灰の世界、蒼の世界
少年は、何をする事も無く佇んでいた。
食べる事も、動く事も無い。
ただただ空を見上げる。
何年、何十年と少年は虚ろな目でそうしていた。
空っぽの少年、名はエンドだ。
地球上に、人も建物も無い。
滅ぼしたのは自分自身。
エンドは想う。
自らを殺して欲しいと。
灰色の髪、灰色の目は、世界の終わりの続きだけを見つめている。
最初は希望を持っていた。
もしかしたら反対側には誰かいるかも、蒼の世界が広がっているかも。
一人でもいい。
誰か居てほしい。
でも、長い長い間そうやって探して誰も居なかった。
やがてエンドは絶望し、歩く事をやめた。
虚ろな瞳は、もう空しか映さない。
感情を無くした瞳は、空を見ても何も感じない。
只の人形の様に、動かなかった。
神は嘆く。
人間によって作られた、世界を滅ぼす為だけに作られた少年エンド。
絶望により少年の時間は止まり、神は憂う。
神はそんな少年に希望を持たせる事にした。
オリジン、始まりの少年。
神はオリジンをエンドの側に落とす。
うずくまり眠るオリジンは、ゆっくりとエンドの側に降り立った。
蒼い瞳、蒼い髪は、希望。
エンドとオリジンは出会い、そして時は動き始める。