永久に借りるだけですわ
さて、思い立ってすぐ街道沿いに進み始めたのですけど、進み始めてすぐ、一般人とすれ違いました。念のためと歩いていたのが幸いし、丸腰で何の荷物も持たず歩いているただの少女としてやり過ごせました。
かなりガン見されましたけど、声をかけられることもなくスルーです。
まあこのように人とすれ違う可能性が拭えなかったので、歩いて村と思しき方向に歩いていたら、長閑な農村までつく頃には夕焼けがきれいになっていました。そして歩き詰めで脚がパンパンです。
一息つきたいところですけど、お約束展開は避けたいのでさっさと行動して人目につかない所で休みましょう。
そのためにも、どうやって服を手に入れるかです。雰囲気的に、タダでくれと言っても断られそうですし、かといって金目のものなんてありません。
いい案が思いつかないので、あきらめて穏便に盗むとしましょう。きっと日が暮れればすぐに寝てしまうでしょうし、寝入るまでに私も休めます。寝入っているなら危害を加えることなく服なども手に入るでしょう。
そうと決まれば、近くの森に行って、見つからない場所で氷に包まれて一眠りです。この時間から森に入る人は居ないでしょうし、少し奥に行けば大丈夫だと思います。
辺りを見回し、近くに人が居ないうちに森へ入りました。そこそこ人が入るのか、地面がそこそこ踏み固められている部分が多いです。
15分ほど進んだところで、いい感じの広場を発見しました。ここで一休みすることにしましょう。
目が覚めたら、丁度月が真上に昇っていました。これはいい時間ですね、さっさと取る物とってトンズラです。
森を適当にさ迷ったので、たった15分といえど村がどっちか見失ってますけど、水で感知すればバッチリ分かります。
深夜なので遠慮なく空を駆けます。水のスプリングで森の上に飛び上がり、即席の氷の板に乗って村の方へ出発です。
さすが田舎の村ですね、篝火の一つもありません。その方が好都合なので今回はいいんですけど、無用心にも程がありませんかね、全く。
今回お邪魔するお宅は一番大きい、村長っぽいお宅です。起きちゃったらすこし永眠もらいましょう。
ドアの前まで来ましたけど皆寝ているようで、このままなら余裕そうですね。ただ、寝てる人の傍でコソコソ作業するなんてしたこと無いので物音立てそうです。基本は私は一般的な女子高生なんです。ただちょっとオマケがついてて殺人歴があるだけなんです。
「おじゃましまーす……っと」
今更ですけど、こういうファンタジーの住人たちは何処に服を仕舞っているのでしょう?全く分からないので虱潰しに行くしかなさそうです。
間取りはなんと、仕切り無しのワンルームです。壁際に家の持ち主っぽい家族が寝ています。それもグッスリでなんと都合のいい事でしょう、いえ、この場合は都合がいいというよりは命拾いしましたね、といった感じでしょう。
そんなこんなでいろいろガサガサして無事目的のブツを手に入れました。服二着と適当な袋です。服は多少サイズが大きい気もしますが、ワンピースタイプなのでなんとかなるでしょう。
それでは、明日の昼過ぎにでも先程の街に向かいましょう。朝一番では、夜から移動していたのかとか言われそうですし、日暮れ前ではすぐにトラブルが舞い込む時間が訪れます。
それでも、その時間までをどのように過ごすかが問題です。森で寝ようにも、さすがに昼まで誰にも見付からない可能性なんてありえませんし、かれこれきっと10時間以上あると思います。
ふむ、これならいっそ街に進入してどこかに隠れたほうが楽な気がしてきました。先程遠目で見たところ、そこまで高い壁ではありませんでしたし、見張りも夜になってもそんな厳重になるとは思えませんね、戦争やってる雰囲気でもなさそうですもの。
善は急げ、いえこの場合は悪は急げですね。森の中で着替えて街に向かいましょう。と、いう訳で先程の広場まで戻りました。
ふと思うのですが、屋外で着替えるなんていつ振りでしょうか。というか着替えたことないですね、私からすれば線路に寝転がるのと同義と言っても過言ではない行為ですし。
ここは仕切りを作っておけば、いざというときにも安心ですね。まあ普通に水の壁を作ったって純水より混じり気のない透明な壁になって終わりなので、適当に地面の土を絡めとって濁せばいいでしょう。
できました。では早速サービスシーンに移ろうかと思うんですが、ちょっと怖いですね。いくらあたりに人が居ないと分かっていても、怖いものは怖いのです。ここは、そうですね
「……すぅ……はぁ……」
あんまりグダグダとしていても仕方ないしね、『僕』も覚悟を決めようか、よし、バッと脱いでしまえ!