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再会の日々 ~仕合わせ~  作者: マツバラ
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良かったのか悪かったのかはわからないが、裕子に告白出来て

胸のつかえが取れたような気がした。


でも伝えたところで僕は結婚しているのだから進展はないだろう。

もしかしたらただの自己満足で迷惑をかけるかもしれない。


それでも自分の気持ちを押し殺して接するよりはずっといいと思った。

今でなければ伝えられないこともあるはずだ。

そう思えて本音を言うことが出来たのは裕美のおかげだと感じていた。


裕子が言った「私も好きよ」という声が頭の中に残っている。

それが同級生として好きなのか異性として好きなのかは少しだけ

気になるが、嫌いではないのは間違いない。

今はそれだけで充分だ。



数日後、新しい写真を渡そうと裕子に連絡をした。

自宅だと裕美がいるのでコンビニで待ち合わせをして、ちょっと

離れたファミレスへ行くことした。

会社へは直帰ということにしたので2時間ほど時間が作れた。


裕子と二人でいるところを同僚や知人に見られるのはあまりよくないが、妻に直接言いつけられる可能性は低いだろう。

もし見つかったとしても適当にごまかそうと考えた。

それでもファミレスでは道路からは見えにくい奥の席に座った。


「呼びだしちゃって悪いね」


「ううん、いいの。私も二人で話したかったんだ」


挨拶もそこそこに、入学式から始まって・部活・体育祭・文化祭

修学旅行・卒業式など、高校時代の話で盛り上がった。

まるで二人だけで同窓会を開いているようだ。

話をしている最中に思い出すことも多くて話はつきない。


「それにしてもよくそんなに覚えてるね」


「だってあの頃はとにかく楽しかったじゃん。忘れていたことも

あったけど裕子と再会してから色々思い出しちゃってさ」


「そうよね、あの頃は毎日が充実してたなぁ」


「そうだよ、今は1年なんてあっという間に過ぎちゃうけど

高校生の時の1年間ってすごく長かった気がしたでしょ」


「一也はあの頃に戻りたいって思ったりする?」


「思わなくもないけど、また人生をやり直すのはしんどいな」


「それって、なんか夢が無いわね」


「でも可愛かった裕子にはもう一度会いたいけどね」


「ちょっと!本人を目の前にしてそれは失礼じゃない?」


そうか、こんな言い方をしたら今の裕子が可愛くないと思っていることになってしまう。


「あっ、そんなつもりで言ったんじゃないよ。裕子は今でももちろん可愛いし、素敵な女性だと思っている。

今のは高校生の裕子に会いたいって意味だからさ」


軽く首をかしげながら僕の顔を見つめる裕子。


「ねぇ、なんか酔ってない?そのコーヒーって、お酒でも入ってるの?」


「そんなわけないじゃん。急にどうしたの?」


「だって一也ってもっとシャイじゃなかったっけ。

可愛いとか素敵だとか自然に言ってるのがなんか不思議なんだけど」


「それはね、裕子に対しては本音を素直に言おうと決めたんだ。

高校生の時はそれが出来なかったけど、今だったら出来るかなと思ってさ」


「じゃあ、さっきのは本音ってこと?」


「もちろん本音!裕子はあの頃と変わらず今も可愛いよ」


それを聞いて恥ずかしそうにうつむいて照れ笑いをする裕子。

こんな表情をするんだと初めて知った。裕美のはにかむ表情にそっくりだ。

いや、そうじゃない。裕子に裕美が似ているのか。


考えてみれば裕子とこうやって話したのは初めてかもしれない。

高校生の時は意識しすぎていつも緊張していたから、本音なんてとてもじゃないが話せなかった。


この先、二人の関係はどうなるかわからないが、ずっと本音でいこうとあらためて思っていた。


「そうだ、今日は渡したいものがあるんだよ」


カバンから写真の入っている封筒を取り出す。


「もしかして・・・」


「ん?」


「婚姻届とか」


「ちょっと、これからは本音でいくといってもこのタイミングで

婚姻届はないでしょ」


「そっか、婚姻届の前にまずは離婚届よね」


「あのねぇ、離婚届を裕子に渡してどうするのさ」


「えっ、私が一也の奥さんに離婚届を渡すの?無理、無理!」


「自分で渡す勇気が無いから代わりに・・・って、冗談が過ぎるよ」


「へへっ、ごめんなさぁ~い」


いつになくハイテンションなのは、さっきの照れ隠しだろうか。


「これなんだけどね。プリントしてきたんだ」


「これって・・・」


「飾ってくれてる裕子と英雄の写真を作り直してきたんだ。

今のはもう変色したりして、だいぶくたびれてるからね」


「うん、そうだね」


もっと喜んでくれると思っていたのに反応は案外普通だった。


「東京に住んでいる写真仲間の家に暗室があってさ。

そこへ行って暗室を借りてプリントしてきたんだよ」


「暗室ね・・・」


「そう、久しぶりの暗室作業だったから何回も失敗しちゃった」


「うん・・・」


あれ?明らかに変な雰囲気になっている。

見慣れてはいても英雄が写っている写真はマズかったのかな。

さっき婚姻届とか離婚届なんて話もしちゃってたし。


写真を渡す前に昔話で盛り上がって時間を使ってしまったので

そろそろ送っていかないといけない。

微妙な空気のまま裕子を自宅まで送っていき帰路に着いた。

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