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主人公の親はキャラというか存在が薄い時が多い

テレビで百獣の王、ライオンが人間と戯れ合っていた。大きな身体でのし掛かり、鋭い牙を見せながら愛おしそうに男の人の顔を舐めていて、あの猛獣は猫科なんだと再確認した。



アイスを食べ終えて木実とあっち向いてほいをしていると、ガチャリと玄関のドアが開く音が聞こえた。


「あっ、帰ってきた!」


美直と木実がぴょんと椅子から飛び降りて玄関へ走っていった。お帰りなさーい!という声の後にこれまた陽気な声が響いた。


「おーっ!帰ってきたんだぞ二人ともぉ!!」


「美直、木実ちゃん。ただいま帰りました」


ようやく両親の登場である。

キャッキャとハシャぐ二人を連れてやってきた元気な声の主は俺と楠李の姿を見て愉快に笑った。


「おう、みんな揃ってたか!今日は土産があるんだぞ」


「ハイハイ。まずは手を洗いましょう」


大の大人が宥められてるよ…。犬かあの人は。

手洗いを済ませた彼女は何やらでかい箱を持ってきてキッチンを覗いた。


「んっ?今日はカレーか。丁度いい!野菜がたくさんあるから夏野菜カレーが出来るんだぞ!」


切り分けられたじゃがいもや人参を見て思ったのだろう。景姉さんがちょっと言いにくそうに告げた。


「今日はシチューなの。木実ちゃんのリクエストで」


木実がまた目をうるうるとしている。慌てて俺が頭を撫でてやると、


「木実の?そうかシチューかぁ。けどあれは冬に食う方が美味いんだぞ。カレーはないのか?」


「ないわねぇ」


景姉さんが困ったように笑う。俺が言えなかったことをサラッと言われてしまった…。


「なら今日はカレーもシチューも止めにして、このお野菜で何か作ったらどうでしょう?」


ええぇ…俺が買い物行った意味……。

なんて事実も知らず、そうだな!と決められてしまった。ガックシ。


「うーん、それでも良い?」


姉さんがこちらを見て言った。一応気遣ってくれたらしい。


「…俺は別に良いです。でも木実は?シチューじゃなくなっちゃうけど」


「いいよぉ!おかーさんがたべたいもので!」


アハハ、可愛いけど胸が痛いです。


「…景、あたし肉じゃが食べたい」


突然美直が言い出した。思わず顔を凝視すると、プイッと逸らされた。

え、これって……


「ふふっ、そうねぇ。じゃがいもと人参切っちゃったし、肉じゃがと夏野菜の炒め物で良いかしら」


意味深に笑った姉さんは野菜がどっさり入った箱から適当に何個か選ぶと、キッチンへ戻っていった。料理出来るってスゲーな。違う献立すぐに浮かんじゃうんだもんなぁ。


腕を組んで関心していると、小さな声で「あっ、シチューのお肉は魚肉ソーセージにするつもりだったんだ」と聞こえた。

…肉じゃがの肉は魚肉になるようだ。



え?

さっきから呼び方がおかしいって?

おかしくなんかないよ。


木実が言ってただろ?『おかーさん』って。



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