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話し合いですわ

「なんにせよ、一旦戻って若造たちに説明せねばな……」


 眉間に皺を寄せてサイファス(おっさん)は呟きました。さっきの様子だとあの二人を守りながら戦うのが難しいか、彼でも勝算が無いくらいの相手だったんでしょう、この世界のサキュバスというのは。


「街までどのくらいかかりますの?先程のお二人はどうやら経験が少ない様子ですし、あまり離れてはいませんわよね」


「まぁ、な。2時間ほどで街に着く。ワシだけなら街に着く前にあいつらに追いつけるがお嬢さんも一緒となると……」


 なんだか面倒くさそうに足手まとい宣言されました。先程の移動方法を使えばむしろ彼を追い越せそうですけれど、見せると厄介ごとに巻き込まれそうなので自重すべきでしょうね。だからといって2時間走り続けるのは無理です。


「先に行ってくださっても、のんびり後から追いかけますわよ?」


「そう言って行方をくらませる気かね?」


「まさか、そんなことをするくらいならここで貴方を葬りますわ。もう面倒なのでゆったり街へ向かいましょう?」


 やはり信用されてないのでしょうか、どうやっても彼を先に行かせる事は難しそうですので諦めてそう提案しました。


「しかたないか」


 彼が街へ戻るのが遅れるほど街では捜索隊ないし増援の準備が進んでしまうのでしょう。徒労をかけさせたくないという気持ちは分かりますが、彼が行動を共にしないと気がすまないというのです。仕方ないはむしろ私が言いたいくらいですね。


「では、参りましょうか」


「頼むから途中で根をあげたりしないでくれよ?」


「おじ様は少し私を馬鹿にしすぎだと思いますわ。そんな軟弱な根性であれば、見知らぬ平原に転移させられた時点で泣き叫んでますわ」


 憤慨して見せた私に彼は、それもそうか、と呟いて歩き出しました。

 体格のいい彼は小柄な私に歩幅を合わせるつもりは無いようです。そのせいで私は少し早足で行く羽目になりました。


 そんなこんなで20分ほど黙々と歩いた頃です。おじ様が何かを見つけたのか、むっと唸りました。


「……おじ様」


「どうかしたのかね?」


 私は水を自在に操れる手前、水に関する感知は抜群です。操れるのは半径2kmでも、感じ取れるのはおおよそ2km半程です。

 感覚を研ぎ澄ませますと、2km半離れた所にちょうど先程のオオカミっぽいモンスターの群れがいるのが感じ取れました。


「オオカミ型モンスターの群れですのね。数は27、特に異常な固体はいないと思いますわ。おじ様はお強いかしら?」


 この数を先程のように虐殺するのはさして難しくないのですが、おじ様に先に発見された以上は迂闊に虐殺するのは控えることにしました。

 でもそれで群れに飲まれて危機に陥るわけにはいきませんので、数と種類は報告しておくことにしました。


「……まだ点ほどだと思うのだが、何故分かるのかね?」


 何故、と絶対に聞いてくると思っていましたので、これには沈黙で答えます。


 もとより私は少し特殊なだけで、平凡な一学生に過ぎません。明らかに駆け引きと縁のありそうな世界に住む彼の質問に適当に答えていると、いつか取り返しがつかない事態に陥るとも限りません。


「答える気はないと。まぁよい、それが確かなのであれば、普段なら(・・・・)問題はない」


「あからさまですわね……。乙女の1人も守れませんの?」


 守ってもらうつもりは一切ありませんが、少し挑発してみます、が。


「ここを無傷で歩けている時点で守ってもらう必要は無いのではないのかね?お嬢さんが歩いてきた方向はちょうどあいつらの巣が多数存在する方向だ。鼻の利くあいつらに襲われないはずが無い。」


 何ということでしょう。出会うたびに殲滅&放置してきたあの方向は外傷の無い死体が無数にある奇怪なことになっています。これでは今非力なフリをして乗り切っても、遅かれ早かれバレるということに他なりません。

 諦めたほうがいいのでしょうか?でも、先程無詠唱がどうこうと言っていましたし、遠慮なく殲滅すれば化け物認定待った無しですし……。

 そうです、不必要な詠唱でも入れて人間アッピルすることにしましょう、言語は適当に英語で。


「まぁ、そうですわよね。いいですわ、おじ様は手出し無用で構いませんわ」


「なんだ、焦りだしたかと思えば、隠すのはやめたのかね?」


「私が来た方向を調べられれば、どう足掻いてもバレますもの。ならここでおじ様に目撃者になってもらった方があらぬ疑いをかけられる可能性も下がりますわ」


「いったい何をしたのか……いや、どうせ聞いても答えてくれまい。できるのかね?」


 余裕ですわ、と彼の方へ不敵な笑みを浮かべた後、群れへ視線を投げました。

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