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こんにちは、おじ様

初投稿です、はじめまして。

プロットとか考えてない、100%思いつきなんできっとグダグダしちゃいますし、不定期だと思いますが

読んでやってください<(_ _)>

 水面の音がすぐ真横で聞こえます。視界に映るは朧にかすむ満月で、当然今の時刻は深夜2時。場所は、森の中にある湖です。絶賛まったり中でございます。


「……落ち着きますねー。もう世界中水浸しならいいのですが……」


 私は水が大好きです。決まった形に定まらず自由な感じとか、母なる海の主成分であったりとか。……え?意味不明?まぁそうおっしゃらずに。


「こっちの方に引っ越しましょうか…………。そうしましょう、ええ」


 閑話休題、私は今現実逃避中。湖の真ん中でぷかぷか浮きながら。たまに水のアーチをくぐりながら、まったりと、でもいつも同じことばかりしていてはいくら楽しくても、さすがに飽きるのでたまには新しいことでも。そうでもしなければ普段のストレスはなかなか解消し辛いですから。


 私の真下からゆっくりと水柱がせりあがって私を持ち上げて行き、そのまま私の身長三人分……4.5メートルほど……の高さまでいってから止まります。

 普通ならここで大いに驚くのでしょうが、私は別段驚きません。だってこの事象の犯人は私ですから。


「さて、いい加減猫を被るのはやめましょう。誰もいませんしね…………」


 一言呟いて私……“僕”は口調を素に変えた。


「ほんと、誰だろうね、僕に七面倒臭いルールを与えてくれたのは……。おかげで平和とは無縁な人生じゃないか。」


 蛇足だけど、今着ている服は僕が通っている学園の制服(女)だ。そして僕の戸籍上の性別は女だ。戸籍上は。

 ここを強調するからにはもちろん、実際の性別は逆。いろいろな理由があって、女の子として生活してる。

 自分で言うのも変かもしれないが、その辺の女の子より可愛い自信がある。実際にラブレターの類もそこそこもらってる、両性から。


 で、女の子として生活している理由は途方もなくばかげていたり。それも驚き、科学が大発展を遂げている現代で、まさかの呪いだそうで。

 男であることを知られたら僕は死ぬ。と両親に言われて早十数年。女の子を通し続けている。


 普通だったらそんな話は与太だと一蹴してしまうけれど、信じるに足りることがもう一つあるせいで、呪いを僕は信じている。さっきの犯人の下り、……そう、水柱の


「ていうか、今更考えたらこの水柱、かなり目立つのかな?」


 まぁいいや、目立ったとしてもこんな深夜にこんな森の奥深くに人なんていないでしょ。


 話を戻して、水のアーチとか水柱とか、作っているのは僕だ。できることは単純明快、水を自在に操れる。形を変えたりなんかにとどまらず、温度をそのまま気体や固体にすることなんかもできたりする。

