表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
再会の日々 ~仕合わせ~  作者: マツバラ
14/20

14

「大丈夫?そんなに落ち込まないでよ」


落ち込ませるようなことを言ったのは自分じゃないか!

いや違う、別に裕美が悪いわけじゃない。

写真のことを教えてくれたんだ、逆恨みしてもしょうがない。


裕美がいなかったら裕子の気持ちはわからないままだったし

一緒に現像したことも思い出せなかっただろう。


「そんなにママのことが好きなの?」


好きとか嫌いとかそんな表面的なことではなく、裕子と一緒の時間をすごせる幸福感を失いたくないのだ。

どんなつまらないことでも些細なことでも、一緒に共用できる喜びを説明したとしても今の裕美では理解できないと思う。


裕美はさっきまで怒っていたのに今は心配そうな顔をしている。

裕子は自分の感情を表に出して相手が傷つくならば、それを言わないでのみ込んでしまうような性格だ。

それを知っているから母親の本音を代弁しようと思ったのだろう。

裕美が写真のことを知っていて、それを伝えてくれたのは幸いだった。


ちょっと待てよ、前から知っているような口ぶりだがどうして写真のことを知っているんだ?


「裕美はなぜ写真のことを知っていたの?」


「やっとしゃべってくれた。さっきからずっと怖い顔をして

黙ったままだからどうしようかと思っちゃった。

写真のことは小三の時にママから聞いたんだよ。」


「小三って・・・小学校三年生の時にそんな話を聞いたってこと!?」


「そう、小三の時に家に帰ったらママがリビングで写真を見つめてて様子が変だったの。それで聞いたら話してくれたんだ」


「それってどういう話だった?」


「写真をずっと見つめながら、これはママの大切な人と二人で

作った大事な写真なんだって言ってた。

私は小さかったけど、その大切な人はママが好きな人だと思ったの」


「そうか、裕美は頭の回転が早いからね」


「でもね、パパ以外の人をママが好きなんてショックだった。

そのあとすぐに冬休みで家族旅行に行ったのね、ずっと前から楽しみにしていたのに、そのことがあったからなんか楽しめなかったなぁ。

今だったらママの気持ちも理解できるんだけどね」


女の子はませてるといっても、小三でそんな大人の話を理解するなんて当然無理だ。

17歳の今だって本当に理解できるか怪しいものだ。

なぜその時に写真の話をしたのだろうか・・・


いや、今は余計なことを考えている場合じゃない。

写真のことを謝ろう、とにかく全力で謝るしかない。


時間がだいぶ過ぎてしまった。裕美を送っていかなくては。


「遅くなるとママが心配するから送っていくよ」


「まだ大丈夫だけど、送ってもらおうかな」


裕美を乗せて自宅近くの空き地に向かう。

車を走らせながらどう謝ろうか考えていた。

空き地に着いたので裕美を降ろそうとした。


「もう少し時間があるからここで話をしない?」


裕子のことで頭がいっぱいだったので話をする気分ではなかったが、断るのもややこしいのでつき合うことにした。


「一也は本当に高校生の時からママが好きだったの?」


なんだ、ただの好奇心か。ごまかすのも面倒なので正直に話した。


「あぁ、好きだったよ」


「そうかぁ、一也も好きだったんだ」


一也も?もってなんだろ?


「一也もって、どういうこと?」


「ん?ママも好きだったって意味だけど」


「高校生の時から!?」


「なに言ってるの、そんなの当たり前じゃん」


いや、当たり前じゃんとかってさらっと言われても。


「前から思っていたけど、一也って鈍感?」


たしかに女性に対しては奥手というか相手の気持ちがよく

わからないというか・・・あれ、それが鈍感なのか?


「だからパパにママを取られちゃったんだよ」


この小娘は言いづらいことをズバズバ言いやがって!

だが当たっているから反論のしようもない。


「裕美は手厳しいね」


「それでママとはキスとかしたことある?」


今度はキスか、なんだか相手をするのが面倒くさくなってきた。


「あのさ、つき合ってもいないんだからキスなんてするわけ

ないでしょ」


「だって好きだったんでしょ」


「好きだからといっても勝手にキスできないよ」


「ママも一也のことが好きだったのに?」


あぁ、面倒だ!


「あの頃はそれに気づいていなかったからしょうがないじゃん。

キスどころか手も触ったことないよ」


「そっか、私は一也と手をつないだことがあるし、抱き合った

こともあるからママに勝ってるね」


そういうことか、最近は裕子にばかりに目がいってたからヤキモチを焼いているんだ。


でも足を怪我していたから手を貸しただけだし、抱き合ったといっても泣いているのを慰めるためだったからちょっと違うよな。


「そうだね、裕子とはそういうのをしたことないからね」


「ねぇ、キスしてよ」


はぁ?なにを言ってるんだ!?


「ちょっと、いきなりどうしたの?」


「ママとキスしたことないんでしょ。だったらママよりも先に

私にキスしてよ」


なにを考えているんだ、そんなの親子で競ってどうする。


「先とか後とかの前に、裕子とはこれからもキスをするような関係にはならないから心配しなくていいよ」


「お互い好きなんだからそんなのわからないじゃん!」


「だって今は裕子が怒ってて、もしかしたらもう会ってくれない

かもしれないんだよ。キスなんてこれからもしないでしょ」


「ママはきっと許してくれるよ。だって一也が好きなんだから」


ついさっきと言ってることが違うだろ。

もう会わないかもとか、謝っても無理かもとか散々言ってたくせに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