうが見慣れた印象があります。ただ、雨さまは家事も何も一切できない子だったのでメイドが務まるのでしょうか?


 「私が監督します」


 和装からメイド服に着替えた墨ちゃんが言いました。確かに、墨ちゃんは何百年も雨さまのサポートをして仕事をしていたので適任です。きっと雨さまの使いどころも分かっているに違いないです。


 それにしても、和装の墨ちゃんも可愛かったけど、メイド服の墨ちゃんも可愛らしいです。ところで猫耳とホワイトブリム位置関係ですが、耳の前か後ろかどっちが正解なんでしょう? 墨ちゃんは後ろ派みたいです。


 「それじゃ、雨さま、さっそくきりきり働いてください」

 「は、働きたくないでござるー。後、お給料はおっぱいがいいでござるーっ」


 そうして墨ちゃんは雨さまを連れて出ていきました。さっそく買い出しでしょうか? それともお風呂掃除?


 「うー。それにしても、雨の借金、どうやって返したらいいのかしら……?」

 「雨さまの性格では真面目にお金を稼ぐなんて考えにくいですからね」


 織姫さまの10億の借金も大概ですが、雨さまの場合は単なる借金だけじゃなくて出資者に裁判を起こされて損害賠償まで命じられているので、ちゃんとしないといろいろまずいのです。雨さまの自業自得ですが、一応放ってはおけないので。


 「そういえば、織姫はちゃんと仕事してるのかしら?」

 「最近、外に出かけているところは見てないです」

 「ちょっと、織姫の様子を見てくるわ」

 「私もお供します」


 織姫さまはこの家の一室を個室として使って住んでいます。期間は次の七夕までということで、お姉さまのご厚意でただで貸してあげているのです。


 ただ、最近はどこからかいろいろ家具類を運び込んできているので七夕の後にちゃんと出ていく気があるのかとお姉さまが時々ぼやいているのを聞きます。


 「織姫、織姫」

 「……」

 「いないの? 入るよ」


 お姉さまがドアをノックして声を掛けても反応がないので、私のほうをちょっと見てからノブに手を掛けて一気にドアを開けました。

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