 俗にいう、超能力というやつだ。おとぎ話みたいなことができるのだから、呪いだって信じてしまう。


「今じゃ相当操れるけど、昔はほとんど塊ごと動かすみたいだったからなぁ……」


 昔を懐かしんで、ほほえましい気持ちになっていた僕は大きなミスを犯した。


「…………っ!?」


 湖畔にいる人影に気付かなかった。いつからそこにいたのか、誰なのかもわからない。ほとんど無意識に固体化させた水を人影の鳩尾に飛ばしてしまった。


「っが!!」


 人影はどさりと倒れた。急いで人影のところまで行く。


「どうしましょう!?……まさか死んではいませんよね?」


 人がいると分かったので、僕は私に変わりつつ人影の心拍を確かめ、……よし、生きてる……、改めて状況を確認した。


 たぶん月を背にしていたので私のことはよく見えてはいない。だったら知らんぷりをして立ち去るのが一番だとは思うけれど、顔を見たらそれができなくなった。

 なんというか、優しそうなおじ様だった。英国紳士みたいな雰囲気が、失神していてもにじみ出るような。


「……どうしましょう。…………あ、偶然通りがかって起こしたことにしましょう。我ながらいいアイデアですわ。」


 そうと決まれば早速実行。少し離れてからおじ様の方へ歩く。


「………………あら?……まぁ!人が倒れて……。大丈夫ですの!?」


 そして一芝居。ゆさゆさとおじ様を揺さぶり、声をかける。


「…………ん、んん……」


「よかった、気が付きましたのね。」


 我ながら白々しい。けれど、良心と命の両方を納得させるためには仕方ない。


「……?お嬢さんは?……吾輩はいったい……」


「ここで倒れておりましたわ。……このような場所でどうなされたのですか?」


「……そうだ、たしか水柱の上に人が……胸のあたりが痛むあたり、何かぶつかったのか」


 おじ様は独り言のようにぶつぶつと状況整理をしている。


「……水柱の上に人?狐にでも化かされていたのではありませんの?」


 もう二度とあんなことはしないと誓いつつ、白を切る。


「狐に、か……。そうなのかもしれん」


「お疲れのご様子、森の外までご案内いたしましょうか?」


「申し訳ない……。頼まれてもらえるだろうか」


 つい送る、などと言ってしまった。さっさと別れた方がいいのに。しかもお願いされてしまう。……最悪だ……。


「えぇ、……では、こちらに」


「ありがとう、……しかし、お嬢さんはこのような夜遅くにこのような場所で何をしておられたのか?」


 ほらやっぱり!やっぱり聞かれた!


「さて……、何をしていたのでしょうね」


 変な嘘をつくと墓穴を掘りそうなので、微笑して誤魔化してみたり。


「ふむ……、あの近くにあった死体はお嬢さんが?」


「……………………っ!?」


 はっ!?死体!?なに、この森ってそんなに危険な場所だったの!?

 私は大いに動揺した。あらぬ容疑をかけられて、言葉に詰まっている姿を見て、


「危うく吾輩も餌食になってしまうところであった。お嬢さんが嘘が苦手で助かったよ。」


「え、いや、あの!?」


 おじ様は一っ跳びで一気に距離を離した。常人には不能な距離をノーモーションで。


「……っ!……貴方、何者ですの?」


 混乱の極みにいる私は冷めた口調で睨んでしまった。どうやら一般人ではなさそうなおじ様。死体のことなど頭から即刻吹き飛んだ。


 自分がそうである以上、他にも似たような異常な人種がいることはなんとなくわかっていた。だからこそ呪いが真っ先に脳裏をよぎった。


「驚かないか……、やはり……」


「いったいなんなんですの?」


「職業柄、吾輩はお嬢さんのような人を信用できなくてね」


「どこのどなたかは存じませんが、何か勘違いしておりませんの?」


「勘違い?」


「ええ、私はおそらく、おじ様の考えているような危険人物ではありませんわ」


 話が飛躍して、訳が分からなくなってきたので軌道修正に転じてみることにした。


「自分で自分のことを危険人物とは言わんだろうな。吾輩とて命がけなのだ、安易な嘘には引っかからんぞ?」


「はぁ……、仕方ありませんね。……おじ様は水浴びなど、お好きですか?」


 素直な説得は聞き入れてもらえなそうなので、ななめな感じで再度挑戦。



「真夏ならば心地よいだろうが、まだ肌寒いのではないのかい?」


「そうですの……。では、退散させてもらいましょう」


 嫌ならばしかたない、変に逆上されても困る。


「退散?……どのようにかな、お嬢さん?……貴女の足では無駄だと思うが」


「さて、どうでしょう」


 言い放つと同時におじ様の近くにある木の水分を全て気体へと変えた。ついでに足元の土に含まれる水分も。

 当然、気体にすれば体積は爆発的に増える。その結果起きることは爆発。


「……なっ!?」


 木片とか土くれとかがいろいろと吹き飛ぶけれど、大した危険性はない。自分自身の身で実証済み。よく言う幼さゆえの過ちの類だったりする。


「さようなら、おじ様。またの機会がないことを祈りますわ」


「待ちたまえ!逃がすわけにはっ!」


 これで華麗に去ることができるのならいいのだけれど、実際は全力ダッシュ。たぶんさっきの余裕からして、相当高速で移動できるはず。


「でしたら障害物をたくさん作って差し上げるだけですわ」


 やることはとっても単純。木と土と空気中の水分を駆使して、氷の棒を縦横無尽に張り巡らせるだけ。


 幼いころから懸命に鍛錬したおかげで、半径一キロの範囲は自在に操れるし、大雑把でいいなら半径二キロまで行ける。今回は半径一キロほど。

 森から出てさえしまえば人目がある。逃げ切るのは容易だろう。


「……はぁ、はぁ、……疲れた……。……けどあともう少し……」


「頑張りたまえ、吾輩はまだまだ行けるぞ。」


「………………はぁ!?いくらなんでも早すぎではありませんの!?」


 おじ様は普通に後ろを走っていた。


「あのような術を使うのだ、少し無理をして突き進んだにすぎんさ。しかしお嬢さんは優しいのだな。最初の爆発も危険はなかったし、次も障害物を生成したに過ぎない。危険人物だと勝手に判断してしまってすまなかったな」


