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数学は公式を覚えていないと解けない

マンションや団地に住んでいる奴は、二階建ての家に住む奴を羨ましがる。思春期は親(特に息子は母親、娘は父親)と、離れている空間に部屋を持ちたいものだ。もちろん二階なんてなくとも、自分だけの部屋があれば良いのだが、なにぶん“二階”という響きがカッコいい。要は見栄を張りたいだけの無い物ねだりなのだ。


ちなみに俺の家は二階建てであるが、多くの方の予想通り自室は一階だ。

元々男二人で住んでいた訳で部屋を離す必要も希望もなかったし、何より姉妹たちが部屋は二階が良いと申し出た。決して俺が一階に追いやられた訳ではない。ここ重要。


「ちょっと早く服持ってきてよ。落としても知らないから」


二階に俺の部屋はない。だが今こうして階段を上がっているのは妹の洗濯物を運んでいるからだ。景姉さんのはほとんどがキワドイものなので、自分で片付けてもらっている。すぐに脱ぎ散らかされているが。


「人にやらせておいてその言い方はないだろ」


しかも階段にいるこの時点で落としたら拾いに行けと言う。全く可愛くない妹だ。顔以外。


二階に上がり、向かって右側に美直と景姉さんの部屋がそれぞれある。木実は姉さんと一緒の部屋だ。

部屋に入る美直に続いてドアの前に立ち、持っている服の山を差し出した。


「ほら。だいたいお前、兄貴とはいえ自分の下着とかも運ばせて恥ずかしくないのか?」


そもそも人に自分のものを運ばせるなよ…、と小声でボヤくとベッドに寝転がろうとしていた美直はこっちを振り返るなり、キッと睨み付けて俺の手から洗濯物を奪い取った。


「何勘違いしてんの?あんたにパンツ見せるために運ばせてあげてるんじゃないんだから!」


…………誰かこの言葉にキュンとくる奴はいるのか。


世間で言うツンデレのお決まり文句が聞こえた気がするが、俺は同時にこめかみ辺りからブチッという音を聞いたんだが。


「誰が中学生のガキのパンツをわざわざ見るかぁ!しかも運ばせてあげてるって何様だ!?」


思わずドア付近に手をついて身を乗り出すと、美直はツカツカとやってきてそのドアをいきなり閉めやがった。


「痛だっ!!!」


左手を僅かに挟んだ。危ねぇ!

ちくしょう、可愛くない…!!

世のツンデレ好きは今のどこかにデレを感じるのか!?俺が鈍いだけでこれはツンデレとして成立しているのか?

例えば最後に「ごめんね」とか「ありがとう」の一言がありゃ俺だってツンデレとして認めてやらなくもない。


けどこの対応は絶対に違うだろ!!!



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