手に入れるべき物とは
「ここに来た新人さんのテンプレートな反応をありがとうねー」
目の前にいるこの薄赤髪色男は何なのか、そして今俺がいるのは…
「………ナニコレ…」
【The shock kill survivalー0ー】の“中”だ。
(いやいや、待て待て待て待て!!!なんだコレ!?夢か!?夢だよな!?いやありえないだろ!!確かにこの歳になってまだニートorゲーマーのクズ人間でしたよ!?だけどいくら何でも現実と二次元の区別がつかないくらいのダメ人間なのか俺はァァアアアア!!!?!?)
「その様子だと、だいぶ今の現状に困惑してるみたいだねー」
脳内で複数の自分と口論会議を行い殴り合いの話し合いになる前に事の発端を知っているであろう色男に声を掛けられ現実……夢の現実に我に帰った。
「おい!?コレどういうことだよ!?」
色男の服の襟を掴んで強気に出て質問する、しかし色男はヘラヘラと笑って
「アハハ、やっぱり戸惑ってますね、〔J〕さん」
「当たり前だろ…目が覚めたらゲームの中にいたって、どんな夢物がた………り………」
そこまで言って俺は色男の発言の不可思議な発言に気づく…〔J〕…確かに今この色男は俺をそう呼んだ。
「…………え……」
「ようこそ東城 快…いえ[死を狩る死神 J]さん、【The shock kill survivalー0ー】の世界へ」
「…………え……」
つい17秒前と同じ反応をする
「貴方はこの世界に呼ばれました、おめでとうございます」
「な……に言って…………」
「このゲームのクリアを目指して頑張って下さい」
「お、おい…………」
「なお、クリアした際には……」
「ちょっと待て!!!」
色男がまるで録音された説明係の話を言う様に喋る所に口を開けて話を遮る。
「さっきからお前何言ってんだよ!?ゲームの中!?この世界でクリア!?」
「………」
色男が黙る
「確かに俺はこの歳になってもまだ働かずにゲーマーしてるクズだったよ!?でもなんなんだよ!現実とゲームの世界に区別つかないくらいのクズになっちまったのか俺は!?それとも何か!?これは手の込んだニート更生プログラムか!?そもそも誰なんだよお前!!」
「おや、これは失礼しました」
ここにきて色男が口を開けた
「自分は[ガイド]という者でこの世界に呼ばれた方々の案内兼世話係を行っています」
ますます訳が分からなくなってしまった。
(あぁ、そうか…あれだなこれは…夢オチのあれだなうん。)
「ちなみにJさん、この世界はゲームの世界であり、また現実です。ご理解頂けない事は承知ですので先に言わせてもらいます」
まるで人の心を読んだかのようにグサリと言ってくる。
「………現実……っていくら何でも………」
そうだ、信じられるはずがないこんな話を…
「そうですか………」
ガイドは少し何か悩む素振りを見せると腰に手を当て何かを取り出した…それは……
「これが何に見えますか」
拳銃だった。
「ブラックセドル374、このゲームの中でのみ使用できる銃でありなおかつこの世界に出てくる拳銃類の中では威力はトップクラス、50メートル先にある缶が粉々に砕け散る威力の弾をこの超至近距離で貴方の頭に撃ちこんだら…どうなりますかねぇ」
まるで怒っているようにも嘲笑っているかのようにも見えるガイドの顔は恐ろしく、さっきまでと違い声に明らかに何かの違いがあるのがガイドが冗談を言っているようには感じさせなかった。
ブラックセドル374の28ミリ口径の口が俺の額に触れ、拳銃の鉄の冷たさと重さが俺にリアル(現実)の恐怖を感じさせた。
「………なーんてね☆冗談ですよ♪」
途端、ガイドはさっきまでとは打って変わり満面の笑みと明るい声で銃を降ろしそう言った。
「新人さんに解ってもらいたくて、すいません」
「お……おぅ………」
突然の変化に俺は戸惑い変な声で返事をした、と同時に
『ガクンッ』
先程までの緊張感が取れてしまったのか、俺は腰が抜けてしまった。
すると
「大丈夫ですか?」
と、ガイドは俺に微笑みながら俺に手を貸してくれた。
「………サンキュ…」
「さて、信じてもらえました?」
「……おぅ…」
「本当ですかぁ?」
「本当だって!」
そうだ、俺はようやく現実を受け止めた、この世界が現実だということを
さっきの恐怖で……
「まぁとりあえず、私は貴方の世話係ですので、当分は貴方に付きますので困ることがあれば何でも聞いて下さい」
「………クリアすると…………何がもらえんだ?………」
「はい?」
「だから、クリアすると何がもらえんだよ……さっき説明遮っちまったから……」
「アハハ、そういえばそうでしたね」
「アハハて……」
「では改めて説明します、クリアすると……」
生唾を飲み俺はガイドの話に聞き入った………するとガイドの口から出たのは予想外の言葉だった
「貰えるのは
“全て”です」