 なんだか一気に気が抜けてしまって、走る足が緩む。


「だったらなぜついてくるのです?」


「危険人物ではなかったとしても、先ほどのことで別件ができたのだよ」


「そうですの……。お伺いしてもよろしくて?」


 とりあえず、今すぐに危害は加えてこなさそうなので、足を止め、話を聞くことにする。


「おや、止まってくれるのか。ならば再度聞こう、あの死体はお嬢さんが?」


「まだ疑ってますの?……わたくしだって驚きですわ、この森が死体が転がっている様な物騒地帯だったなんて」


 この人はどのような人生を送ってきたのだろうか、と思ってしまう。私のように可憐な少女(嘘)を見て、人殺しか?などと……。


「なるほど、それで先ほどは動揺を……。いや、早とちりしてしまったようだ。」


 はっはっは、と笑って見せるおじ様。殺意が芽生えました。


「おじ様、殺しますよ?」


 思わず空気中の水分で巨大なつららを生成して、満面の笑みで構えてしまった。


「……………………お嬢さんは、危険なんじゃないかと吾輩の本能が警告しているのだが」


「そんなことはありませんわ」←冷たい笑み


「ならばその危険物をしまってもらえないだろうか?」


「これから私がする質問の、おじ様の返答次第です。……場合によっては生き残るため、手段を選ぶつもりはありません」


 一回脅してしまったのだから、いっそこのままいろいろ聞き出すために脅しを続けることにする。


「まず1つ、おじ様は私について何を知ってます?」


「…………真面目に答えなければいけないようだ。お嬢さんのことは先ほど初めて知ったが、今までのことを見る限り水を操れると踏んでいる」


 おじ様は今までから態度を変え、真面目に答えてくれた。


「そうですの……。では次に、おじ様は何者でどこのどなたかしら」


「それを聞くには、お嬢さんも教える必要があると思うのだが?」


「一理ありますね、…………私は戸倉優衣(とくらゆい)。女子学生やってますわ。」


「……なるほど、では吾輩も名乗ろう。吾輩の名はレント・クラッコ。怪物退治を生業にしている者だ」


「…………は?怪物退治?……ずいぶんと非現実的ですわね」


 彼は私の予想をはるかに超えた回答をしてくれた。


「それはお互い様であろう?」


「女子学生のどこが怪物退治とお互い様と…………まって、一つ聞きますわ。おじ様はもしかして私を怪物と認定して迫ったのですか?」


「少し、疑ったが、壊滅的な被害を与えてこなかったことと、こうして会話が成立している時点でそれは晴れている」


 どうやら私、危うくそんな会話不能な危険物と同じ扱いを受ける寸前だったみたいです。


「それに、この世のどこに水を自在に操れる女子学生がいるというのだね?」


「まぁ、確かに全体的に見れば非現実的ですわ。…………でもさすがに怪物退治は……」


 はっはっは、とおじ様改めクラッコは私を笑い飛ばす。しかし、不意に真面目な顔をして、こちらを見据える。


「…………どうかしましたか?」


「先の会話、疑問が浮かんだんのだが聞いてもよいだろうか?」


「……ええ。なんでしょう?」


「生き残るため、とはどういう意味なのだろう?単に吾輩から身を守る、というわけではないようであるし、どちらかと言えば知られてはいけないことがあって、それが身の危険を呼ぶ。といった類……」


 案外クラッコは洞察力や思考力が高いようで、そこまで一人でたどり着く。


「…………不服ですが、おおむね合っていますわ。ですので詮索を控えていただけると助かりますわ」


「込み入った事情のようだな。…………呪い、かな?」


「……っ!!……知っていますの!?」


 呪いという単語に過剰反応した私を見て、クラッコは、あたりか……。と呟きポケットから紙切れを取り出した。


「これを受け取りたまえ。……来るか来ないかはお嬢さんしだいだ」


「……?これは、…………名刺…………なぜ?」


「呪いの話は誰が聞いているかわからない場所でするには危険であろう?」


「………………確かに、そうですわね」


「だから、明日の夜にそこの住所に来たまえ。詳しい話はそこでしよう」


 そしてクラッコは返事を聞く前に踵を返す。何故だか、呼び止めてはいけないような気がして、声をかけられずに見送ってしまった。


「……いっちゃった。……どうしましょう」


 手元の名刺に書いてある住所を見れば、隣町。

~補足~

ここで登場人物の能力だったり、敵対したやつの能力について触れたいです


戸倉優衣……とある呪いのせいで、男だとバレると死に至る。そのかわり

      水を自在に操れる。使い方によっては相手が即死したりする

      常温のまま氷にしたりもできる。もちろん冷たい氷も作れる。 

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